表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒロインがいる最悪な日常  作者: 春輝 鉄和
二章目 ヒロインと学校〜なんでお前がここに⁉︎〜
38/61

勝利と敗北の狭間

僕は不貞腐れ気味でラケットで羽を未廻下方に打った。

 アイツは無表情ポーカーフェイスで向かってくる球を掴んだ。

 なんとなくその面が(計画どーり。ドヤッ)と言っているような気がする。

 チッ。

 僕はコートの左側にたつと、未廻下もつくべきポジションに立つとサーブの構えを取る。今度は絶対に点を獲る。

 くそ、こう思うとフラグが立つと嫌なんだけど。と、取り止めのないことを考えていると未廻下が羽を打った。

 心の準備をさせろー!

 打ち返そうと思ったが。

 落ち着け、よく観察しろ、軌道の行くその先を視るんだ。

 前過ぎる、これは。

「アウトだ…」

 トンッと鈍い音が響く。

 足元を見るまでもない。

「はい、リッピ君、誇らしげに立ってないで未廻下さんに羽を渡してー」

 へっ?

 得点盤を見ると、ニ対○になっている。

 恐る恐る足元を見ると、羽は線の上に落ちていた。

 ・・・。

 イン、かよー!

 こうして僕は、未廻下の曖昧な羽の軌道も猪突猛進に打つことにした。

 十分後。

「ハァ…、ハァ…」

「・・・」

 今は、お互いの得点が十四対十四。

 デュースだ。

 なんとか先にマッチポイントについた未廻下に追いついた。

「唯さんすごい、汗の一つもかいてない」

 周りの連中は練習が終わって、僕と未廻下の試合を観に集っている。

 兎出さんの未廻下に対する感嘆の言葉を耳にすると、出来るだけ荒い息を誤魔化すようにする。

 本当は床にへばりつきたいくらいに体力が消耗している。

 喉にむず痒い感覚。

 身体に纏わりつく倦怠感。

 それでも負けるわけにいかない。

 もう、未廻下と交わした約束なんてどうでもいい。

 ただ、コイツらの見られているところで無様に敗北したくない。

 僕は構えている羽を打った。

 羽は未廻下の足元をめがけて落ちていた。

 未廻下は高くそれを打ち返す。

 今度は照明が目の前にはない。

 僕はスマッシュで打ち返した。

 できるだけ未廻下から遠い箇所を狙って打った。

 これは、もらった…。

 気付いたら未廻下はいつの間にか羽の向かっている目の前に居た。

「さすが未廻下さん! おれたちにできないことを平然とやってのけるッ」

「そこにシビれる!」

「あこがれるゥ!」

 男どもがどこかで聞いたことのあるようなセリフをほざいている。

 打ち返された羽は打ち返せないものではなかった。

 でも、点数を取ったつもりでいた僕の反応が遅れ、僕はラケットのフレームで羽に擦るのが精一杯だった。

 十五対、十四。

 この時点で僕は試合の結果がどうでも良くなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ