表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/78

12話

俺の魔法は硬質化。ちょっと格好つけて言ってみた。実態は物を硬くする事。そうだね。地味だね。俺もそう思う。でもさ、何事も使い方だと思うんだ。戦闘では一撃で敵を一掃するなんて出来ないけど、硬くなった土が武器や防具になるなら凄いよな?今日は疲れたから明日、色々試してみよう!


「良し!明日から頑張る!」

「それ、ダイエットをやらない人の格言よ!?」


俺達は笑いながら晩ご飯の準備をした。既に夜を迎えている為、お手軽に済ませよう。いつものリンゴと空堀イケスのスライム。美味いんだよ?スライムさん。俺は空堀に降り立ってスライムを鷲掴みにして掘りの上へ放り投げた。


「うん?今、色が変じゃ無かったか?」

「ちょっと!変なの投げないでくれる!?」

「暗いから良く見えないんだ。どうなってる?」


俺は空堀から上がりながら尋ねた。もちろんロープ代りの布を引き上げる事も忘れない。

「どうもこうも無いわね!多分スライムの変異種よ!」

「晩ごはんに変わりはないだろ?」

振り返りながらスライムを確認する。いつもと色が違うな。黒?白?・・・あぁ、銀色か!暗くて良く分からんな。近くに集めてた枝を持ってサチに火を灯してもらう。・・・はい。間違いない。アレだ。


シルバーのスライム、メタルなスライムだな。あの超有名なゲームで経験値が異常に多い奴。ゲームでは素早くて非常に硬い設定だったが、コイツはどうだろう?


「食ってもいいんだろ?」

「無理ね。私も前にチャレンジした事が有るんだけど、歯が、いえ、牙が立たないわ」

「さっき触った感じは他のスライムと変わらなかったぞ?」

「試してみれば分かるわよ」


幸い、素早く動くなんて事は無かった。爪で引っ掻く。破けない。他のスライムならゼリーを薄皮で包んである感じだが、このメタルなスライムは中身まで柔らかいゴムみたいになっている様だ。しかし、俺にはとっておきがある。


「必殺の穴掘り魔術!うーん、語呂が悪い!」


スライムを木の棒で押さえ付けて固定。動けなくしてから魔術を放つ。軽めにね。どうやら魔力の扱いが上達しているようだ。


特に抵抗も無く、真ん中辺りから割れていく。


「おっと中身がこぼれる!」

「あら!?簡単に破けたわ!凄いのね、あなたの魔術。正直言って舐めてたわ」

「そんな事より晩ごはんを頂こう」


俺は左右に別れたメタルなスライムを一旦、2つとも抑え、1つをサチに傾ける。サチが爪で器用に抑えたら、今度は自分の分を両手で持ち、中身を啜る。


「まっず!!」

「うげっ!こりゃ酷いな!」

「食べるのに抵抗が有るんですけど!?」

「何だよ!?この味!青臭いゴムみたいな味がするぞ!?」

「壮絶な程にマズいわね!違うスライムを食べましょうか?」

「・・・いや、俺は食うぞ。意地でも食ってやる!」

「マズいのが好きなの?ゲテモノ好きなの?変態なの?道理でこの私にトキメキを持たないワケね!」

「むしろ猫にトキメキを感じる方法が知りたいよ!違うんだ、そうじゃない。コイツはメタルなスライム。サチなら意味が分かるだろ?」

「経験値が美味しい、例のヤツよね?分かってるわ。でも、今はゲームじゃ無いのよ?レベルアップなんて無いの!」

「・・・本当にそうなのか?」

「無いわ!断言出来るわよ」

「それなら進化は?」

「進化?・・・上位種族にって事?」

「そう。進化の方法は分からないんだろ?なら、やってみる価値はあるんじゃないか?駄目で元々だし」

「・・・。いいわ、付き合ってあげるわよ!」

「んじゃ、行くぞ!」


俺とサチは余りの不味さに涙目になりながらメタルなスライムにかぶりついた。少しずつ長時間の拷問は遠慮したいので、一気にヤケ食いしてやった。


何とか中心の柔らかい部分は平らげた。皮の内側も勢いに任せて、無表情で喰らい尽くす。味を感じない様に黙々と・・・。ん?なんか口の中が熱く感じる。


「コレ、食べても大丈夫だったのかしら!?口に違和感が出てきたわ!」

「俺、口の中が熱くヒリついて来たぞ」

「まさか・・・毒なの!?」

「あ、喉とか腹の中も熱くなって来た」

「出した方がいいかしら?」

「そこまでじゃないと思うんだよな。辛い料理でも食べた時みたいな感じだし」

「そうね、そんな感じね。少し様子を見ましょう?」

「今日の夜はお互いにあんまり離れない様にしようか?具合が悪くなったらすぐに助け合おう!」

「分かったわ。いずれにしろ味が悪すぎてテンションがだだ下がりよ!もう何もしないで眠りたいわ」

「そうだな、今日はもう休もう」


とはいえ、腹の中の違和感が段々と全身に広がる。痛みでは無く、かゆみでも無い。これは・・・そう、魔力が駆け巡る感覚に近い。だが、収める事も1ヶ所に集める事も出来ない。全く制御出来ない。なのに段々と心地良くなっている。大きな魔力に包まれる様に・・・。

俺は襲う睡魔に勝てずそのまま意識を手放した。






翌朝、俺達はお互いの姿を見て固まった。いや、俺の魔法を掛けたワケじゃない。自分に掛けたら本当に変態だし。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ