表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒロインがいる最悪な日常  作者: 春輝 鉄和
第四章 日常の裏
56/61

喪失感

「甘く見すぎだ」

そう言って私の手首を掴まっている腹の手がさらに力を加える。

「あっ」

痛い痛い。

左手で攻撃するしか…。

「遅い!」

左手も掴まれる。

「貴様は痛覚の本当の恐ろしさを知らない。

痛みと言う刺激に慣れていなければ、大きな痛みを感じればそればかりに意識が行く」

ぎゅっ。力が加えられる。

痛い痛い痛い!


「大きければ大きいほど声は出なくなる。やがて戦意を喪失し判断力、俊敏さが鈍くなる」

今の内…蹴りを!

「だから遅いんだよ」

「グハっ」

私より先に相手の足が私の腹に食い込む。

体が空中に浮き振り回される。

「これからたっぷり恐怖を教えてやるよっ!」

意識が朦朧とする。

気づけば私は空中なんとかして着地を決めて作戦を練り直さないと。

地面に着く前に上から叩きつけられる。

空中で落下の勢いが増し、地面にぶつかる。

全身が痛い。


アレの言う通り私は痛覚と言うものの知識が不足していた。

これは撤退するしかない。

立ち上がろうとした時床が開いた。

再び落下。

今度こそ着地を決める。

周りを見渡すと駐車場だった。

しかも満車…。

出口に向かって走り始めたのと同時だった。

無数のエンジン音が轟く。

疾走のスピードを最大までに上げる。

出口が近づくにつれ後ろから鉄の塊も接近してくる。

これを食らったら復活までに何時間がかかるかわからない。

だからここで絶対に出る!

体が外の光で包まれる。

出られた!


と思ったら後ろから爆発音。

爆風で体が飛ばされる。

着地に失敗して足を大きく負傷する。

「これは再生するまでおおむね2時間か」

「無様だな」

首を掴まれ持ち上げられる。

人間がそんなことされたら呼吸が困難となり失明する恐れがあると聞いたことがある。

私にはそんなことはない。

しかし、その苦痛は理解できたかもしれない。

「貴様の負けだ」

まだだ、このまま攻撃を…。

体が動かない。

「まあいい。どうせアイツの居場所がわかるのは時間の問題だ。これで解っただろ? 俺とお前の力の差を。貴様に勝ち目はない」

戦闘不能。それが今の私の状態。

解っている、理解している。

私はもう戦えない。


なのに、どうして体が動こうとする。

私にはそんな気力がない。

だが。

「ま、負けられない。リッピを守るのが私の使命…」

「貴様が作られた目的すら成し遂げずに終わるんだよ。感情のない作りものだ。悔みはしないだろう。本当につまらない」

そんなの、そんなのっ!

「受け入れられない! 数字的瞬間移動(デジタルテレポート)!」

私にはまだ力が残っていた。

いや、負けたと思ったら力が漲った。

私は50メートル先にテレポートして走った。

走り続けた。

私は負けた。

「負けてない…」

リッピを守れない。

「負けてない!」

私は事実と真逆のことを口走る。

こんな感覚は初めてだ。

「まだ、負けてない。必ず、排除してやる!!」

内側から漲るこの力の正体はなんだろう。



「悔しい! 悔しいよ!」

未廻下が体を張っている時に天井に向って嘆く男がいた。

「なんで僕があの女のこと気にかけなきゃいけないんだよ」

記憶以外にも大切なものを失いつつあることにも気づかずに。

「学校の準備するか…」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ