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ヒロインがいる最悪な日常  作者: 春輝 鉄和
第四章 日常の裏
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ランダムリセット

とにかくリッピと一緒に辿った道を走った。彼を見つけたのは少し山の中だった。

そこにいたのは私の姿をしたデスウイルス。

「何故貴様がここに?」

私を眼前にした瞬間。状況を理解できないと言わんばかりに驚く。

「唯ちゃんが二人?」

細田がつぶやく。

リッピにはナイフが刺さって気絶している。

しばらく緊迫した空気が流れた。

最善の策を考案している間に後ろから誰かの気配がした。

気づけば後ろで細田が見覚えのない人形の拳を止めていた。


「流華! 私がコイツを抑える。あとは唯ちゃんに従って」

「仕方ないな」

松浦が私の方を向く。

「私はリッピを回復させる時間が欲しい。守ってもらっていい?」

「今回だけだからな」

松浦がデスウイルスに突撃する。

二人が私を守っている間にリッピに刺さったナイフを抜く。

どうやら彼が気絶しているのは痛みとショックのよるものみたい。

ペインメーターを確かめる。

それは60%まで引き上げられていた。

これを下げるしかない。


「無駄だ。貴様の力では」

細田は人形を倒して松浦のほうに加勢していた。

確かに私の力ではこのメーターをさげられない。

何故なら主導権を握っているのはデスウイルスの方だ。

だが方法はある。

細田と松浦がヤツを抑えたところで私はデスウイルスの頭に手をかけた。

「私を感染させた返しだ!」

デスウイルスのプログラムに私の意思を注ぐ。

ヤツが私を支配させた時と同じように今度は私が支配する。

だがヤツの意思はかなり強い上にウイルスの主導者そのもの。

肉食魚の湖に身を投じるようなものだがこれしかない。


侵入を拒絶される。

「もう一回!」

「ああああああっ!」

ヤツの声が響く。

デスウイルスがまた私を拒絶しようとする。

今度は侵入に成功できた。

だが自分の意思が食われそうになる。

情報の波が押し寄せてくる。

その中でペインメーターを私の意思で引き下げないといけない。

今までの怒り、悔しさ、役目遂行への渇望。

そして、リッピを死守したい今の気持ち。

全て使って押し切る。

「絶対に、殺させない!」

「ああ、いやあああっ!」

50%、43%、22%、19%。

「させるかぁああああっ!」

22%、26%。

意識が朦朧としてくる。


だが、絶対に今だけ負けるはけには…。

「おらぁあああ!」

21%、11%、9%。

一桁になった。

私にはわかるヤツにも力は残っていない。

深海から上を目指すように自分に意識を戻そうとする。

情報の海にもう一つきになることがあった。

それは、リセットスポットだ。

世界をリセットさせるには毎回ランダムな場所にそれが出現する。

毎回その場所を把握してからリッピに接触していたが、今回ばかりはそんな余裕がなかった。

だがヤツの中からその情報が見つかった。

意識が一瞬途切れた。

意思を早く自分に戻さないとまた支配される。


「ぷはぁ!」

戻れた。

気づけば細田と松浦がまた静止した状態に戻っていた。

「貴様、はぁ、リセットスポットを見たな?」

「はぁ、はぁ…」

相互の力がかなり消耗している。

デスウイルスは私の姿を保つのも精一杯のようだ。

所々が崩れ始めた。

「俺にはまだ、貴様を止められるだけの力くらいは持っている」

リセットスポットに辿り着きたいならヤツの傍を過ぎないといけない。

世界をリセットすればリッピ助けられ、デスウイルスの感染も少し治まるだろう。

「はぁ、はぁ、…通させないぞ」

しばらくお互い見つめあった。


先に動いたのは私だった。

右を通るに見せかけて左を!

「無駄だ!」

「はあっ!」

足を掴まれ私は転んだ。

しかし、その勢いを逆手にとって転がりながら山を下りた。

平地に着いた時には体中に痛覚が走っていた。

「痛い…」

それでも私は走った。

私を止めようとする人形たちをかわし、そのせいで遠回りをする羽目になる。

気づけば後ろから大勢の人形が私を追いかけていた。

「チックショッ」

足が痛い。もうこれ以上走れないかも。

「弱気になっちゃダメだ」


また感情にまけそうになる。

一人の人形の足音が後ろから接近してくる。

「もう、ダメか…」

そう思った時に人形たちの足音が急にとまった。

振り向くと彼らは散らばり始めていた。

なにがあったかはしらないが歩き続けるしかない。

しばらく歩いていると暗闇の中に鳥居がみえた。

神や仏を祀るために作られたこの場所の中にリセットスポットがある。

階段を上るのは苦痛だった。

足が痛くてそれだけで全てを投げ出しそうになる。

だが、もう少しだ。

「やっと着いた…」

一息ついてリセットの準備をする。

「リセット設定」


視界にリセット設定選択が表れる。

「なんだと?」

ランダムリセットという選択肢しかなかった。

本来のリセットでは細かく設定できていた。

ランダムリセットを選択すればリッピの記憶の中のランダムな時代、ランダムな人形たちが形成される。

「ヤツか」

きっとデスウイルスがなにかを仕込んだのだろう。


「ランダムリセット!」

仕方なく唯一の選択肢を唱えた。

その時うしろから誰かの気配を感じた。

「み、…ゆい僕は君のことが…!」

え…。

世界はリセットされた。


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