適正な価格の物を
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欲望が渦巻く迷宮都市・ユバ
ここに志を持つ者が集まった。老いも若きも男も女も関係ない。
只々、その光に誘われ、光と戯れ、光に恋をする。儚くも愚かな者たちよ。
『ユマちゃん見守り隊』ここに集結!
No.4「あれ見ました?」
No.8「うん、見ましたわ。どう見ても人類だよね。しかもカワイイ。あっ!いや、私はユマちゃん一筋なんで決して浮ついた気持ちではないですよ」
No.1「色々ユマちゃんには驚かされるな。前代未聞だよ、街中の噂になっているし、まっ、逆に従魔をみんなに認識されただろうから、変なトラブルの心配はないか」
No.4「あれがユマちゃんの新しいパーティになるんですかね?」
No.1「そうだろうね、楽しそうな仲間ができて良かったんじゃないかな」
No.8「HEROESが解散しちゃって、元気がなかったから心配してたんですよね。新しいパーティにも入らないしね」
No.1「ああ、これをキッカケに前に進んでくれるといいね」
No.4「でも、No.11の事見ました? 最近息込んでいるから要注意だなとチェックしていましたが、従魔を見て固まっていましたよ。ユマちゃんの彼女か何かと勘違いしていますよ。もうこうやって口をパクパクさせて、おっかしーの! パクパク、パクパク」
No.1「ああ、私も見たよ。さっきもまだパクパクさせていたよ。もう何時間だ? あのままにしておいても可哀想だから、帰りにでも拾ってやるか」
と、くだらない事を語り合う志の人達だった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
白い子山羊亭ではみんなにビックリされたが、3人部屋を貸してもらえてひと安心。
まだ2人は臭いのでお湯を用意してもらい、今度は石鹸を使って洗わそう。
ちょっと高くて良い石鹸だけど、いい匂いがするから使わせようかな。
ん、もう1個いるの? いや、2個? 汚れが頑固でなかなか落ちないらしい。
やっと、綺麗サッパリとテカテカの顔で出てきた時には、手持ちの石鹸全部なくなっていた。
あの石鹸は銀貨5枚もする超高級品なのにショックだよ。また買い足しておかないと……。
でも、すごく綺麗になって良かったよ。肌の色こんなに白かったんだね。
所々、ひび割れている感じだったけど、あれって全部垢だったのかな? 臭いはずだよ。
体はキレイになったけど服が汚いな。そのままだったら匂いが移っちゃうし、早急に服を買ってあげなくちゃ。
女の子の服ってどこで買うんだろう。うーん、こんな時はハンナに頼るのが1番だよ。
それに女の子3人連れて歩くところを、説明する前に見られたら、変な誤解を受けちゃう。
ちゃんと1番に話さないといけないよね。よし、お願いしてみよう。
次の日ハンナの休憩の時に、ティムしたネームドモンスターが人類によく似ていることを話してみた。
話を聞いている間は怪訝そうな顔をしていたけど、実際に会ってもらうと予想以上に良い反応だった。
「ステータスオープンで確かめた今でも信じられないわ! うん、わかったわ。普段着がいるのね、さぁみんな行きましょう」
連れて行ってもらったお店は商店街の中の1つ。
可愛いものを売っているお手頃価格のお店だった。
僕は店内で待つのは恥ずかしいので、外で待つことにした。
店先にもいろいろ飾ってあるので、見ていて飽きない。
あの春色の可愛らしいワンピースとかハンナに似合うだろうな。
しばらくして、渡しておいたお金で買った大量の袋を抱え出てきた。
「人のお買い物でも、これだけ好きに次々と選べると気持ちがいいわね」
爆買いの魅力に取り憑かれたかな。
「ハンナありがとう、みんなもお礼は言った?」
他人に何をしてもらう、そんな経験の少ないモンスターにとっては、新鮮のことだったようだ。
「これが親切っていうものだよ」
3人には早く人類のルールを学んでもらいたい。
こういった人の優しさを分かってもらえるといいなぁ。
「いいのよ。私も大量のポイントもらえたし、大満足よ」
「はははっ、でもそれだけじゃ足らないよ。
でね。これなんだけど、店員さんにサイズを選んでもらったし、受け取ってもらえるかな?」
リボンをつけてもらった紙袋を渡すと、ハンナの顔が柔らかくほころぶ。
「あー、これ狙っていたのよ、なんでわかったの?」
「いや、分かってたんじゃなくて、ハンナに似合うだろうなと思ってね」
「…………ありがとう、大事にするね……」
よかった、こんな顔をされたら、また何か送りたくなっちゃうよ。
ちょっと間があく…………何か話さなくちゃ……。
「そ、そういえばユウマ君、孤児院にベルトラン君から手紙が届いていたよ。
授業が面白いとか、第1騎士団長を見たとか、すごく頑張っているみたい」
そっか、ベルトランも新しい生活が始まっているんだ。
今度僕も手紙を送ろうかな。新しい仲間が増えたって言ったらきっと驚くぞ。
ハンナと別れたあとも色々買うものがある。
僕らは冒険者、戦うための道具選びが大切だ。以前にいったお店を訪ねた。
カルヴィン鍛冶店は、相変わらず繁盛していて人気のお店だ。
まずは各自好きに選ばせてみることにした。
エブリンは体が小さいくせに、大剣ばかりを見ている。あれはあとで店員さんに相談だな。
キンバリーはオークなので、腕力をいかすためか片手斧を見ているし、
ジェンナは金属が嫌いみたいで、あまり興味を示していない。
「お、ユウマ君いらっしゃい。今日は大勢で来てくれたのか」
「はい、従魔ができまして、なにか合うものがないかと来てみました」
「これが噂の3人か。……なるほどーよしよし、ワシが見繕おうかね」
ステータスオープンとさっきそれぞれが選んだ武器を見て相談している。なんとなく決まったみたいだ。
「こっちのエブリンちゃんだっけ。この子には以前ユウマ君に勧めた片刃のショートソードがいいだろう。
まだ非力だけどそのうち慣れるさ」
「それとキンバリーちゃんには、バリンド鋼の2.5㍍の槍だ。
柄の部分は複合材を使ってあり、長いリーチを活かし、大物にも対応しやすい。
盾使いにはピッタリのものだ」
バリンド鋼といえば鋼より固くて希少性があるものだったはず。良いものがあったじゃん。
「最後、ジェンナちゃんに合うものは、魔導具店で見つけた方がいいと思うぞ。あそこなら杖や宝珠があるからな」
わかりました。ジェンナにも必要だから必ず後で寄るけど、その前に防具屋さんのところへ行くよ。
「いらっしゃいませ、安心と実績であなたをサポート。防具のことなら我がヘクター防具店にお任せれ!」
相変わらず元気だ……、再来を喜んでくれたヘクターさんに3人の防具を頼んだ。
前衛の盾使いとなるキンバリーの装備に重点を置いてもらっての見積もりだ。
まず盾とヘルメットはバリンド鋼を使った丸盾とバイキングヘルム。
ともに朱色のデザインで、この2つだけでも威圧感がハンパない。
そして他の防具は盾と槍の動きを、疎外させないもので、オーガの皮とバリンド鋼を使った胸当てとグリーブを見立ててもらう。
キンバリーは朱色が気にいったようなので、この2つも染めてもらうかと聞いたら、すごく喜んでくれた。
エブリンとジェンナは軽装だけど、それぞれに合った、能力付与があるデザイン重視の可愛いのを見つけたみたいだ。
みんな喜んでいるし、買い物に来てよかったよ。
「ユウマ君、お会計は全部で金貨102枚と銀貨80枚になるよ」
…………高い、こんなに喜んでいるのに、今更ダメとは言えないし、とんでもない散財となったよ。魔道具屋へ行くのが怖くなってきた。
その魔道具のお店は、カルヴィンさんに教えてもらった所で創業500年の老舗らしい。
お店に入ると薄暗く雰囲気たっぷりだ。
ジェンナが急に元気になり、商品を手に取って喜んでいる。
その中の1つが気に入ったみたい。長さが150㌢くらいの杖で2つの魔石がついている。
水属性への術式変換が施されており、ジェンナとの相性もバッチリだ。
だから、入店5分で決まってしまった。
「おや、珍しいものを選んだね」
声をかけてきたのは70歳ぐらいのお婆さんで、この店の店主シャノンさんだ。
上機嫌なジェンナは魔力の循環のよい品で、とても気にいったと伝え、他にもいろいろ話を聞いている。
ジェンナ、年上の人なので怒らせない言葉遣いをしてね。
まだまだ時間がかかりそうなので、僕も何か探してみよう。うん、見るだけさ見るだけ。
見出してそんなに時間が経っていないのに、興奮したジェンナが何かを持ってやってきた。
「バカマスター、これを見ろ! 凄くカッコいいぞ」
バカッてもう、見るとそれはマントで、白地に青い縁取りをした軽やかな品だった。
「東方技術を駆使した優れもので、防刃だけじゃなく防炎効果があるそうよ」
すごいけど、いくらよそれ……?
「はぁ~、バカマスターだわ……この価値を見極められないのね……可哀想に。……イイわ店主、これ人数分貰うわ」
値段聞いていないのに勝手に決めないで! さっきから即決すぎるよ。
止めに入ったけど、その効果を聞いたほかの2人もすごく欲しそうにこちらを見てくる。
買いません。値段も聞いていないし、え? 高いよね……。無理、無理、無理、むりでしょ!
そんな目で見てもダメなものはダメです! だからそんな目で……ね……その目やめて……。
………………………………はぁ~、わかりました。買いますよ、でもね!
「キッチリこの分働いてもらうからね」
「そんなセコイことを言うと恥ずかしいですよ、バカマスター」
「そーだぎゃ、そーだぎゃ」
結託して仲の良いことで、参りました。素直に買いましょう。グスン…………。
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