招かれざる客
また、同じ夢だ。
僕は毎晩君を追いかけ、君を探し求めている。
また目が覚めたら全てを忘れてしまう。君のことも、自分自身のことも…。
一生このまま君を追いかけていたい。
君を探し続けたい。
自分の願いが叶えなくとも、君の思い出だけは消えて欲しくはない。
しかし、僕はまた目覚めてしまう。
この想いも儚く、まるで最初からなかったかのように散りばめてしまう…。
君の名前も、僕の名前も、何も思い出せないまま…。
だから、その前に言わせてくれ、僕は、僕は君が…。
スマホのアラームが鳴り響く。
目が覚めると、そこは見慣れた天井、見慣れた部屋。
ただそれは、少しだけ霞んで見える。枕元から鳴っている不愉快な音を止め、次いでに時間を確認する。
時刻は午後零時。
結局、眠れたのはもう深夜だった。
具合が優れないのでバイトも休んでしまった。
ただでさえ自分で家賃、光熱費も払わなといけないのに休んでしまった。
風邪とかではない、ただ行く気分ではなかっただけだ。
「はぁ…」
思わずため息が出てしまう。
自分が先まで寝っていたソファで腰をかける。
足元は相変わらずカオスだ。
掃除しないと…、あれ?
自分の膝に一滴の何かが滴る。
雨が漏れているのかと思って天井を見る。
上を見上げた瞬間、また膝に水滴の感触。
それが天井ではなく自分の頬から落ちていると気づく。
涙? 季節外れの花粉か?
そう言えば…、夢を見ていた気がする。
とても大切な夢。
だが、思い出せない。
思い出そうとすると頭が締め付けられるような感覚がする。
っていうか、こんなことをしている場合じゃない。
とにかく部屋を掃除しないと。
二時間後。
アニメを見ながら掃除、洗濯をしているとスムーズには進まない。
だが、何か楽しみがないといつまでも続けられそうな気がしない。
「終わったー!」
ゆっくり、アニメやラノベが読めるー♪
ピンポーン♪
「チッ、誰だよこんな時に…」
ドアを開けったら、傘を差した未廻下がそこにいた。
僕は思わずドアを閉めってしまった。
あんなことがあってから未廻下と顔を合わせるの気まずくなった。
未廻下が教室を出てしまった後、僕の中でとてつもない罪悪感を感じた。
なぜか僕は傷つけてはならないものを傷つけてしまったような。そんな気持ち。
気付いたら体が衝動的に動いていた。
転けて未廻下に壁ドンまでしてしまった。
あの時、悶えて死ぬかと思った。
そしていきなり兎出さんが現れるし。
あーもう!
「何一人でぶつぶつ言ってんの?」
「おわぁ! どうやって入った?」
「あんたがドアを閉めても、鍵は空いてたし」
「な、何しに来たんだよ…」
「これ、買ってきた」
見ると未廻下はビニール袋いっぱいに何かを詰めて持ってきたようだ。
「あんたがバイトを休んだから、体の調子が悪いかと思って」
「あ、ありごとう…」
「キッチン借りるね」
「あっちょ…」
僕は未廻下に諭され、大人しく料理を作ってもらうことにした。
未廻下に会うの気まずかったからバイトに行かなかった。と言えないし。




