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11話

「まさか、ゴブリンごときが魔法を扱うなんて・・・効果はショボいけどね。私もびっくりだわ!」

「ゴブリンとはいえ、魔物として魔力を持ってるなら扱えて当たり前じゃないか?」

「魔力の量の関係ね。魔法の種類によっては莫大な魔力量が必要になるから。あなたは昨日の修行の効果でようやく魔力量が増えたの。私の『丁寧』な指導のもとにね!さあ、私に感謝しなさい!」

「お、おう。でもさ、他のゴブリンだってもしかしたら・・・」

「他のゴブリンが魔道具を持っているとでも?それとも生まれつき魔法を使う程の魔力量を持っていると?更に言うと、あなたみたいな修行を野生のゴブリンがやると思うの?馬鹿なの?やっぱりあなたもゴブリンね!?」


俺は久しぶりに棒を構える。

「サーセンシタ!調子乗りました!」

目の前の猫が『伏せ』をする。


俺は構えを解いて感謝の気持ちを持ってアゴをくすぐる。


「うごっふ、ぼっふ、ぐふふふ・・・」


やっぱり可愛くない。


「さて、魔法効果の検証に入ろう」

「もう終わりなの?もっと私の癒しを振り撒いてもいいのよ!?」

「丁重に遠慮します。」

「くっ!私の魅力が伝わらないなんて・・・」


俺は項垂れている猫を尻目に、先程の魔法を掛かけ、硬質化した地面を確認する。見た目の変化はあまり感じない。・・・と思ったが、角度を変えたら金属みたいに光を反射している!

棒で軽く叩くとコンコンと音がした!


「これ、かなりヤバイ魔法じゃね?」

「そうかしら?どの程度の硬さかは試してみないと分からないわね」

「じゃ、魔力が回復するまで粘土でも捏ねるかな?」

「どういう事?」

「槍とか盾とか・・・食器とか?」

「・・・。ハッ!そんな使い方があったのね!」

「逆にどんな使い方を想像してたんだ?」

「ぬかるみに足を取られた時に固めて出れなくするとか?それで相手を固定出来たらあなたの魔道具の出番でしょう?」

「おぉ!えげつない使い方だな!それも有りだな!・・・ヤバい、夢が広がって来た!」

「だから調子に乗っちゃダメってば!」


俺は粘土に適した土を求めて、川の近くに戻り、日陰の地面を物色する。コケを剥がした下に予想通りジメジメした土壌が広がっている。爪で引っ掻く様に何度も土を採取して握り拳程の土の塊を用意した。

次はその土を捏ねる、捏ねる、捏ねる・・・。

最初は何を作ろうか・・・。



ダマになってる部分が無くなってから子供用スコップ風の形に整えた。砂場遊びに使う感じのヤツね。というか、粘土で薄く広くは作れなかった。少し不恰好だがこの際気にしないで進めよう。


気付いたら辺りは夕方になっていた。魔力も十分に回復しただろう。今度は直接、手を触れながら魔法を放った。


「最初と違って、ずいぶんと魔力を込めたわね」

「正直な所、良く分からん。気合いを入れたのは間違いないが」

「それで?どの位の硬さになったの?」

「・・・うん。金属に近いんじゃないかな?」


俺は近くに落ちていた木の枝に硬質化したシャベルをぶつける。・・・木の枝が折れた。

「良し、十分な硬さだな」

「そんなに硬いの?先の尖ってる所なら、枝も切れるんじゃない?」

「わかった、やってみるよ!離れてて!」


ブンッ!と音が出る程、思いっきり振りかぶって、先程とは違う枝を切りつけた!


「スッパリいったわね」

「おう!予想以上に効果が高いな!」

「あなたの魔力は残っているの?」

「ほぼ無い。力み過ぎたみたいだ」

「その分、頑丈になったのかもね。1日当たり1回か2回と言ったところね」

「今のところは十分だ。繰り返したら魔力量も増えて来るだろうよ」

「まぁ、試してみなきゃ分からないけどね」

「ずいぶんと慎重だな?」

「あなたが楽観的過ぎるのよ。あなたゴブリンよ?まさか天井知らずに強くなると思ってのかしら?」

「・・・。そうだった。魔法が使えるだけでも奇跡的だったんだっけ・・・」



・・・どこまで行っても希望が持てない種族、それがゴブリン。でも、俺はめげない!


「まずは、明日は修行のメニューを増やすわね!」

「マジっすか!?昨日の魔道具の魔術打ち放題も結構ハードだったのに!?」

「基本的には同じよ?更にあなたの硬質化魔法も組み合わせるだけだからね」

「でも1度魔力を使い切ったら回復するまでまともに動け無いし・・・」

「その時間で粘土を捏ねるならどう?」

「まぁ、その位なら大丈夫かな」

「明日の最初の作品は私専用の食器ね!」

「いや、武器にするよ、次からは粘土も集め易くなるしな、そうだな・・・うん。やっぱり槍かな。矛先はどうしよっかなー?まだまだ鋭い切っ先は難しいから、槍より棍がいいかな?長い頑丈な棒なら便利だし、そうだ!先にフックでも付けよう!リンゴも取りやすいハズ!」

「食器・・・」

「なんか想像してみたらマジックハンドみたいだな。本当に武器かな?でも凄く頑丈なマジックハンドってロボットの腕みたいだ!つまりロボットアーム!?ヤッバイ!興奮してきた!えーっと他には・・・」

「食器・・・」

「・・・うん?何?」

「・・・いえ、何でも無いです」




少し隣の猫が寂しそうだった・・・。

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