歌姫♂は今日はエッチぃ
総合評価150ポイント! ブクマ30!いつもありがとうございます! 少し遅れてすみません!
「似合ってるよ」
「うるせえ。くそ、いくらパーカーのためとはいえスカートなんて……て、写真なんか取るんじゃねぇ!」
スマホで高速連写する私を止めようとするもスカートのため派手に動けない。丈にもよるが案外動いても下着は見えないものだけど初めて穿く結月は極端に動かないようにしていた。
「くっ! せめて誰だかわからないようにしてやる!」
私からスマホを取るのを諦め右腕で顔、特に目の辺りを隠す。しかし左手でスカートを抑えているためスマホの画面越しに見ると眼元を隠しながら顔を赤くして下半身に左手を添えているように見える。
「結月君。凄くエッチぃよそれ」
その言葉がいけなかった。ただでさえ恥ずかしい思いをしている彼が卑猥な言葉を耳にしたらどうなるか、何を想像したのかはわからないけどナニを想像したのかスカートの前の部分が膨れ上がっていく。
「ちょっと?! ナニ考えてるの?!」
「お前が……! え、エッチとか言うから……」
試着室のカーテンが閉められ見えなくなる。そうだった。彼も男なんだ。いや認識はしてたけど、男だと思わされた。ちょっと恥ずかしい。反省しよう。
それだけじゃない。ただでさえ見た目が美少女なのにもしそんなポーズをされて誘われたら女の私でも即OKしちゃう。だってエッチぃもん。仕方ないもの。大事な事、あれはエッチぃ。
でも何だろう、このドキドキ、好奇心だろうか、あのまま外に出してしまいたい欲がある。どうしよう、何かに目覚めそう。いやもう目覚めてるかもしれない。だって私の手にはもう次の服があるのだから。
「次はこれを着てみて」
返事が返ってこない。それどころか出てくる気配が全くない。引きこもってしまった。
「ごめんって、さっきの言葉はもう言わないから。それに今度のは長めのスカートだから」
無反応。流石にずっと引き込もられると困るので仕方ない。
「これ着てくれたらパーカー譲るから」
端からゆっくりと手だけが出てくる。ちょろい。服を渡すと1分後にカーテンが開かれる。
「?!」
白いワンピースに桜柄のピンクの和服を羽織る。たった2つのシンプルな服装。洋と和、2つの文化が作り出した全く違う着物の筈なのに互いに喧嘩などせず一つの完成形ともいうべきだろうか。他に手を加えるべきじゃない。そう思えた。どんなデザインでも着ると重そうなイメージがある和服だが白いワンピースがフワリと風で靡くと和服も靡いた気がし、羽織っているだけと言うこともあり重いイメージの和服は美少女が着ているのもあって羽でもついているかのように見えた。
結月が優しく笑うと白いワンピースが彼女をおしとやかに見せる。そこに和服がおとなしそうなイメージを据え付けるも一歩動けば今度は錯覚じゃない揺れた和服が一瞬にして元気に駆け巡るおてんば少女を想像させる。
いつの間にかスマホを取られていた。見惚れていた。シャッターチャンスはあったし取られないように逃げることもできた。でもしなかった。その発想に行かなかったからだ。見惚れてしまった。
我に返った私はスマホを取り返すも電源を切られていて直ぐに写真を取ることは敵わなかった。
それにしても吹っ切れたのか、それとも無心にしたのかさきほどまで赤かった顔は元通りになっている。いや無心は無いとおもう。笑顔だったし。
「『歌姫』として声を出さずに歌って恥ずかしさを消し飛ばした」
「なるほど、だから無反応だったのね」
『歌姫』の時は恥ずかしさも何もかも消し飛ぶからそれを応用したのね。それにしても風もあってか靡いて凄く綺麗に見える……風?
「店内なのにどうして風が?」
横を見ると何故か送風機を設置している店員がいた。こちらが見ていることに気づくと笑顔になり
「気にしないでくださいお客様」
「いや明らかに風があったほうが魅力的に見えるからですよね」
「ワンピースも和服お高いですが今ならそこで記念写真を撮れば特別20%引きです」
目の前にいる絶世の美少女の写真を合法的に撮りたいが為にかってにセールを始める店員。結月は笑顔のまま振り返って試着室に入ろうとした瞬間謎のマダム軍団がいきなり試着室を占拠し入れなくなった。
「結月君。あのマダム軍団は有名で一度試着室を占拠すると一時間は開かないと有名なの。しかも大量の試着、買い物をするから店側も対応に頭を悩ませてるって」
たまに見かけるけどその時は客も店員も揃って嫌な顔をするが今回ばかしは全力ガッツポーズを決める店員。試着で一時間も服を着ていられないしかといってさっきも言ったとおり高めの服。
「記念写真お願いします」
目が死んだ『歌姫』がそこにいた。
試着が開かないということは着替える場所がないし女の格好で男子トイレに入るわけにもいかないしかと言って男なので女子トイレにも入れない。つまり次回はわかりますね?