死神
改編ばかりしていて、投稿が遅くなりました。
皆さんに楽しんでもらえるよう頑張っていますが、改編の改編になるかも(グスン)
週に4日は入れますので、待っていてください。できれば5回かな。
新しいメンバーで、白百合の迷宮を攻略し始めて、だいぶ月日が経った。
今はもう3階に行けるレベルに上がっているんだけど、まだ2階に留まっている。
その理由は、索敵とマッピングの練習をしているんだ。
もうこの階は地図は、出来上がった物があるので、必要とはしていない。
しかし、その技術とその時の仲間の連携は必要だ。
だから、全員に文字の習得と、エブリンには更に、罠の解除や索敵の技術のギルド講習を受けさせている。
みんな真剣で競い合っているので、次々と覚えていく中、意外にも文字の習得にジェンナが苦戦していた。
彼女曰く、簡単すぎてルールがつかめないそうだ。
「オークの私でも覚えたぞ」
他の2人にニヤッと笑われ、憤慨しているけど、まだまだかかりそう。
技術指導を受けたエブリンが索敵・罠解除をしつつ、キンバリーもマッピングをこなしている。
「ここの穴から……ブハッ、め、目がいたいぎゃ」
「失敗ね【アクアヒール】ほら、もう一回」
「ジェンナ、もう良いか? マッピングに戻るぞ」
「ええ、後は任せなさい」
こんな風にジェンナはその間、周囲の警戒をし、互いに声を掛け合い、なんとか形になりつつある。
3人ともが、自分の技術を磨きつつ進んでいく。
この分なら3階に行っても問題ないだろう。
「ついにこの階層にも来れたぎゃ、私ら最強だぎゃ」
自信持つのはいいけど、エブリンはほどほどにね。
でもその気持ち分かるかも。挑戦していることが、1つ1つクリアできて、自分の力に確信を持てる。
だからこそ、人は前に向かって進めるんだ。
さぁ、一気にこの階を制覇しちゃおう。
みんなも気合いが入り、どんどん進める僕たち。
そして当然のことだけど、中ボス部屋にも辿り着くので中を覗いてみる。
お、ツイているよ。中には倒されていない1体の中ボスモンスター。
――――
アラクネ(レア):メス
Lv:10
モンスターハウスとは、違うタイプのアラクネだ。
よかったよ。アラクネが全部あんな感じじゃ、今後やっていく自信なんてないよ。
こちらのパーティはレベル7が2人、レベル8が1人、そしてレベル10の僕。
盾役のレベルに不安は若干あるかな。
でも影分身もいるし、いざとなったら特攻をかけちゃおう。
中盤以降、もしかして範囲攻撃で、糸の撒き散らしがあるかもしれない。
そこをみんなに気をつけるように伝えてから、討伐を開始した。
レア種の戦闘は良い経験となるので、影分身は出してあるけど、序盤戦闘には参加させない。
ピンチの時には動けと命じてあり、ぼーっと突っ立ってるわけではない。
だから、みんなも安心しているみたいだ。
これまでの戦いを通して、僕たちの戦闘スタイルのパターンも出来つつあった。
まず、ジェンナーがキンバリーに防御の魔法〝ウォーターアーマー〞をかける。
そのキンバリーが初撃でヘイトを稼ぎ、更にエブリンによるヘイト上乗せを行う。
攻撃面では、エブリンによる後ろからのトリッキー攻撃や、ジェンナの範囲攻撃であるアシッドレイン、僕の土竜崩しでの妨害で相手を翻弄する。
こういった流れが出来るのも、キンバリーの守りがしっかりしているおかげだ。
みんな連携にも慣れてきて、被弾も少なくなり、その分回復魔法をかけなくてもよい。
だから、ジェンナも嬉々として攻撃に参加している。
無茶な事をしなければ、まず間違いのないパーティとして成長できるだろう。
そうしている内に、最後の雄叫びとともに倒れたアラクネ。
その場所にはたくさんのアイテムと宝箱が出た。
ヤッター! 本物の宝箱って久しぶりじゃないかなぁ、ちょっとドキドキするよ。
ここは解除技術を習得したエブリンに任せて祈るのみ。
そして、眩い光を放ち出てきたのは、属性能力付き〝炎の短剣〞だった。
こういうマジックアイテムは初めて見る。
効果は火属性の攻撃と、5秒間傷口を炎で焼く継続属性効果。
傷の治りも悪くなるし、かなりエグい効果だよ。
僕も新しい武器が欲しいけど、今のククリナイフに慣れている。
これはエブリンにあげるのが1番だろう。
それにほら、欲しくてたまらず、両手を出しているんだもん。カワイイ。
「属性武器、私も欲しいですね」
「あはははっ。キンバリー、武器ていうのはその者に必要なとき、向こうからやってくるぎゃ」
エブリンの上から目線てサマにならないよ。
次に出たらあげるから、キンバリーはそれまで我慢してね。
そして、良い事がもう1つ。僕も含めてレベルが全員上がった。3人はレベル9へ、僕はレベル11。
よし、索敵やマッピング時の不安もないし、連携の手応えもある。
さあ最後の仕上げは、対多数への対応力だけだね。
でも、今のこの4人では3階のモンスターハウスは荷が重いんだよな~。
その理由はやっぱり人数の少なさ、これが1番のネックになる。
各々が持っている地力は高いけど、互いの力の組み合わせには限界がある。
討伐目的ならば、僕の影分身でゴリ押しはできるよ。
でもそれは、ただ生き残っただけに過ぎず、みんなの力を出し切ったという事にはならない。
つまり、そろそろ決断をすべき時なんだ。
メンバーを増やすか否か! もしくは人類かモンスターのどちらかを入れるかを!
まず人類をいれる場合、問題となるのが、今いるネームドモンスターの存在なんだ。
戦力ではあるけど人類ではない。そこには稼ぎの分配が関わってくる。
もし2人の人類を入れたとする。
仮にウチの子達を、頭数に入れないとする。
僕サイドは4人分の働きをしているにも関わらず、3分の1しか報酬がない。
逆のパターンは、僕が人数分の報酬をもらったとすると、6分の4人で66%の取り分だ。
一見理にかなってるように思えるが、人類である新メンバーにしてみれば従魔に報酬? と不満の種となる。ややこしい……。
その他には自我のある3人の扱い方も、デリケートな問題になるだろう。
所詮はモンスターとか、使い捨て要員だなんて、考える人もいるかもしれない。
僕にとって3人は、もう大事な仲間となっている。
それが他人から見ておかしな事でも、僕はそれを容易には捨てられないし、諍いの種にもなるだろう。
じゃあモンスターをティムした方が、楽なのかというとそれも違う。
先ほどと同じで、ネームドモンスターというレアな存在が、一般的なモンスターとの能力の差で溝を作る。
今までホーンラビットとゴブリンしか、一般モンスターはティムしていない。
この2種類ともに言葉は喋らない。
喋ったネームドモンスターの方が、ビックリだったけどね。
僕との意思疎通も、みんなより落ちるだろう。
それにより、疎外感を感じるのではないかと心配だ。
基礎能力も違うだろうし、考えれば考えるほど出口が見えないよ。
そんな頭を抱えて考えてる僕に、異変に気付いたエブリンがその存在を教えてくれた。
それはプレッシャーと共に現れた。
その人は1人で歩いていた。
その人はとても美しい女性で、優雅なドレスを纏っていた。
その人は僕たちを見ると、ゆっくりと近づいてきた。
大いなる違和感! ここはダンジョンの3階だ。
1人でやってくる場所ではないし、荷物もなしで行動すれば、たちまち飢えてしまう。
ましてやドレスやハイヒールだなんて、死にに来たようなもんだ。
そんな危機的状況で、ゆっくりしているのも大きな間違いだ。堪らずステータスオープン!
エリカ
バンパイアロード:女
Lv:26
ドックン! ドックン! と大音量で心臓が早鐘を打つ。
ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ!
レベル26のバンパイアロード! 敵として戦える範囲をはるかに超えている。
ニゲロ、ニゲロ、ニゲロ、ニゲロ、ニゲロ、ニゲロ、ニゲロ、ニゲロ、ニゲロ、ニゲロ、ニゲロ、ニゲロ、ニゲロ、ニゲロ、ニゲロ、ニゲロ、ニゲロ!
心の中で大きく叫ぶけど、体が動かない。
バンパイアは、また1歩また1歩と近づいてくる。
「ニ……ニ……逃げろーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
なんとか搾り出せたその叫びに、従魔だけでなく、バンパイアロードまでもが反応し、追い掛けてきたのだった。
信じられないほどの速さで、僕たちを追い詰める。
絶体助からない。こんなの嫌だ、こんなところで終わりたくない。誰か嘘だと言ってよ。
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