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僕の戦闘スタイル

「早かったじゃねえか。その顔はいいものに出会えたってとこだな」


 おかげさまで、満足しています。


「ほぉ、これは良いものを……金貨1枚と銀貨90枚で受け流しか。う~んなるほどな!」


 あの独特な挨拶さえなかったら、最高だったんですけどね。


「ハハハッいいヤツだろ。やはりアイツを紹介して正解だっぜ。

 考え方も間違っちゃいねえし、この逸品ときた。よし、じゃあこっちの番だ」


 おもむろに、3本のショートソードを取り出した。


「まずこいつだが、ヘクターが魔力重視で考えるかと思って用意したものだ。

 素材は一般鋼で少し短めだが、柄のところに魔石が埋め込まれていて、付与効果で魔力を上げてくれる代物だ。

 だが、こいつはこの防具にあっちゃいねぇ」


 そう言うと後ろへ下げた。



「ここからが本番だ。

 まずこいつの素材は同じく一般鋼の片刃剣のショートソードだ。

 長さ重さも一般的だが刀身に粘りがあり、その粘りが切れ味を高めてくれる。ほれ、持ってみろ」


 うっすらと濡れたような刀身、刃先の鋭さも見とれてしまう。


 振ってみると、ス――――ッと空気をも裂く感じがする。す、凄い……。


 カルヴィンさんはニヤッと笑うと、今度は厚手のククリナイフをカウンターに置いた。


「お次はこいつだ。素材は同じく一般鋼。

 同じタイプのより少し大きめで、厚さ・重量があり、斬るというよりは『刈る』といったショートソードだ。

 特徴としては、重心を刃先に持ってきていて、その分厚みと握り手をしっかりとさせてある。ほれ」



 確かに重い。振り回される事はないが、振ると剣の力強さが伝わってくる。



「そいつは重量があるから攻撃力も高いぞ。ゴブリンの首根っこも一撃だろうよ。

 ただ、振り抜くのが前提だし、防御力が高い敵だと途中で刃が止まってしまう。

 よっぽどの力がないと、場合によっては扱いが難しい代物だよ」



「その点、2番目に出したこいつはお勧めだ!

 斬ることに特化し、振り切ることで次への流れも作れるんだ」


 確かにこの片刃剣には魅力がある。一体感も悪くない。


 しかし、こっちのククリナイフも気になる。

 でも、強敵と対峙したときの事を考えるとなぁ……。あっ、あれがあるじゃん!!


「カルヴィンさん、実は僕こちらの方が気になるんです。

 さっき言われた『力がないと』てことなんですが、スキルで力を補ってはダメですか?」


 よく使う風遁の術・疾風、これでキメの一撃を放つなら、もしかしていけるかもしれない。


 カルヴィンさんに促され、木材で試し切りをすることにした。腕ほどの太さだ。


【風遁の術・疾風】(力を)

 ズバッとキマリ難なく断ち切る。


「ほぉ、次は少し太いぞ」


 胴回りもほどもある太さだが、これも真っ二つ。


「うむ、少し待ってろ。…………これは無理だろうが一度やってみるか?」


 なにやら、白くてブヨブヨした塊を持ってきた。


 ちょっと気合を入れて試したが、5分の1も刃が通らず途中で止まってしまった。



「おお~! 凄い、ここまで斬れるのか。いける、いけるぞ坊主!

 これはジャイアントオーガの腕だ。

 骨はもちろん、皮膚·筋肉に至るまで硬さと弾力を兼ね備えたモンスターだ。

 それをレベル1でここまでいける斬撃なら、どんな敵にでも通用するぞ」



 嬉しい。人に評価されて、それも思いのほか高いと素直に嬉しい。


「それでだ。値段の方は片刃の方が金貨7枚で、あとのほうが金貨8枚と銀貨60枚だ」


 たっかーーーー!

 いや、買えるけど、やっぱり武器って身を守るものだから高いみたい……悩むなぁ。


「すまんな。もっと安いものもあるんだが、お前を見たら、ついこのクラスの物でないとって思ってな。どうする他のも見るか?」


 買います、買わせて頂きます。ククリナイフ格好いいもん。

 でも防具と合わせて金貨10枚越えって……仕方ないか。


「ついでにもう1つ良いですか? 柄の先に紐を付けてください」


「ストラップか? いいけど、かっこ悪くねぇか?」


 忍術で印を結んだり、アイテムを使うときに両手が空いてるほうが、便利だと思うんだけどなぁ。


「まっ、人それぞれだからな。分かった任しておけ」


 聞かれもせずにピンクに決められたので、慌てて変更。僕のことを坊主って言ってるくせにさ。


「それと坊主。この木剣を見ると、相手の攻撃を剣で受けているみたいだな。

 できたら、受け流しか回避に専念しみな。

 いやなにね。剣で受けてもいいんだが受ければその分脆くなる。

 特に強い斬撃を放つなら、いざって時にその脆さが仇になるからよ」



「『受けるもので受け、斬るもので斬れ』だ。まぁ、がんばれよ」


 それからの毎日は、ハンナに心配をかけさせない程度に抑えた狩りをした。


 新しい武器にもなれ、薬草探しにも精を出し、いつもの森でゴブリンを刈る毎日。



 だがその森の中、誰も気づかない異変が起きていた。

 後日それを目の前にした僕たちは、只々呆然とするしかなかったのだ。



次話にご期待下さい。

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