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ヒロインがいる最悪な日常  作者: 春輝 鉄和
第四章 日常の裏
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歪な存在とバトル

建物は2階まである。

1階にはATMとトイレが設置されているだけ。

どうやらその歪な存在は2階にいる。

上に上がるには階段、エスカレーター、エレベーターの3つの方法がある。

電気で動くものはできるだけ避けたい。

「階段しかないか…」

階段は空間で固定されているもの。勝手に動いたり、誤作動を起こしたりすることはない。

そこだけ切り取れば階段は安全のように思える。


だが、それも相手は重々承知なはず。

予測に時間をかけても仕方がない。

階段に足をつける。

半分まで登ってもなにもない。

「なんだろうこの違和感」

ただなにかがおかしい。

段差はあと一つ。

「あっ」

最後の段差に足を引っかけてこける。

咄嗟に両手で体を支える。

だが。

「痛い…」

膝を負傷する。


こけるはずがない。

階段の体積、段差と段差の高さすべて計算していた。

そしてこの痛み。

大したものではない。しかし、アレが言っていたことは事実なんだと感覚で知る。

立ち上がって今まで登った階段を見る。

「…ない」

階段が消えている。

跡形もなく、まるで最初から存在していなかったかのよう。

「空間操作か」

ここまで世界を支配していたとは。

私の計算が間違っていた。

いや、わざと隠されていたのだろう。

『いらっしゃいませ、いらっしゃいませ。ほ、ほ、本日#%$nの』

放送が急に流れ、その声は歪んでいく。

『お客さんなんて珍しい』

やがて放送はなにかに支配される。


『よく見たら稚拙な作り物じゃないか。自らくるとはどういう風の吹き回しだ?』

「あんたが持っている情報を譲って欲しい」

『何故俺がそんなことをすると?』

もちろん簡単に手に入ると思っていない。

「彼の居場所を教える。だから姿を現して」

「面白い」

背後から声がした。

その声は先まで放送で響いていた声。

振り返るとそこには崩れた人間の姿があった。

目は腕に、腕は四肢があるべき所に生えていない。

人間のパーツで形だけ作っている。

その姿は余りにも歪なものだった。


「知的であるように作られた貴様が愚か者の勝負という賭けに出るとはなぁ。俺の持っている情報は貴様にとって有利になるとは限らないのに。良いのか彼の居場所を教えても」

「教えない」

「は?」

「あんたを倒して情報を引き出す」

キョロとあるべきではない場所にある両眼が私をみつめる。

沈黙は少しの間続いた。

「ハハハハハハハハ! 何を馬鹿なことを。俺には前より力がついている。それでも勝算があるというなか?」

「痛っ」

足を踏まれ余りの圧に声を上げてしまった。

「しかも、こんな状態で」

笑いながら足ではない足を踏みにじる。


痛い。けど、これは攻撃。

つまり…。

笑みを浮かんでいる頬にある口を右手の拳で思い切り塞ぐ。

その勢いでソレは吹っ飛ぶ。

「勝負を受け入れる。でいいよね?」

「貴様ぁっっ!!」

空間は揺れ始める。

周りにあったあらゆるものが私の方に吸い込まれるように跳ね始める。

スピード、方向。すべてを計算してよける。

隙を見つけ突撃。

確かに、今の私には痛覚がある。

大きな痛みを感じれば即座に戦闘不能になるだろう。

だが、

「当たらなければ良い!」

もう一回拳を入れようとしたらよけられる。

足の代わりにある手で私の足を掴もうとするがそれを踏む。


「ガっ!」

今度は腕の代わりの足が振るわれる。

屈んでよけたら腹に拳一発。

止められる。

気づけば腹から腕が生えている。

そして私が踏んでいたはずの手がなくなっている。


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