13話
昨日食べたメタルなスライムの効果だろうか?とても清々しい朝を迎えた。
朝日を浴びて爽やかに目覚めた俺はいつもの住みかからゆっくりと這い出る。
周りを見渡して危険が無い事を確認。さて、今日は平和な1日であります様に・・・。
「ん?腕が汚いな。泥か?・・・取れないぞ?何だよコレ・・・」
30秒で平和は崩れた。
「サチ!助けて!なんか変な模様が付いてる!」
「朝っぱらからやかましいわね・・・何それ?」
「今起きたんだけど腕とか足とかにタトゥーみたいなアザが出来てるんだよ!コレ何!?メタルなスライムの呪い!?」
「確かに呪いみたいな禍々しい模様ね?あら!?これは魔術式じゃないかしら!?あなたの腕輪みたいに魔術の公式になってるのかも・・・」
「そ、そうなのか?別に痛くも痒くも無いからな。魔法の種類が増えたなら大歓迎なんだが・・・」
「・・・ちょっと待って、あなただけ?」
「え?」
「私もメタルなスライム食べたのよ!?っていう事は?・・・もしかして私にもその気持ち悪い邪悪な模様が入ってるの!?この私の美しい毛並みがぁ!」
「落ち着けサチ!冷静に!・・・そう冷静に」
「・・・ふー!ふー!ふー。」
「そうだ、いいか、落ち着いて聞いてくれ。まずはサチの毛並みに異常は無い。・・・ん?むしろ昨日までより艶が増しているような・・・」
「あぁ、ホントに良かったわ!その模様は明らかに邪悪に見えるもの。」
「邪悪って酷くね?・・・いや、それより、重要な事が有る」
「急に畏まってどうしたの?なんか聞くのが怖いんだけど?」
「・・・サチの尻尾が2本になってる」
「えっ?あら!?やった!?力が増した証拠よ!とうとう進化出来たわ!!」
「それ進化なのか!凄いじゃん!上位種族に進化出来たのか!あぁあ、いいなー」
「何か勘違いしているようね?私は元々がケットシー。上位種族よ?」
「そうだったの!?なら、今の種族は?」
「恐れおののくがいいわ!きっとベヒーモスよ!!」
「・・・多分違うと思う」
「あれ?でも、図鑑では確かに猫系の魔物の最上位に・・・」
「俺の思うベヒーモスってごっつい筋肉のイメージなんだが。とあるゲームの知識だが」
「そうよ、図鑑にはライオンに闘牛と虎を足した様な絵が描かれてわ」
「うん。なら、絶対に違うね。見た目は尻尾が
増えたのと、後は毛並みが・・・少し金色にも見えるな。他は大して変わらんよ?」
「金色?・・・フタマタ・・・それなら・・・金華猫かしら!?」
「知ってるのか?」
「名前ぐらいはね?能力も生態も未知数、幻獣の一種といわれているわ。まさか私が進化出来るなんて驚きだわ!」
「何か今までと違う所は有る?」
「んー?そんなに気にならないわね。色々試してみない事には分かんないけど」
「まさか進化とは・・・あれ?それなら俺も進化なんじゃないか?」
「うーん。タトゥーまみれのゴブリンなんて見た事も聞いた事も無いわね」
「そうなのか?何だろうなコレ。ま、とりあえず水浴びして確認してくるよ」
「びっくりだと思うわよ?」
「脅かすなよ」
ではでは、まずはいつもの通りに体を流す。腰巻きの布も洗ってと・・・いよいよ確認タイム。
流れの緩やかな所に移動してチェックしてみよう。ちょっと緊張するな。
うっわ!これは予想以上だった。頬の辺りから首、胸、肩、腕、そして腹、股、膝の辺りまで一面タトゥーみたいに模様が浮き出てる!
なるほど、サチが『禍々しい』『邪悪』と表現した理由が分かったよ。自分でいうのもナンだが、これは怖いな!街で会ったら目を会わせない位には怖い。凶悪犯面に模様が入ってヤバいヤツ感が半端無い!
無いわー。これは無いわー。人間が俺を見たら間違い無く討伐対象だわ。ましてや、サチが見た事も無いって・・・レア種族?なんか響きがいいな。
俺は最弱種族ゴブリンからレア種族なんたらゴブリンに進化した!・・・うん。しっくり来ないな。誰か教えてくれんかの??
「おかえりなさい」
「まず、大ネズミが丸焦げなんだが。一体何があったんだ?」
「それがねぇ、私の魔力が馬鹿みたいに強くなっててね。軽く雷撃を当てたつもりが・・・」
「力加減を間違えたんだな?」
「・・・はい」
「相手が俺じゃなくて良かったよ。本っ当に良かった!」
「そうね、私は冗談のつもりでも死んでたかもね!」
「嬉しそうに言うなよ!?」
「急に強くなっても色々難しいものなのね。瞬発力も跳ね上がっててびっくりしたもの」
「危な!」
「ま、徐々に慣れていくしか無いわね」
「そういえば俺の方はどうだろう?」
「ご飯食べたら試しましょう?」
「そうだな。美味しい丸焦げのネズミを頂こう!」
「サーセンシタ」
「冗談だよ、いつも狩りをありがとうな」
「・・・照れるじゃないの・・・」
こんなワケで俺は人間に出会う事が命取りになった・・・。元人間なのに!




