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闇ッターズ

 迷宮都市ユバ。


 ここに1つの志を持つ者たちが集まった。老いも若きも男も女も関係ない。

 只々、その光に誘われ、光と戯れ、光に恋をする。儚く愚かな者たちよ。


 今日も集いしその者たちは、『ユマちゃん見守り隊』の面々だ。


 今日も今日とて偶像を追いかけ享楽にふける……のはずが珍しく、場の空気が沈んでいる。


 それは今、ユウマがエンディンダムに行っているせいである。

 特にNo.1は、皆が入ってくる前から泣いていて、手がつけられない状態だ。


 No.1「うっうっう……ついていけば良かった。

 ……なんで一緒に行かなかったんだろう、うっうっう~っ!

 ニャックの世話なんかしている場合じゃないんだよ~」


 No.4「あなたには勉強があるでしょ、それとお金もないのにどうやって行くの?

 ホントによくもまぁ、ミルクで酔っぱらえますね」


 No.1「うるさーい! こんなチンケなことで、僕とユマちゃんの間が遮られるだけでも悔しいのに。

 …………うっう、飲まなきゃやってられないよー、わーん」


 No.20「まぁ、落ち着いてくださいNo.1。遠く離れていっても、毎日情報が入ってくるよう、エンディンダムのギルド職員にお願いしてありますから」


 No.4「はい、早速昨日のユマちゃんの情報が入ってきてますよ。ほら元気出して~、いきますよ! 午前中、市内観光され、定番の似顔絵を書いてもらったりと楽しんだ後、午後は現代アート美術館でゆっくりと過ごされました。1日絵に囲まれた日になったそうです」


 No.2「ユマちゃんの似顔絵……」


 全会員「ほしーーーーーーい!」


 No.4「はい、そう言われると思いまして、その似顔絵師と接触してあります。こちらの会の趣旨を説明し、購入を希望すると伝えました。すると会員人数分を用意するから、是非〝ユマちゃん見守り隊〞に入会させてほしいと返答がありました」


 全会員「マジかーーーーーー!」


 湧き上がる会場、歓声というより悲鳴に近い。

 興奮するもの同士肩が叩き合い喜んだり、泣きながらその場に倒れる者もいた。


 彼らにしてみれば、旅行とはいえユウマがいない時間が苦痛だった。

 しかし、それを慰めるご褒美が想像以上だったから、心の底から喜んでいるのだ。


 しかし、まだ声を上げて喜んでいる…………ちょっと長い。


 …………まだ奇声を上げ続けている。…………そろそろ止めたら?


 ちょ、ちょっと近所迷惑だよ……ほら静かにしないとさ。


「うっせーぞー! おらぁーーーー!」


 隣の部屋の人に壁をゴンゴンガンガンゴンゴンガンガンたたかれた。


 No.2「あぁあぁぁ~しまった~。俺ちょっと謝ってくるわ…………」





 随分してからNo.2がやっと帰ってきた。

 少し涙目で何を聞いても『うん、大丈夫としか』答えない。


 No.1「コホン…………私も少し取り乱してしまったようだ、反省をしよう。しかし、その御仁、素晴らしい心意気だ。是非入会してもらおう」


 No.2「そうですね、No.19と交代で入ってもらえばいいですよ」


 No.19「あん? 何突っかかってきてんだよ、おめー? もう一度声枯れるまで騒ぎ倒してやろうか?」


 No.1「あまり和を乱すと2人とも除名しますよ」


 No.2、19「は~い」


 No.11「しかし、芸術の域にまでユマちゃんの魅力が反映されるとは……。これは今まで考えたことがありませんでしたね」


 No.1「そうだよ、我々としたことが大変な落ち度だ。その人物を招待し、芸術面からのアプローチをどうしたらよいか、相談をしたらどうだろう?」


 No.11「ええ、そうですね。それまでに各々アイデアを持ち寄り、実りのある会合にしたいですよね」


 No.19「いいぞ~、私も創作意欲が湧いてきたー!」


 No.13「じゃ、僕とNo.7さんが一緒に作っているフィギアとかも見てもらっていいの?」


 No.4「当たり前ですよ、だって私たちは『ユマちゃん見守り隊』なんですから」


 No.20「それに伴って、あの地から20名以上の、入会希望者の問い合わせも来ております」


 No.1「なるほど、それだけの人数になると一度こちらから行き、直接面談をしなければいけないな」


 No.20「しかし、向こうに行くと言っても、みんな仕事もあるし、金銭的な問題もありますよ。何かこう簡単に連絡の取り合えるものが、あるといいんですがねぇ」


 No.4「ギルドや領主間で使っている魔道具がありますが、現状は隠れてコッソリとしか使えないですしね。長い時間そういった事で使うとなると、ハードルが高いですね」


 No.19「そうだなぁ、もっと民間レベルで、手軽に使えるようなものがあればいいのに……」


 No.1「今すぐは無理でも、ゆくゆくはユマちゃんのためにも、実現させたい事案であるな」


 No.4「取り敢えず今はギルドには見つからないよう短時間でのやりとりするしかないですね」


 No.1「とにかく代表者だけでも、一度会ってみたいものだ。人とは話してみることで分かり合えるもんだと私は信じている。まずは入会を考えるのではなく、互いに理解できるかどうかを見てみよう」


 No.13「忙しくなりますねー!」



  と、どうでも良いことを語り合う。

 今日も今日とて偶像を追いかけ享楽にふけるのであった。



またこのパターンです。少々お付き合いください。


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