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歌姫♂と今日の歌姫(飯)

この前初めて感想来たんですよ。発狂しました。ありがとうございます。

「うお?! もう人がいっぱいいる!」


 とあるレストランの前、人だかりが出来ている。俺もそれに混じる。皆スマホをレストランの中へ向ける。シャッター音が鳴り響くもそれを上回る後ろを通る車。通行の邪魔にならないように並んだ人達。後から来た人達は諦めて離れてみている。俺自身後少し遅れてたら遠目で見ていただろう。


 こんな事になっている理由はただ一つ。今目の前のレストランで有名人がご飯を食べているからだ。俺もその人を見るのが目当て。何せファンだから。

 まさか近くに来てくれるとは思わなかった。色紙も買って来たしサインを貰う準備はバッチリ! 


「モグモグモグモグモグモグトグモグモ」


 一人にも関わらずファミリー席に座っており、店員が行き来している。完食された皿を下げて新しい料理を持ってくる。これが数分に一度のペースだ。どの料理も幸せそうに美味しそうに食べていて尊さを感じる。

物凄いスピードで食べているにも拘らず米粒一つ、スープ一滴も零さないし残さないで綺麗に平らげている。ステーキを食べたかと思ったらパフェを食べ、カレーを食べてパスタ、アイス、とにかく頼んでは食べている。 


 その人の髪は白かったが毛先から白、緑、黄色、茶色のグラデーションに変わって行く。

 本来なら追加注文する度に注文表が増えていくがその人に限っては一人が常に専用の用紙にまとめ書き上げている。


 その人の名は『日白』ちゃん。『歌の食料庫』と言われている。俺と同様『歌姫』と呼ばれることもある。『七色の胃袋』や『3度の飯よりもっとご飯』とか『歌の神と飯の神が付き合った結果できた究極の産物』もあれば『リアルカメレオン』など、『飯によって染まる無色』とにかく異名が多い。


 歌の界隈では『歌の食料庫』が一番呼ばれているのだが何故こんなにも異名が多いのか、彼女自身の紹介をすれば分かる。


 日白(かしろ)

 白い髪と肌に赤い目、いわゆるアルビノ………と言う訳じゃない。何故か飯を食うと髪の毛や瞳の色が変わる。特別な体質の持ち主で医者いわく「色素が無いわけじゃない。普通の時は透明なだけ。胃から色素を吸収して色を変える」。そして異様に食う。ジャ○プの主人公並みに。 

何より歌がお上手。可愛らしいが凛としてどこか大人びた歌声に誰もが魅了されていく。無邪気にご飯を食べる分大人びた所にギャップを感じる事もあり人気も凄くある。


 主にライブハウスでのライブの活動をしているも近年はTV出演もしているしドームでの公演もある。


 ファンなら必須! 日白ちゃんが飯を食っている時の3カ条!


 一、後から入店してもドリンク以外注文するべからず! 店員は団体1名様(日白ちゃん)の対応で忙しい!


 ニ、話をかけるべからず! あの無邪気に食べている姿を見よ! 尊さを感じろ!


 三、他の客やファンに迷惑をかけるべからず! 通行人の邪魔もしないこと! でないとファンの民度も下がるし日白ちゃんが気軽にご飯が食べられなくなる!




「ご馳走さまでした!」


 窓越しで聞こえてないが両手を合わせているので確実に言っている。満足そうにしながらレジへ向かうとガーガーと長い長いレシートが出てくるんだろうけどああ! こっからじゃみえない! 

 テレビで見たことあるが150センチを超える長さになることもある。フードファイターよりも食べる為に噂ではカシロさんのマネージャーはいつも日白専用財布を持ち歩いていると言う。


 店から出てくると皆サインだったり握手だったりを道を開けながら求める。


「あれ? ここで食べる事言ってないのに沢山来てる?」


 ツゥィィタァァとかで拡散されてます。後一目見て分かるほどなのに変装も何もしてないので。

 本人は不思議そうにしながらも求めてくるファン達を前に着信音でもなったのかちょっと待ってとスマホを取出し耳に当てる。  


「あ、マネージャーさん、どうしたんですか? はい。……………ご飯食べてました! え? 大騒ぎ? 何が? ここが? なってるね。どうしてだろう、誰にも言ってないのに…………とにかくこい? わかった! すぐ行く!」


 スマホをポケットにしまうと急がないとと申し訳なさそうにしながら走る。


 近くのライブハウスでLIVEをやると告知しているので全力でチケットを手に入れた。憧れの日白さんの生歌声、楽しみで顔がニヤける。この場にいるファン達の何人かもチケットを持っているようでライブハウスに向かう。俺も向かおうとすると地面に目が行く。 


「?」


 何か落ちてる? 財布だ。て、これ日白さんの財布じゃないか! オーダーメイドって写真を上げてたし果物のスライダー。間違いない! 会計直後に電話が来てたから落としたことに気づかなかったのか。届けなきゃ、とは言っても今からじゃ追いつかないし、ライブハウスの控室に行かなきゃ。


 財布を拾ってライブハウスへ向かう。チケットを持ってなくても一目見ようと外には沢山のファンが集まっていた。それを横目に店に入る。既に中は賑わっており手の空いてそうなスタッフを探す。


「あの、すみません」


「どうしました?」


「日白さんのと思われる財布をレストラン前で拾ったので届けにきたのですが」


「でしたら控室は向こうです」


「え? あ、ありがとうございます」


 こう言うのってスタッフが渡しに行くのが普通なのでは? 俺の知識が間違っているのかな。

 とりあえず控室へ向かう。日白様と書かれておりすぐにわかった。流石に1ファンの俺が直接はまずい筈。別のスタッフがいたのでお願いしようと思ったら控室のドアが開く。

 中からは白い衣装を纏った日白さんが出てきた。本物だ。マジモンだ。


「あ!」


「へ?」


 俺を見ると笑顔で飛びつくように抱きついてきた。


日白がちょっと人外っぽいのは元々異世界書くつもりで作ったキャラクターだからです。

大食いキャラ好き。

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