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バンパイアロードはいかが?

タイトルの変更をいたしました。


感想を聞かせください。

 突然現れたレベル26のバンパイアロード。

 3階に現れるモンスターの、レベルを超えた不条理な存在。


 恐怖で頭が働かない。心の中で大きく逃げろと叫ぶけど、体がいうことを聞いてくれない。


「ニ……ニ……逃げろーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」


 出ないと思っていた声が出た。エブリンたち3人も状況が分かっていたんだろう、猛ダッシュで駆け出した。


 ありったけの影分身を出しても、すぐ消される。まだだと何度出してもすぐ消される。


 影分身を攻撃しているのではなく、ただ通り過ぎるだけ。ただそれだけで消えてゆく!


 こんな怪物に捕まったら〝死〞しかない!


 逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げるんだ!


「待てと申しておろうが!」


 はるか後ろにいたはずのバンパイアロードが、目の前に立っている。


 圧倒的存在に僕の心と体は震える。

 まるで『死』そのものに刃物を突きつけられているみたいだ。


 逃げることのできない絶望が、今まさに目の前にいる。


 ナミダが……もう、ムリだ…………!


「……りゃ……うりゃー……はなれるぎゃーーー!」


「マ、マ、マ、マイマスター……後ろへ」


 震える体で僕の前に立つ3人。


 そんな……こんな怪物の前に立てるなんて。……怖いだろうに、なぜ足を踏み出せる?


「逃げてくださいね、バカマスター」


 従魔だから? ネームドモンスターだから?


 いや最初から、僕を受け入れてくれた3人だ。彼女らの僕への忠誠心は本物だ。


 そんな3人を盾にして、僕は逃げることしかできないのか? ……イヤ、デキナイ。


「さ、3人とも後ろへ……」


 盾にはできない。いや逃げたい、コワイ……コンナノうそダ。


「ぼ、ぼ、僕がひきつける。みんな逃げるんだ。分かれ!

 君らが逃げなきゃ、僕も逃げれないじゃないか。命令だ! 分かれ、あははっはは」


 怖くて怖くて、笑えてくる。ついさっきまで平和だったのに、こわい。


「あはは、僕に1つ……策がある。はは、振り返らずに行って。あははあはっははあはっ」


 いくぞ! 生涯最後の大勝負だ!


「♪モ~モタロさん モモタロさん おっこしにつけたきびだんご ひっとつわたしにくださいな~♫ あ~げましょお あげましょお わたしについてどこまでも~ ついて~くるなら あげましょお♪」


 ありったけのアイテムを出した、あとは天にゆだねるしかない。


「これは何の真似だ?」


 やっぱりだ。心服させていないのに、成功なんかするわけない!


 でも可能性はゼロではないはず、ティムできるまでやり続けてやる。攻撃する暇なんて与えないぞ。


「♪モ~モタロさん モモタロさん おっこしにつけたきびだんご」


「何の真似だと言っているのだー!」


 ツッコミビンタをくらったー! ええぇ?


 スキル発動中の対象者は、絶対に襲ってこないはずなのに、なんで叩かれたんだ?

 それは絶対のルールなはず……。


「お前は失礼な奴だな。その歌はスキル〝サルマワシ〞であろう?」


 このスキルを知っているのか、とんでもなく博識なモンスターだ。

 そのうえ、その対処方法も知っているなんて万策尽きたよ。


(わらわ)をティムしようなどとは……」


 レベル差だけでも無理なのはわかっている。でも引くわけにはいかない。

 みんなで生き残るんだ。


「なんと人種差別の酷いヤツよ」


 ………………………………………………ん?


 ……???人種差別??? バンパイアロードが人類だっていうの?


「当たり前じゃ! 不死なだけであって、れっきとした人類じゃ。そこらのゾンビと混同するでない」


 力が抜ける、敵じゃないの?


 殺されないのか……力の差はあるけど、死の心配はないって……笑える。


「あははははははーーーははははははーーっ」


 また、ツッコミビンタをもらった。


 人類だったんだ。バンパイアロードもこちら側の人だとは知らなかったよ。


 だけど、冷静になって考えた。

 この人にしてみたら、偏見の眼差しで無礼をされたのだから腹も立つだろう。


 ここはちゃんと謝らないといけない。

 まず謝罪をし、次に遠い場所の日本からやってきて、この世界のことに疎いことを説明した。


 そして帰る手がかりを探るべく、ダンジョンに潜りレベルを上げて、転移の謎を解く探索をしていると伝えた。


 怒っていた彼女も話を聞いてくれるにつれ、理解、興味、同調の顔へと変化させていった。


「なるほど、ではユウーマは転移装置に興味があるのじゃな?」


「ユウマです。そのエネルギーや謎も解けば、いつか故郷へ帰れるかと思っています」


「それにしてもネームドモンスターを3体も従えるとは稀有(けう)じゃのう。

 互いの絆も強く、誰も逃げなかったのは実にあっぱれじゃ! 羨ましい……。

 あい、分かった。先ほどの品もう1度見せておくれ」


 さっきと同じものを全部出し見せた。何か気になるものがあったのかな?

 彼女はその中の1つを選ぶと、おもむろに懐へと仕舞った。


「従魔の契約は交わせぬが、お主についていこう。

 妾も同じ解かねばならぬ謎がある。その謎が解けるまで袂を分かつつもりはない。どうじゃ、連れて行ってはくれぬか?」


 この人も助けが必要なんだ、レベル26の超人が参入ってバランス取れるかなぁ。


 それに3人の従魔はまだ警戒している。

 彼女たちにしてみれば、もともと天敵である人類のバンパイヤ。


 高レベルのステータスを、肌で感じ取っているのだろう。


 悩むけど、困っている人を見捨てられないよ。


「わかりました。エリカ様、よろしくお願いします」


「その〝エリカ様〞はなんとな~く嫌じゃ! 呼び捨てで良い、あと敬語もいらぬ」


 ははは、僕が受け入れたことで従魔の3人も安心したみたいだ。

 さて仲間になったんだから、僕らのルールを確認しないといけないな。


 これから攻略するにあたってダンジョンでの寝泊まりも入れて4日働き2日地上で休む。


 これは難なく受け入れてくれたんだけど、分け前について、2分の1を提示したけど反対されちゃった。


 従魔とはいえ衣食住及び、装備にもお金はかかる。

 だから、5分の1の頭割りにしようとのことだった。


 僕も助かるので、その申し出を素直に受け取った。


「うん、わかったよ。そういえば、エリカはなんで1人でいたの?」


「うむ、それこそ、お願いしたいと思っていた理由じゃ。妾はエリクサーを求め、各地を訪ねておるのじゃ」


 エリクサー。それは言わずと知れた部位欠損などを修復する超完璧回復薬。


 彼女は伝説級のアイテムを求める旅のなか、それに関する情報が、この白百合の迷宮にあると聞きやってきたそうだ。


 ぼ、僕達がそんな凄いアイテムを探し出せるていうの? そんな期待した目で見ないでよ。

まずはブックマークよろしくお願いします。

あともし気にいっていただけたら、お星★★★★★評価下さい。

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