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見守り隊

 ここは迷宮都市ユバ。


 ここに1つの志を持つ仲間が集まった。老いも若きも男も女も関係ない。

 只々その光に誘われ、光と戯れ、光に恋をする。儚く愚かな者達よ。


 今日も集いしその者たちの名は、『ユマちゃん見守り隊』


 No.1「今ユバの街が、大変な好景気に沸いています。物はあふれ人が集まり、治安も一部を除いて向上しています。そして、その中心にいるのはなんと、我らがユマちゃんなのです」


 No.4「それではお配りしました資料を、ご覧ください。ユマちゃん周辺でみられる、経済効果及び、環境の変化が載せてあります」


 ①ユマちゃんの行動範囲及び周辺で、見守り隊による危険分子の排除、それによる治安向上


 ②ユマちゃん見たさに人が集まる


 ③ユマちゃんに良い所を見せたくて、店の商品を爆買いする人、続出


 ④上記と同じ理由で、人に親切にする行動が激増


 ⑤集まった者たちの中で、この好景気による人手不足の店舗への就職が決定した者、多数


 ⑥お年寄りも一目見ようと出かけるので、元気になり寿命も伸びています




 No.11「素晴らしい、ユマ様。まさに女神です」


 No.2「ははは、どっかのボンクラ領主には、できないことですなー」


 No.19「あ~ん? なんだって~、おめぇに何がわかんだよ? そんな簡単にポンポンなんでも良くなるって、大変なんだぞコラ!」


 No.2「簡単にしているユマちゃんを、見習うべきじゃないですかね」


 No.19「テメェ、表でろ!」


 No.1「2人ともほどほどにね! No.4他に何かあるかね?」


 No.4「はい、こんなお手紙も届いております。PN. 嬉しい母 さんからです」



 〝みなさん、こんにちは。お礼の手紙です。ユウマさんのおかげで12年間、引きこもっていた息子が外に出てくれました。そして3日前、仕事を決めてきたぞと、小さな声ですが教えてくれたのです。会話も久しぶりで、嬉しくて本当に感謝しております。ありがとうございました〞



 No.4「いいお話ですね」


 No.19「そこまで影響があるとは……素晴らしい」

 No.2「ふん」

 No.19「チッ……!」

 No.13「…………」


 No.4「続いて、PN. ポンポコペー さんからです」



 〝先日寝たきりの母親に、ユウマちゃんを見せようと思い外へ連れてきました。でもユマちゃんは見つからず、母をその場において探していました。なかなか見つからず、母の所まで戻ろうとしました。そうしたら、そこにはなんとユマちゃんに手を取られ、道路を渡る母の姿があったのです。しかも次の日から、ユマちゃん見たさに、自分の足で出かけていくのです。これは奇跡です、この奇跡を皆さんにも伝えてください。ありがとう〞



 No.4「お母さん良かったですね。ユマちゃんの優しさが溢れるエピソードでした。続いて次のお便りです。PN. 本人 さんからです」



 〝僕はユマちゃんです。どうか皆さん僕のことは放っておいてください。僕には決まった人がいるのです。ジミーさんしかいないんです。もう関わらないでください。さようなら〞


 No.4「完璧に偽物ですね! 成敗しておきましょう」


 No.1「うむ、きっちりと躾けておくぞ! 居場所は突き止めてあるのか?」


 No.4「はいバッチリです。今頃、部隊が踏み込んでいるはずです」


 会員「ぬぬぬぬ、ユマちゃんに決まった人がいるなんて、ウソだーー!」


 No.4「だから、こいつは偽物で、ジミー本人ですよ」

 会員「ぬぬぬーー。ここは潔く身を引くべきか、それとも玉砕テロをするべきか……うおー!!」


 No.4「オイッ!!」


 No.1「そいつも躾るぞ…………何にせよ、これだけの影響力、さすがユマちゃんだ」




 そんなバカな会話をしている同時刻。ユウマはハンナと会っていた。


 先程裏通りのアパートで大捕物があったみたいで、周囲に気を配りながら会っている。


 騒動はすぐに終わり、大事には至らなかったみたいだけど、ユウマはなんで今日なんだと、心の中で悪態をついてしまう。


 というのも今日はハンナの誕生日で、プレゼントを渡すため2人は会っているのだ。


 あらかじめ、ユウマがその旨を伝えてあるし、互いにドキドキしながら、通りのベンチで座って話をしている。


 ユウマは駆け出しの冒険者ではあるけど、精一杯のものを用意していた。


 包みの中は、シンプルだが可愛いデザインの髪留めが2つ。


「ハンナの髪の色に似合うと思ってさ、君の髪は綺麗だからつけてくれると嬉しいな」


 喜んでつけてみるハンナ。ちょっと照れくさそうに笑っている。


「ありがとう……どう、似合うかしら?」


 幸せな時間だ。


 こちらに来て半年も経つが、何1つ日本へ帰る手掛かりは掴めていない。


 焦る気持ちでいっぱいだ。

 だけど、ハンナとこうしている時だけは、そのことを忘れることができる。


 人生初のプレゼントを渡す相手がハンナでよかった。

 それ以外では、母や姉であったことを思い出す。


「どうしたの、ユウマ君? 何か嫌なことでもあったの?」


「ううん、違うんだ。前にも話した家族の事なんだ。

 父さん、母さんとお姉ちゃんの3人はね、実はハンナと同じこの12月の誕生日なんだ。

 5日、10日、15日とバラバラだけど、いつも毎年3人まとめてお祝いするから、不満ばかり言っていたのを思い出してね」


「じゃあ、私もユウマ君の家族に会えたら、まとめて祝ってもらえるかしら?」


「うん、賑やかになって楽しいと思うよ。みんなもそれを喜んでくれるはずさ」


 ジョークのつもりで言った何気ない一言へ、返ってきた言葉に赤くなるハンナ。

 そしてその反応に、やらかしてしまったと慌てるユウマ。


 途中までは良かったのに、年相応のふたりである。


「来年も一緒に祝おうね、ハンナ」


 なんとか、搾り出せたその一言に、黙って頷いている彼女を見て、その姿がまた愛おしいと思うユウマだった。




「ぼくだよー、ジミーだよー、助けてー」


「ちゃんと躾てやるからな、覚悟しろよ」


 変な雑音も響いてくるが、2人の耳には入らない。それほど幸せな時間なのだ。



いつも読んで頂きありがとうございます。


今日は連続投稿しようと思っています。

よかったら読んでください。

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