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歌姫♂の体育祭はハードル走

エッチぃ

『次の競技はハードル走です。競技に出る人は準備してください。そして双葉(ふたば)お前もだろさっさと行って来い』 

 

俺が出る競技の一つの為入場ゲートに向かう。双葉もこれに出るのか。一緒には走りたくないな。負ける。


入場ゲートに並ぶと熱気が凄い。準備体操する為に感覚を開けていた最初の整列とは違いもうすぐ始まる競技に熱意と敵意が直に伝わる程の距離。その熱気に囲まれ観客席の盛り上がりもあり無理矢理でも闘志をかき立てられる。気温が少々高いこともあって体は常に全力を出せる状態。緊張から流れる僅かな汗が頬をつたり顎から地面に落ちる。


『選手! 入場!』


合わせる練習をした覚えはないが同時に立ち上がり入場ゲートをくぐる。指定された所に皆で並ぶ。


『始まりましたハードル走! 一組目がスタートに付きました』


次が俺の番。僅かでも早く反応できるようによーいって言ってからピストルが撃たれるまでのタイミングを測れ。


「位置について、ヨーイ……………」


パアン!!!


『何という事だ! B組の双葉選手ぶっちぎりだぁ! 足の付け根辺りまであるハードルを軽々と飛び越える! はやい! まるで最初っから飛び越えるもなど無い様だ! 2位と十メートル以上の差をつけてゴーール! 』


ゴールしたあとそのまま実況席へ走っていく双葉。実況テーブルを飛び越えるとそのままマイク席を奪う。


『実況変わって双葉だ! 文句ねえな! 』


「おおありだよ!」


おいおいおいあいつまた奪ったよ。と言うかあのまま行くのかよ。どんだけだよ。でも凄えな。あんなに皆の前で堂々とできるの。

気にするのは後だ。俺の番だ。ここで一位を取って3組目以降のA組全員の気持ちをあげなければいけない。深呼吸。心を落ち着かせろ。揺らぎの無い炎のように静かに。そして熱く。体を燃やせ! 一気にいけ!


「位置について、ヨーイ」


…………今だ!

パアン!!!


タイミングを測ってフライングと疑われかねない早さで走り出す。それでも2度目は鳴らない。ハードルを飛び越える。マラソンの走り込みついでにジャンプ力も鍛えた。


『誰よりも早い反応をした晴夜(はるや)選手! 一歩はやくハードルを飛び越える! このリードを保てるか?!』


ハードル走は飛び越えるときも含め頭の位置、高さを変えずに走り切るのがベスト。だが俺達は陸上選手でもなんでもない。無理矢理でも飛び超えればよい。走る勢いさえ死ななければ勝機はある!

後ろを見る暇なんてない。油断するな。ハードルは全部で5つ。少しずつ高くなっていく。そしてこの競技のルールは『ハードルを倒したらペナルティ』。短距離走共通点として『自身のレールから出たらペナルティ』のルールがある。つまり、固定概念さえ無くせば別にハードルを()()()()()必要なんて無い。全力で走っている以上ハードルを4つ飛び越えた足には負担がかかりかなりの確率で高い最後のハードルを倒す可能性がある。なら!


『おおっと晴夜選手! ルールの穴をついたくぐり抜けだぁ! 流れるようなスライディング! 勢いそのままにゴールへ一直線! 立ち上がりも問題ないこれは勝ち確定か! 』


よし! 横に誰もいない! 


「勝った!」


ガシャガシャガッシャァァァン!!!


「え?!」


ハードルが倒れる音がしたが明らかに音が大きすぎて驚いてまだゴールしてないのに振り向いてしまった。一瞬まずい! と思ったが、なんの問題も無かった。


俺以外の全員が同時にハードルに派手に引っかかって倒れていた。しかも立ち上がらないし無駄に全員うつ伏せで止まらない人みたいに人差し指を伸ばしていた。


『4人同時にハードルに引っかかったぞぉ?! 何故立ち上がらない! おや、何か地面に書いている。ダイイングメッセージか? ちょっと見てみよう!』


何で競技中に書いてるの? 


そんな疑問を持つが一位は確実にしたいのでまずはゴールする。実況席にいる双葉が何故か双眼鏡で倒れた人達を見ると書かれたことを読み上げる。


『脇』  『くびれ』 『チラチラ』 『エッチぃ』 


「????????」


意味わからん


『あ〜、なるほどね』


双葉は意味がわかったようですニヤニヤしている。俺を見ているのは気のせいか?

 

『いや〜、これはわかるわぁ。見てたからわかるわぁ』


同感してくれたからか3人とも立ち上がりゴールをする。


「随分と派手に転んだが大丈夫か?」


順位の書かれた旗の前まで来た四人。流石に心配になって聞いてみると何故か全員目を合わせない。どこか恥ずかしそうにしていた。大衆の前で派手に転んだから仕方ないか。


「お前、体操着の下何も来てないの反則だろ」


「え? 来てないやつの方が多くないか? 女子はともかく男子は多いだろ」


「じゃなくて、お前女っぽいだろ。肌も綺麗だし。体操着の袖から脇が見えてエッチぃ」


「しかもチラッチラと見えるからよけい」


「ただでさえ熱くて始まる前から汗かいているのに」


「スライディングから立ち上がったときに体操着から女とも男ともとれるくびれが一瞬見えてトドメくらった」


「…………………マジで? そんなエッチぃ?」


「「「「エッチぃ。」」」」


ダイイングメッセージ? の意味を一瞬にして理解した。  


「し、仕方ないだろ体操着の下に着てるとその分重くなるだろう。ただでさえ跳ぶ競技なんだし」


「エッチぃ」


「それにスライディングは勝つ為にやったことだ。背中が見えたことは故意じゃ無い」


「エッチぃ」


「それでも汗は関係ないないだろ!」


「エッチぃ」


「お前ら低俗クソリプbotか!」


「(顔赤くて息荒くして)エッチぃ」


「勝ったのに代償がでかすぎんだよね畜生がァァァァァああああああ!!!」


今すぐにジャージ着たい! ってあれ? 俺2番目だよな。競技が始まったばかり。とうぶん席に戻れねえじゃねえか!!









 



 






キボウノハナー

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