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ヒロインがいる最悪な日常  作者: 春輝 鉄和
第四章 日常の裏
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二人の兵士

それは直感でしかなかった。

なぜなら私に感情というものがある訳がなかったから。

しかし、内側から溢れるこの暖かい感覚。

そして、私が流す訳がない涙。

わたしに本来あってはならないものがいつの間にかそこにあった。

自覚できるほどそれは今大きく揺れている。

「役目を果たせる!」

感染がなんらかの理由で治まった。

そんな馬鹿な、と私はどこかで思っている。


私はやっぱり故障していて、私の感染率が減ったのはただの偶然かもしれない。

だけど、今の私はそう信じたい。

私の中の矛盾は前から感じていた。

合理的な状況把握より非合理的な思想に体がとらわれたことがある。

そのせいで感染され易くなった。

だが確かに私を救ったところもある。

感情というものは制御の効かない力だった。

まるで荒れた海に舵の握られた船に乗っているみたいに。

気づけばリッピのsan値が「測定不能」と表示している。

それは彼が眠っている時や気絶した時に表れる。


今すぐ彼のいる場所に向かわないと。

人形が全員止まっている祭りの中に私は走った。

そこで目に留まったのは二人の人形だった。

私一人では勝ってないことは承知している。

その二人に触れプログラムを確認してみる。

「やっぱり感染されていない」

二人に私の戦闘能力をプログラムに書き加える。

そしてリッピが無意識状態でも今までの行動のメモリーで動かす。

あくまでも二人はリッピの記憶とイメージを元にシミュレーションとして動く。

その状態を保たせるのは30分程度。

それだけでも大きな戦力になるだろう。


「再生」

止まっていた二人が動きだす。

「チーナ落ち着いて、たこ焼きが落ちるって!」

二人は祭りを楽しんでいる途中だったようだ。

「あれ、唯ちゃんどうしたの」

細田が私に気づく。

「説明している暇がない。手伝って欲しい」

「私にできることなら…」

「ちょっと待ってチーナ」

私の願いに応じようとしていた細田を止めた松浦は訝しげに私を見る。

「何故なんの関わりのないあなたに従わないといけない訳?」


「お願い。あなたたち以外に頼れる人(人形)がいないの。リッピの命が危ない」

「関係ないね」

一刀両断に断られる。細田の腕を引っ張って、去ろうとした松浦が動かない細田で転びそうになる。

「チーナ?」

「人の命が危険だと聞いてほっとける訳がない。私にできることはする!」

松浦が呆然とする。

「ありがとう。時間がない。いくぞ!」

細田だけでも十分戦力になるだろう。急ぎを促してリッピのところに。

「待って」

再び松浦に止められる。

「…わ、私も行く」

これで二人分の戦力ができた。


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