誘い
次の日。
アルバイトにも学校にも未廻下の姿がない。
もしかして、あいつもサボりか?
僕は未廻下のことをよく知らないが、なんとなく、あいつならサボりなんかしない気がする。
学校の帰り際に、職員室に向かう担任の先生に遭遇する。
未廻下がサボろうが、何しようが僕には関係ないが、少し気になる。
「先生、今質問よろしいですか?」
「ん、どうしたの?」
「未廻下…さんは体調悪いですか?」
「・・・」
「先生?」
「リッピ君、速くお家に帰りなさい。もう遅いから」
え?
「いや、せ…」
先生は僕の質問に答えず、職員室に入って、扉を僕の目の前で閉めた。
答えづらいことなのだろうか?
もしかして、やっぱり僕のせい?
それ以上詮索することなく僕は家に帰った。
次の日。
今日は金曜日。
バイトはなく、学校に来る時間までは家でゴロゴロしていた。
学校に着くとそこに未廻下の姿があった。
ぽっつりと一人で自分の机の椅子に座っている。
心なしか、その姿は少し不気味に感じる。
しかも、こんな時間にコイツがいるのは不自然だ。
何せ、僕は、併修があることで二時間速く学校に来ている。
まあ、先生が来たら退室を命じるだろうからそっとしておこう。
そう思ったのだが、僕に気づいた未廻下が僕の方に歩んできた。
未廻下は真っ直ぐ僕を見つめながら僕の目の前でピッタと止まった。
「な、何?」
「・・・」
あまりにも僕を真っ直ぐ見つめるので、思わず目を逸らした。
「この前のことで怒ってるのか?」
「いや、もう気にしてない、私も悪かったと思ってるし」
「そ、そっか」
「だから、お詫びとして。明日、錦帯橋での夏祭り奢ってあげるから」
「え、それって僕に、花火大会にいっこうって誘ってるの?」
「うん、それ以外何がある?」
これは予想外だ。
「いや、なんていうか…。僕はてっきりお前に嫌われてるかと…」
「バカなの? 嫌いに決まってるでしょ」
ぐっ、それはそうか…。
「じゃ、なんで?」
「だから、私も悪いことしたと思ってるからお・詫・び。それとも何? 嫌なの?」
「い、嫌ってわけじゃないけど…、どうしてそこまで?」
「私は悪いと思ったら、ちゃんとお詫びはする。ただ引き摺る誰かと違ってね」
「ぐっ、そ、そうか」
「嫌ならいいけど」
「行きます…!」
こうして僕は未廻下と夏祭りに行くこととなった。




