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歌姫♂の体育祭は終わり

体育祭ほんと終わった。

『今年の優勝はC組みです!』


C組み全員喉を痛めてでも、その声が枯れるで歓喜に染まる。全体的に実力が均一だったので騎馬戦の大量得点が決め手だった。他の組はそれがわかっていたので半ば諦めていた。その為一番最初に発表された。それでも2位だ。まだ諦めたわけじゃない。この場にいる全員が必死だった。だからこそ誰もが自身の組みの2位を疑わなかった。


『2位から5位はほぼ同点。なので、一気に公開します!』


皆、ポイントを凝視する。緊張が走る。これまで頑張ってきた。それはみんな同じ。だからこそ、誰もが願う。


『今年の準優勝は………………B組です! 3位、A組、4位E組、5位D組です!』


負けたかぁ。3位とは、微妙な数字だな。


「………悔しいなぁ」


「だね。毎日朝練したり放課後も残って走ったのに。結構頑張ったと思うんだけどなぁ」


「どれだけ頑張っても、それは周りも一緒だから。人一倍頑張るって言うのは、難しいよな」


「そうだね。それこそ、『人生をかける』程の覚悟がなきゃ…………私は音楽を聞くことに人生かけてる気がするけど、それがマラソンの上位に繋がってるんだよね」


「俺もある意味歌に生活がかかってたから応援歌のときあそこまで歌えたな………武露切(ブロリ)の前では無意味だったが」


今思い返してみれば、『続けている』事が強みなのかもしれない。この体育祭で良くわかった。騎馬戦だって、一年間ずっと筋トレだけを極めた武露切が勝ったし、部活対抗リレーもずっと走ってた陸上部が勝った。マラソンは不参加だったから宇多聴も俺も上位に入れた。俺の歌も、活動をしてきたから。


『今年のMVPは……………季慈露双葉(いじろふたば)選手です! 彼はほぼ全ての競技で一位を取り騎馬戦でも絶望的な状況でも諦めず指揮し2位になっています。盛大な拍手を!』


MVP賞を受け取った双葉は台の上でそれを大きく掲げる。すげえな。双葉も部活にこそ入っていなかったが小さい頃からずっと運動を続けてたって言ってたし、バイト先では相当な身体能力が必要なのかただでさえ良かった運動神経が高校に入ってから異常に上がっていると双葉お同中の奴が言っていた。


実戦? て言い方はあってるかわからないけど、運動部は大会、宇多聴は外出(山登り等色々)、俺は歌を歌う。それが積み重なって体育祭のどこかで役立った。


でも、『続けられた』て事は結局


「楽しかっな」


こうして体育祭は終わり、暫くして片付けが始まる。










「……………………どうして後日片付けじゃないんだろ」


「せやな」


「それな」


「わかる」


『わかる(一心同体)』


疲れ切った体を引きずるように動かす一同。終わった瞬間にどっと体が重くなった為に余計机とかが重く感じる


「後日本来片付けの時間を利用して打ち上げするからだろ? 室内でバーベキューだそうだ。うちの学校設備いいからな。窓開けなくても余裕で換気できるぞ。それに騒いでもバレないしな」


矢島復活したんだ。


『よっしゃァァァァァァァァァァ!!!』


疲れが一瞬にして吹き飛んだ一同。


「最高じゃねえか」


やる気を出したので片付けも早くなる。一段落ついて少し休憩する。


「そういや日白(かしろ)さんとお前が知り合いなの聞いてなかったな。どういう関係なんだ?」


矢島の奴余計な事を思い出しやがって、そのまま保健室で寝てれば良かったのに。


「どう言うって、姉貴が知り合いだったみたいで、んでLIVE見に行った俺は姉と間違えられましたってわけ」


「お前の姉貴なんの仕事してるんだ?」


「音楽関係、としかきいてない」


矢島が余計な事を言うからほら周りから嫉妬の目で………なんで優しい目なの? ねえなんで? いや、恨まれないのは嬉しいけどなんでそんな我が子を見守るような目で見るの?


「くっそ〜、俺も美少女とお友達になりたい」


「無理だな」


「だね」


「うん」


「間違いない」


「はぁ?!」


「ハハハハハハハハハ!!」


何だかんだ皆楽しそうにしている。


「さて、もう一息だ………………………双葉?」


目に入った双葉も楽しそうにしているが少し寂しそうき見えた。気のせいかもしれないが過去一度もそう見えたことも無かったので気になった。


「ん? なんだ?」 


「……MVP凄いな。他の運動部を出し抜いて一位とか」


「そりゃ鍛えてるからな。パルクールだってできるぞ」


誇らしげにいう。いつもの双葉だった。気のせいか。寂しそうに見えたのもこんなに盛り上がった体育祭は初めてだから、終わって欲しくなかったんだろう。


「それに…………」


「それに?」


「『必要』だからな」


「必要? ああ、バイトにか」


「双葉、これ運ぶの手伝ってくれ」


「すぐ行く」


双葉は機材を運ぶのを手伝いに行く。


『必要』か。そういや双葉のバイトは割が良いんだっけ。一人暮らしだから金も、それを稼ぐ能力も必要か。


俺も金を稼ぐ為に『歌姫』の『歌声』が必要なんだ。


『人生をかける』


もしこのまま歌に全て捧げたらどうなるんだろう。『歌姫(結月晴)』としてじゃなく、俺自身でも。興味はある。でも、それほどの覚悟なんてない。

今日、歌うの楽しかったなぁ。そういや歌自慢大会、そろそろか。今回は元々体育祭と言うノリがあったから無理矢理やり直しが聞いたけど、次のは本当にぶっつけ本番。失敗したら笑われるかもしれないけど、もし大歓声だったら……………すっごく楽しいし嬉しいだろうな。


「ふ、ふふ」


ポン。といきなり肩を軽く叩かれた。振り向くと宇多聴が引いた目で見てくる。


「さっきから同じ場所を掃きながら薄気味悪く笑って気持ち悪いよ」


よく見たら周りの奴ら全員が俺を見ていた。


「…………ワリィ」


恥ずかしい。






予定より長くなった。こんな長くなるんだったら歌自慢だけに絞れば良かった。と後悔している。


ブクマと高評価お願いします。

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