いざない
それは、兎出 鈴という人形だった。
彼女は今まではリッピを庇っても松浦を謝罪まで導いたことがない。
リッピのイメージがそう都合よく変わるのだろうか。
松浦と浅瀬は相変わらずリッピに大きなストレスがかかる。
松浦は肉体的、浅瀬は精神的に攻撃をする。
浅瀬の言動を遮ることでなんとかなるが、松浦に関して干渉したら余計にリッピを攻撃する。
この二人を避けるのはわかるが、他の学年や男子の中でも多少良い人間関係が築けそう。
しかし彼は一人で居たがる。
今日こそその理由を突き詰める。
新しい情報を得れば報告を外部に送らないといけない。
しかし、かなり前から連絡が途絶えている。
リッピが一人に居たがる理由が解った。
そしてもう一つ解ったのはこの学校はどうやら最初からアレに支配されていた。
目の前で一人の人形に化けているソレは歪な笑顔を私に向けている。
まさか、そんなことまでできるとは予測を遥かに超えていた。
兎出への違和感の正体最初からコイツが原因だった。
「貴様、故障をしているな」
その第一声に引き付けられる。
「どいう、こと」
私が故障?
「俺は全てをみていた。貴様が彼を攻撃するところを。あり得ないことではない、この世界のメンテナンスは不十分。そして貴様はずっと起動したままだ」
ソレの言うことは間違っているように思えない。
「まるで人間のように振舞っている貴様は彼の記憶の一部になっているだろうな。貴様も人形だよ」
人間のように振舞っている?
あんな横暴で理にかなっていないような行動が人間のよう。
私が彼の記憶の一部。
「つまり私は私ではなく、ただ彼がイメージしている私の姿の人間の行動だというの?」
「まさか、作り物の貴様に自我があるとでも?」
そうか、私故障していたのか。
いわば、任務を果たせる状態ではない。
私は彼や彼の周りだけ整えていたが私自身が彼の脅威になり得ることに気づかなかった。
私は、
「貴様はプロテクター失格だ。大丈夫。そんな欠陥品の貴様を修理してやる」
そこから私の意識が途絶えた。
目が覚めたのはリッピの家の目の前だった。
雨が降っている。
感覚がある私にはそれがどれだけ冷たいのか理解できる。
「雨の雫って痛いんだね…」
リッピの家から私の姿をした…、いや、本来の私の姿がどんななのか私にはわからない。
ただ、目の前のそれは、リッピが大切に想う人の姿をしていた。
「貴様に新しい任務を与える。今度は俺の為にお前は可動する。今から彼を消す」
感じる。私の中にはソレの意思が入っている。「私は感染されている…」
「貴様を修理したのだ。勿論私のために。俺はどうやら演技に向いていない。早速貴様を使う」
「かしこまりました」
私の口から出た言葉は私の意思と反している感覚もしない。
これが感染されるということなのか。
「どうせなら彼の最後を祝うために祭りを開くとしよう」
ソレは私を完全支配するまで一日かかた。
世界の感染率は87%。
ソレは私にわかるようにその機能をつけた。
私は彼を祭りに誘った。




