中ボス、いっちゃいます
中ボス初挑戦で、開戦前のごたつきはあったけど、なんとか始まってよかったよ。
さっきの打ち合わせ通りに、タゲ取りまで上手くいった。
だけど、2㍍を超える大男の迫力は、見上げると身が縮こまってしまう。
うっ、みんなも少し、動きが悪いんじゃないかな。
ここは何か切っ掛けを作って、流れを変えなくちゃ。このままじゃあ、ズルズルいっちゃうよ。
「ユウマ、足元すくえ」
「あ、分かった。【土遁の術・土竜崩し】」
ダンジョンの中は外とは違い、深くは掘れない。せいぜい50㌢ってところだ。
でも、幅や大きさとタイミングを考え、ピンポイントに出現させれば、味方に害のない穴ぼっこの出来上がり。
膝から崩れたクライングビッグホーンに、ここぞとばかりみんなで叩きこむ。
「ブゥフオォーーッググッ」
明らかにダメージ入っていて、これでみんなも調子が出てきた。
ん? 1人特に調子に乗ってる人が。……ドンクか……ファイト。
【風遁の術・疾風】(力を)
よし、脇腹に入った。次は肩だ。
【風遁の術・疾風】(力を)
これで自慢の斧も動かしにくいはずだ。
と思ったその時、クライングビックホーンが溜めの姿勢に入った。なんかくる!
「全員退避、次に備えろ」
横旋回での斧のぶん回しだった。無軌道な動きで、みんなに襲いかかる。
しかも、旋回しながら、急に大きくジャンプをした。着地の先にはナオミがいる。
「キャーーーッ」
斧には当たってはいないけど、着地の衝撃に大きく弾き飛ばされた。
「ナオミ、気を確かに【ヒール】」
クライングビックホーンは、まだ尚も旋回を続け、迂闊に近づけない。
土竜崩しで止めるかと考えていたら、ベルトランが前に出たよ。
盾を構え行く手を阻む様にして、クライングビックホーンの前に、立ちはだかったんだ。
すごい勇気だよ。恐怖心を一切見せずに、敵を見据えている。
普通なら、あんな風に堂々とはできない。
でも大丈夫かな? 何かある前にベルトランには悪いけど、僕ので止めるべきじゃないかな?
どうしよう。
と、パスッ! ………………はぁ?
ドンクが放った矢が敵の目に突き刺さり、羊もたまらず仰け反り体勢を崩した。
すごい勇気だ……ドンク。ベルトランの覚悟を見ていなかったのかな?
空気が読めないって……逆にカッコいい?
「ブゥフォー」
ナオミの魔法弾があごに決まり、フラフラしたところを全員で同時に叩き込む。
僕も影分身と一緒に、ありったけの力を込めて間を置かずに攻撃する。
ベルトランからの目配せと共に、シールドバッシュが決まり、羊が膝をついた。今がチャンスだ!
【風遁の術・疾風】(もっと力を)
タイミングも角度も完璧な、渾身の一撃が首元にきまった!
首のないその胴体は、声にならない咆哮をあげ崩れ落ちた。
「よっしゃー勝利だぜー!」
「やったわ、すごいじゃない私たち」
「私にも……でき……た……」
「怪我も少ないので私の出番はありませんが、それが一番です」
「俺っち、おれっち、おれ……」
「ミーシャの突き崩しや、ナオミのあのタイミングでの一撃。どれも素晴らしかったぜ。そうだよな?」
「俺っちのボウガンでの、あの一撃よかったよな?」
「ポーも臨機応変に立ち回ってくれて、HPの不安もなかったしね。
それに私、ユウマの影分身とのトリプルアタック、すごく感動したわ」
「それもいいけど、俺っちのあの一撃ってさ……」
「僕なんか全然だよ。
やっぱり、あの回転してきた時の、ベルトランのあの勇気、誰にでもできることじゃないよ」
「なっなっ、その時のあの目への一撃が効いたんだよな?」
「「……………………」」
「あれ? みんなどうしたのかな?」
「「そだねー」」
みんなの白けた顔に、ようやくドンクも気づいたみたい。
「ま、とにかくドロップアイテム見ようぜ」
さすがボス、数が多い、しかも。
「宝箱もあるぜ!」
その声に、応援してくれていたミラージュパトリオットからも、歓声が上がる。
「あける……なら……ドンクが……」
うんうん、罠があっても困るしね……。あれあれ~? どうしたの~ドンク?
「なんだよ、みんなで。俺っち頑張ったのに……皆でさ、グスッ」
わー、ごめんちょっと調子乗っちゃったけど、気にしないでよ。ごめんね。
ドンクが、あんな美味しいところを持っていくからさー。
「そ、そ、カッコよかったぜ、あれ。スパッてきまってな?」
「うん、ドンクがいなかったら、今頃どうなっていたか」
「そうだ……よ……誇って……いい」
「そ、そう?」
「そりゃそうさ。それに鍵開けはやっぱプロじゃないとね、ね?」
「いつものようにパパッとカッコよく!」
「宝箱は初めてだけど、俺っちてカッコいいか。フフ、しゃーねーな! いっちょやるかーーーー」
機嫌直ってよかったよー。
「……ん? ちょっと待て、さっきの1人まだ残ってねぇ?」
本当だ。はじめに倒れたドワーフが、まだエリアの内側でそのままだ。
それってもしかして、約束はどうなったの?
救援の要請を受けているから、問題はないと思うんだけど、掟破りの人達だし。
ここにきて、またしても不安が残る事態だよ。
GW…………
ダメだと分かっているのに、映画を何本も借りちゃいました。
見たら書けないって分かっているのに、止まりませんでした。
自分の意志の弱さが恨めしい。
今日こそいっぱい書くぞーーーー!
楽しい話だと思ったら、お星の評価★★★★★
そしてブックマークよろしくお願いします。




