変人さん
ガーディアン。それは人々を救う鉄壁の守り人。
彼の者の前には敵はなく、彼の者の後ろに涙なし。
ジョブを手に入れたベルトランは大はしゃぎ!
そりゃ初ジョブだし、しかも希望のど真ん中で、テンション高くなるのはわかる。
でも、ちょっと落ち着こうか。
「おりゃー、【クレセント&サークル】そこ! 【タウント】」
「もういっちょ【クレセント&サークル】
……ん? MP足らないか……………。お、おっし、守りきったー!」
ここは1階。
今まで何の危なげもなく、戦っていた1階ですよ、ベルトランさん!
クレセント&サークルの効果って複数の敵に挑発をかけて、あと味方の防御力やらを上げるだっけ?
それって今いる?
で、次に単発タウントに、もういっちょ~って、MPないのに何してんの?
連戦じゃないからいいものの、守るどころか大ピンチに突入ですよー!
「ベルトラン……すごい……」
「おお、ミーシャ見てくれたか」
「かっこ……よかった……」
それはさておき、ミーシャが元気になってくれてよかった。
この前の横取り事件の時の一喝。
すごく格好良かったけど、本人は言葉の訛りがバレて、すごく落ち込んでいた。
カワイイと思うけど、コンプレックスに思っているなら、声をかけても余計に傷つくだけだし難しかったよ。
でもベルトランのガーディアンお祭り騒ぎのお陰で、今はこの通りはしゃいでいる。
なんだかんだこの2人は仲が良いよ。
同じ盾使いで、ギルドでの技術練習にも2人で通っているし、良い組み合わせかな。
でもベルトラン。僕たち独り立ちをするんだから、あんまり浮ついていると怪我をするよ。
そうして後日、ガーラル院長にも孤児院を出ると話した。
僕ら3人の門出だからと、心ばかりとその日の夕食で祝ってくれた。
ここを出ていっても、いつでもまた来れる。ここは家でもあるしみんなの故郷だ。
短い期間だったけど、ここでの生活は心温まる毎日だったなぁ。
また来ます、また来いよと言い交わしながらの出発だ。本当にありがとう、みんな。
そして、ガーラル院長ありがとうございました。あの時、救って頂いて本当に感謝しています。
荷物をまとめるといっても、マジックバックに入れるので両手はあいての宿決めだ。
宿の事は人にいろいろ聞いて調べてあるんだけど、ちゃんと見てから決めたい。
この迷宮都市ユバには、4つの宿屋があるんだ。
ランク的に、上級宿屋が1つに中が2つに下が1つ。
1番ランクが低い宿屋は銀貨2枚と格安。
でも汚いし食事も付いてないので、ここはパスします。
上級の宿代は高すぎの銀貨12枚と銅貨80枚(しかも税別)。
お風呂付きは魅力的だけど2人は入る習慣もないし、宿代がネックとなり却下となった。
真ん中2つの値段は銀貨5枚と銅貨80枚。
3日に1度シーツを換えてくれるのと、朝夕食付きのシャワー設備あり。2つの違いは場所と食事の質かな?
1つはギルドから遠いけど綺麗で大きな宿。
もう1つはギルドにほど近く、三階建ての落ち着いた雰囲気。
それと女将さんがとにかく元気な人なんだ。
そんなところも気に入ってギルドに近いここ〝白い子山羊亭〞に決めたんだ。
それで部屋割りなんだけど、僕は1人部屋にした。
少し高くなるけど開放感は欲しいからね。
2人は逆に1人になることを嫌がって、同室でワイワイやっている。
宿へと移った事でベルトランの張り切りが、益々すごくなっている。
このままだといけないって話し合い、少しの間ダンジョンを離れることにした。
ギルドポイントを稼ぐいい機会で、普段しないクエストを見るのも楽しいや。
ちなみにポーだけは商工ギルドへ行った。
「これなんかどうかしら? 王都まで護衛 6日間 銀貨80枚」
「護衛は楽しそうに思えて結構しんどいぞ、それよりジャイアントトードの肝集めは?」
え~、戦闘系はやめようよ。
あ、モニカさんがいたよ、何かないか聞いてみようよ。
「そうねえ、あなたたち全員文字は読めたわよね? これなんかどうかしら、さっき入ったばかりよ」
書斎の整理 10日間 銀貨40枚。
報酬は安いけど、ポイント稼ぎにはちょうどいい。
2度目の貴族街。
高い台にあるこの場所は見晴らしも良く、いい風が吹いている。
今回訪ねるのは、ヘンリー·モーリア男爵に仕える執事のマーカスさん。
裏手から入ると、まずボディーチェックと文字の読み書きを試された。
そのあと今回の仕事場となる書斎に案内されたが、規模が大きすぎる。
図書室かと思うほどの広さに、びっしりと山積みにされた本。
このどうしようもない状態の本たちを、新しく本棚を設置するので、そこに収納するのが今回の仕事だ。
「今日は天気も良くこれから晴れる日が続くようです。
まず順次外へ運び出し、虫干しをしてもらいます」
落ち着いた声だけど厳しさがある話し方だ。
「次に明日からの本棚の設置予定に向けて、スペースを作らねばなりません。
予め出す順番を考えてありますので、その指示に従ってもらいます。
それではあなたとあなた、外での虫干し担当役で。その他の人が運び役です。
まずここの一角から行きますよ。はい始め!」
男爵家の執事感がハンパない。指示の出し方がテキパキしているよ。
本は大変貴重なもので雑には使えない。
しかも数がすごく、1万冊以上あるらしい。数を数えるのも今回の目的だそうだ。
セッセと運んでいると、1人の男性がフラフラと近寄ってきて本を物色して拾い始めた。
「ベーグット様お待ちください。
お話しした通り今日より10日間、本の使用はできません」
執事のマーカスさんが慌てて走ってきた。
「いやなにね。思いついたことがあるから、ちょっと調べるんで二、三冊持っていくよ」
「ダメです。それだけで済むはずありません。10日間辛抱してください。
ほらお部屋で、書類の整理が残っているはずです。早くお戻りを!」
けんもほろろに追い払われた。
「ったく、あのクソガキが。いつも散らかしやがってこっちの身にもなってみろ」
マーカスさんメチャきれてる。
「あなたたち、さっきの方はこのお屋敷の三男にあたるベーグット様だ。
また来たとしてもお断りするように。だがその時の礼儀には気をつける事」
すげーや、悪態ついたあとこの台詞。マーカスさんちょっと怖い。
それよりベーグット様ってなんか、だらしなさそうな人だな。ハワード子爵様とは大違いだよ。
その後も何度かやってきたが、こちらはとにかく忙しいので構っていられなかった。
本の虫干しは1時間を目安にして、次々と干さなきゃいけない。
ユッタリとしている貴族が羨ましいよ。
野人さんの読んでいます。
僕と正反対な表現ですげー面白いです。
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