メイソンの喜怒哀楽
タイトル変更しました。
すみません。迷ってばかりいです。
今日3回目の投稿です。
「何を躊躇われているのですか?
メイソン外務大臣。この件に関しては、法王様も進めよと、仰せではございませんか」
「だ、だがな…………」
「そうですぞ。たった50人の奴隷を渡すだけ、何万トンもの食料が手に入る。
ドワーフは計算もできない下等種族ですな、わははは」
下等なのこいつらだ! 今この国の状況を、きちんと理解できているの私しかおらんのか。
外国からの侵略、これを抑えるのにどれほどの人や時間を使っていると思っておる。
あの9人もそうだ。それぞれのスキルは平凡で目立たないが、特化した性能で、磨けばこの国の礎になる。
それを今手放すには惜しいし、それにあの娘どもは知り過ぎておる。
「良いですね、メイソン外務大臣。第1期の期日は再来月の末。そして第2弾は、その十日後として返答致しますからね」
はぁ~? この馬鹿共が何を言い出す。法王の言葉があるから、いい気になりおって。
こんな馬鹿どもに話すわけにはいかんし……うぐぐぐっ。ここはナダめてみるか。
「な、内政の方も大変だと思うが、そ、それほど急な日程は準備もかかるし、む、無理な相談だ」
「なんですって? 私にも聞こえるよう、もう少し大きな声で話してください」
腹が立つ~。精一杯話しているではないか。
「奴隷の行き先など帳簿を見れば一目瞭然。日程に無理はないはず、むしろ遅いくらいです」
健康チェックとか、色々しなければならんのだぞ。
「それを見越しての日程です。早ければ早いほど国のためになるのです」
このクソガキどもが! そんな計算よりもっと先を見ろ! あ~腹が立つ。
グラバロル2世もなに一つ成長しておらん。
むこうの小僧1人でさえも、引っ張ってこれんとは役立たずめ。
それにあいつの言葉さえ無ければ、こんな下位の者に言わせずに済むのに、ほれみろ結局決まってしまったではないか。
もう用がないなら、サッサとどっかへ行け。
う~、廊下に出るとすぐ笑いながら悪口か。キサマら絶対ゆるさんぞ。
「あの〝おドレイ大臣〞奴隷には強いけど、他部所の私達にはカラッキシでしたね」
「あの人はあの程度さ。言った通り、強く出れば退いただろう」
「そっすね、ははははは」
◇◇◇◇◇◇◇◇
――ドカッ、ガスッ! ――
「ぐっ、うっ、メイソン様……ご勘弁を……」
こんなゴミ虫を、いくら蹴ったところで気晴らしにもならん。
内務省もだが、ドワーフの小娘は、本当に腹の立つガキだったわい。
在住させて捜査をさせろとかも、どうせ下等種族には何もできんだろうが、要求してくること自体が不遜だ。
そして、あのヒュームの小僧は間違いない。報告書に上がっていた北部での、民族誘致部隊を壊滅させたヤツだ。
ユウマとか言ったか。あれのせいで北部の立て直しは、今だうまくいっておらん。くそーこの代償を払わせてやる!
ドワーフの小娘共々殺してやろうか。殺すのは良いとして国内はまずいか……うーむ。
そうだなグリーンストロルスに入ったら、暗部の連中にやらせるか。うむ、それがいい。
「……しかし、あの小僧の顔……そそる」
やはり生け捕りにして、神の教えを叩き込むか。うむ、私自ら教えてやるのも良いな。
一団を潰した者が、この私に従順となり、自分が潰した一団を率いる。
ふははははっ、滑稽じゃないか。これは良いぞ。ユバの街に入らせ、ドンドンと誘拐をさせてやろう。
その時ドワーフの姫も一緒に捕まえ、奴隷にでもしてやろう。
人質にもなるし、交渉次第では40%などとケチ臭いこと言わせない。100%出させてやる。
国も豊かになるし、よし決まりだな。
神も私を見て喜ばれるに違いない。あぁ、私はもっと光り輝くのだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「姫様、今日は大成功でございましたな」
「一国の大臣なのでもっと手強いかと思っていたけど、たいした事はなかったわね」
「それがこの国の弱いところでしょうな。徳が高いというだけで、その地位に能力が追いついていない」
「過度のプレッシャーなのかタガが外れ、オロオロするばかりでしたわね。ただ、それが逆に怖いかもしれないわ」
「そうですね姫様。変の事をしてこないように、このあとは私たちが、細かく詰めていきますのでご安心を」
「頼みましたよ。なんとしてでも、同胞を助け出しますよ」
調査組として、内務官2人と騎士1人を残すが、それは表向き。
本命はその他に残す小者3名である。
彼らは諜報専門の3人なので、必ず表に出てこない情報を掴んでくれるはず。
それと合わせてユバの街から〝大量の食料援助〞が来る噂も流させる。
これによって、奴隷開放が必要であると巷の人々に、知らしめる作戦である。
中と外から揺さぶる。
しかし、これでも足らないだろう。その理由はこの国に、何か得体の知れない物があるからだ。
なにせ各列強国が武力だけでなく、外交面でも攻めあぐねている。
そして、いつの間にやら、法国のいいよにやられてしまうのだ。
人が揃っているわけでもない。実際訪問しても、これはという人物が見当たらない。
そうであるにもかかわらず、国としてその存在感を大きく示している。
チグハグだらけのお粗末で、手強い不思議な国なのだ。
ただ不思議だと言って、手をこまねいているのは愚か者だ。
諜報部員の3人には、この事も併せて調べるよう伝えてある。
ふー、少し疲れた。
しかし、次に訪問する国は、グリーンストロルス連邦のメディキャモ州。私が1番楽しみにしていた訪問先だ
そこのレイナ·ドロシータ代表議員には早くお会いしたいものだ。
「さぁ、旅の仕上げといきましょうか」
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