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ヒロインがいる最悪な日常  作者: 春輝 鉄和
第四章 日常の裏
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名前の忘却

しかし、それにしても…。

「ここでのあんた、結構素直だね」

本当に計算外だった。

私に対して「ありがとう」と言った時は一瞬私の可動が停止しかけた気がした。

「そんなことより、スケジュールってどこで見ればいいの?」

斧崎に言われたことを思い出しアルバイトのスケジュールとはどういうものなのか調べようと思った。

だが彼に訊いても「自分で探したら?」と言…。

「あそこにあるボックスの中に『スケジュール』と書かれた白いファイルがある」

計算外だが、ここでの彼は素直だと既にメモリーに保管済み。

慣れて自然な対応をしないと。

彼が指差したボックスの前に立つ。


ファイルというのは紙に印刷されたデータの集まり。

つまりこのボックスはデータベースのようなものだろう。

眺めていると目当てのものを見つけた。

「あった」

中身をみてみる。

なるほど、どの時間に誰が出るのか、どの仕事をするのか全部把握できるものだ。

これもメモリーに保管しておこう。

「じ、じゃ、僕はこれで…」

気づいたらリッピはスタッフルームから出ようとしている。

不覚…。ファイルに気を取られていた。

彼を一人にしてはならない。

他の人形も危険の可能性がある。


人形の出入りが少ないスタッフルームにいてもらわないと。

「待って」

どうすれば彼を引き止められる?

そう言えば斧崎に言われたあれを使おう。

彼は素直だ。きっと大丈夫。

「確認したらサインを書いてって言われたけど、どこに書けばいいか分からないから教えて」

「わかった」

計算通り。いや、計画通り!

リッピは私のことを怯えているようだ。

流石にこのままだとリッピは私を避けてしまう。

そんな彼に私は怖くないとわかるために自然にアニメやラノベのネタを話しに挟む。

彼に突っ込まれる。

そうさせると彼san値が安定するということをメモリーに保存。

「えっと、お前の名前どこ?」

リッピはスケジュールに私の名前を探す。


私の名前を目にすると彼は毎回。

「もしかして、これか? 名前でこんな字の並びってある?」

こんな反応をする。

あと「中二病かよ(笑)」と言われたことがある。

あんたが、付けた名前なのに…。

そして私は毎回…

「それあんたが言うの? っていうかあんただって『リッピ』という変なのあるでしょ?」

と言う。

彼がそう呼ぶように初めて会った時に言われた。


だが、今の彼は全部忘れている。

だから毎回同じように動揺する。

このやり取りで彼が記憶を取り戻すことを期待するが、やっぱり無理のようだ。

これで「飽きる」という言葉の意味が解ったきがした。

「毎回同じ反応で、正直飽きた」

言葉にしてみる。

やっぱり、なんだかパズルのピースのように情報と情報が繋がった気がした。

私にどうやら痛覚だけではなく、感覚そのものがわかるようになった。

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