キジではないよね
みなさん、すみません。〈感想を受け付ける〉について〈ユーザーのみ〉に設定していました。
すみません、すみません、すみません。
多くはないと思いますが、感想を書こうと思いついてくれた人もいたと思います(奇特な方がいると信じたい)
それなのに、僕のミスで不快な思いをさせてしまいました。
訂正はしましたのでご了承ください。
ゴブリンのネームドモンスター・エブリンと、オークのネームドモンスター・キンバリーを共にティムできたのは僥倖だったよ。
今はエブリンをキンバリーに背負わせて、キャンプが出来そうな場所を探している。
僕がオンブをしてもいいんだけど、ちょっと臭いんだよねぇ。
確か近くに小さな湖があったはず、そこで体を洗えばマシになるかな。
最悪、僕の忍術で水は出せるけど、一応女の子だし、それはちょっと僕が恥ずかしいかな。
しばらく歩くと、湖もすぐ近くにある、少しひらけた良い場所を見つけられた。
まず先に体を洗ってもらうことにしよう。
それにしても、ここは美しい場所だ。
森の木も水際近くまで生えていて、湖面にその姿を映している。
そんな風景を楽しみながら水辺まで行くと、美しいニンフがそこにいた。
そのニンフは浅瀬に立ち、薄暗くなり始めた淡い光の中で、水浴びをしている。
この湖の精霊だろう。そうなると、ここでこの2人の体を洗うって事、一言断ったほうがいいね。
この手の存在は、怒らせないのが1番と誰かが言っていたし。
音を立てながら、気づいてもらえるよう近付いていく。
「こんばんは、ニンフさん。僕らは近くでキャンプをする者です。
少しここの水を使いたいのですが、よろしいですか?」
僕らの存在をわかっていたようで、ニンフはゆっくりとこちらに振り向いた。
「これはまた奇妙な組み合わせのお仲間ですね。水場でしたらご自由にお使いください」
水の精霊であるはずだけど、しっかりと固定された形を保っている。
それに優しげな表情をしていて、長い髪の毛と相まって実に神秘的な美しさを持つニンフだ。
「実はツレの体を洗おうと思っているんですが、その……少々、いや、だいぶ汚れているんです。
ご迷惑と感じられるのであれば、別の方法をと考えています」
綺麗なニンフだからか、少しアガッてしまい上手く言えていない。
「いいえ、水の力は偉大です。それぐらい直ぐに浄化してしまいますよ」
ありがたい。まだ寝ているエブリンをキンバリーに任せて、僕も少し離れたところで水浴びをした。
やはりまだ冷たいや。でも心なしか柔らかさを感じるよ。
きっとニンフの優しさが、湖の水にも反映されているんだと思う。
水浴びを終えてキャンプ地に戻ろうとした時、ニンフが近づいてきた。
「あなた……あなたから水の気配を感じます」
どういう事だろう。透明感があるってこと? それとも若いってことかな?
あっ! もしかしてスキルのことかな。
「コレのことを言っていますか?」
水華弾を宙に出してみる。
「それだけ?」
おっと、薬水も出し、2つをそのまま宙に漂わせ見せる。
「それ、くださらない?」
どうぞこんな物で良ければいくらでも。水浴びのお礼にもならないんだけどなぁ。
2つを受け取ったニンフは、一つ一つゆっくりと口をつけ飲み始めた。
「なんて美味しい水なんでしょう。ありがとうございます」
喜んでもらえてよかった。それでは失礼します。
そろそろ火起こしをして、食事の準備をしないと遅くなっちゃうよ。
薪になる枝を拾いつつ戻って……あれ、うしろをニンフがついてきている。気のせいかな。
「どうしたのですか?」
「貴方についていきますよ。そんなことも分からないなんて、ちょっとバカかしら?」
あれ、急に口が悪い。いやそんなことより、ツイていくってどうして?
「水をくれたでしょ、だから付いて行く事にしたのよ。う~ん、やっぱ、あったま悪いわ、この子」
慌ててステータスオープンしてみると、まさかが当たっていた。
ジェンナ
ウンディーネ(レア):メス
Lv:8
従魔契約主人:ユウマ·ハットリ
スキル:湖畔形成 水魔法
またしても、ネームドモンスター。しかも知らない間にティム成功ってこれは有りなの?
確かに物を渡したけどおかしいよね。念のためもう1度スキル〝サルマワシ〞を確認してみる。
〝心服させた相手にスキルを発動させると高確率でティム出来る〞
歌ってもいないのにスキル発動と捉えられるの? 当てはまる範囲がゆるすぎて難しいよ。
「と、とにかくよろしくね、ジェンナ。でもさっきまでと少し言葉遣いが変わっていない?」
「精霊として湖に縛られていたけど、解き放たれたおかげかな。
クソッタレな爺ぃの顔見なくて済むから最高です。ニコッ」
端々に何か素が出てる感じのしゃべり方。もう少し抑えて欲しいな。
でも今は夕食の準備もあるし……うん、この事は後でゆっくり考えよう。
今日の夕食はホーンラビットのお肉でも出すかな……うん。
岩塩と香草で下処理をして、フライパンで焼いていく。いい匂いがしてきた。
ぐごうぅうぅうぅうぅっうぅうぅうっ。
なんかすごいお腹の音がしたよ。
真正面に光るマナコに涎まみれのエブリン! お、起きたんだね。
「肉だぎゃーーーーくれー!」
うわっ、飛びかかってきた。座ってフライパンを振っている姿勢では動けないよ。
―――ガガンッ―――
キンバリー、ナイスブロック。エブリンを空中で迎撃して、ついでに踏みつけている。
「マイマスターに手を出すとは! このまま焼けるまで待っておけ」
ハラヘッター肉ーニクーとうるさい。しょうがない、ちゃんと言って聞かせるかな。
「初めまして、エブリンだね。僕はユウマ。君をティムした者だよ。
お肉はもうすぐで焼けるから、みんなの分が出来るまで待っているんだよ」
ホワンとした顔で頷いている。
ちょっと短絡的なところはあるけれど、良い子みたいだ。
ようやく料理も出来上がり、みんなに配ってあげた。
「美味しいぎゃ! 何のお肉だぎゃ?」
「ただのホーンラビットだよ」
「違うぎゃ、なにかが……う、う、全然別物だぎゃ」
焼けたお肉を渡してあげると、すこぶるいい反応だった。
ここまで喜んでくれるとこっちも嬉しいな。
ただジェンナは僕が出すお水だけでいいそうで、余った1人分のお肉の行方は……。
「エブリンは先輩、お前が譲るんだぎゃ!」
「その手を離しなさい。盾でプレスしますよ」
2人で半分こ、すればいいじゃない。タカが肉ごときで、あーもー、ジェンナからも言ってあげてよ。
「2人とも性根が下品なのはしょうがないとして、肉ごときで騒ぐのは醜いですよ」
うはっ、頼んだ僕がバカだった。
「お前もお前で腹立つ奴だな。それにこれは聖戦なのだ。口を挟むな、カブッ!」
キンバリーがお肉にかぶりつき、エブリンも負けじと噛み付いてぶら下がっている。
もう知らないよ。こんなことで真剣になるなんて、くっだらないね。
……でも楽しいかも、お腹を抱えて笑っちゃった。ここ最近で1番ドキドキした夜だったよ。
次の朝、遺跡の高台に戻って薬草採取だ。
3人とも初めての事で興味シンシン、あれこれ聞いてくる。
楽しみながらやっているので、飲み込みも早く思ってた以上に順調だ。
3人ともそれぞれ特徴があるモンスターだが、頭が良く何よりも純粋だ。
従魔の契約をしているので、決して襲われないし、敬愛の念をもって接してくれる。
いつも互いに戦っている、人類とモンスターとは思えない。
ふと、ガーラル院長のが言っていた言葉を思い出す。
『モンスターが邪悪なのか、人類が罪深いのか私には分からない』
僕もモンスターという存在が分からなくなってきた。
もしかしたら、この子たちが特別な存在なのかもしれない。
これからは少しこのことを考えてみようかな。
薬草採取も終わり街へと向かうけど、ここで1つ心配なことが出てきた。
従魔は街の中へ入る事が出きるかどうかだ。
ホーンラビットで確かめておけば良かったよ。これは直接門番さんに聞くしかないか。
「やぁ、ユウマ君。昨日はキャンプをしたのかな? 少し心配したよ」
「お気遣いありがとうございます。実はモンスターをティムしていたので、予定より少し遅れました。それで従魔って街に入れるのですか?」
「ああ、それは問題ないよ。
この用紙に種類と名前を書いて、タグを従魔に付けさせ、1体につき銀貨1枚を払えば通れるよ」
よかったよ、じゃあ早速書いて提出。
「うん、不備はないね。ゴブリンとオークと、おっウンディーネもか、凄いね! それで肝心の従魔は何処かな?」
ここにいますよ、いやココ、ほら、この子たちですよ。門番さんは目をパチクリさせている。
普通は信じられないよね。ステータスオープンで確認してもらい、やっと納得してもらった。
街の中に入ったあとは、冒険者ギルドへ向かっている。
門番さんに、従魔もギルド登録しておくと良いと、教えてもらったんだ。
3人にとって人類の町は珍しく、ぽかんと口を開けたまま僕の後を付いてきた。
「マイマスターあれは何ですか?」
「あそこは雑貨屋といって、色んなもの売ってるんだよ」
「はぁ……よくわかりませんが」
「バカマスター、あれはあれは?」
「美容院って言って、髪を切ったり、綺麗にしてもらったりする所だよ」
「マスター、シャクシャク、じゃあれはシャクシャク、何だぎゃ?」
ん? シャクシャク? エブリン何か食べてる?
「こらー泥棒ーーーー!」
果物屋さんのおじさんが、怒鳴りながら追いかけてきた。
あわわわ、エブリンそのリンゴはもしかして?
「えへへへ、美味しいよ」
「おじさん、ごめんなさい。この子まだ社会に慣れていなくて、きちんと言い聞かせますので、許してあげてください」
「ああ、ユウマくんの知り合いかー。う~ん、分かったよ、しょうがない」
お金を払いなんとか許してもらえた。
「先に取ったのは私だぎゃ。あとからのくせになんで怒ってるぎゃ?」
「エブリン、人類の社会の中ではね、物にはそれぞれ、持ち主がすでに決まっているんだよ」
「え~、食べたらダメぎゃ?」
「欲しい時はお願いをするか、お金を払って譲ってもらうんだよ」
金貨を見せて説明をしてあげる。
「おお~! これがあれば食べれるだぎゃ?」
「ううん、絶対じゃないんだよ。もし相手が断ったら、それは諦めるしかないんだ」
「じゃ、お腹がすいたらどうするぎゃ?」
「だから、人は他人に対して優しくするんだよ」
ほわんとした顔で聞いている。あははっ、エブリンて可愛らしい表情をするなぁ。
「お腹が空いている人を見たら、自分のを分けてあげる。
みんながそういう事をすればさぁ、お腹を空せて困る人はいなくなるだろ?」
「おおー、すごいぎゃ! マスター、天才だぎゃ」
「ふん、やっぱりゴブリンは野蛮だな」
「なんだぎゃー、おっぱいオークのくせに!」
「な、言うなーーーーー!」
これから色々と、学んでもらう事がいっぱいだよ。
「バカマスター、私もエブリンと同じ認識でしたわ」
露天のアクセサリーを見ていたジェンナも、手を引っ込めていた。
はは、ここにも波乱を感じるかな。まぁ徐々に慣れてくれたらいいよ。
従魔って思っていたより大変で、気疲れしちゃったよ。
さあ宿屋へ行くよ……あれ、キンバリー何処に行った?
あーっ、いた。もう、知らない人についていかないでよ。あっ、エブリンまでー!
もー、お、ね、が、い、だから、宿に着くまでは大人しくしてよー!
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