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ヒロインがいる最悪な日常  作者: 春輝 鉄和
二章目 ヒロインと学校〜なんでお前がここに⁉︎〜
34/61

松浦に殺された。と思ったら兎娘に救われた。

(なん)ジーっと見よっと? キモかったい」

 はい、僕は鯛ではありません。

 どこを視て鯛に見えてるんですか?

 目、大丈夫かなこのトマト。


 顔を酷くしかめながら僕を睨む松浦の頭を視て、心の中でその色を貶しながら羽を打った。

 もちろん、ムッチャな軌道をさせないように軽く打って、松浦の上を優しく通るようにする。

 いくら僕が生理的に女子が嫌いとはいえ、争うつもりはない。

 突つかれるの面倒だから。その証にこの羽を打った。

 松浦は頭上で飛ぶ羽を見つめている。

 届け、僕のこの(おも)いを、この気持ちを!

 松浦はその羽を空中でラケットを持っていない左手で掴んだ。

「・・・」

 届いた…、のか?

「…と、と?」

 ん、となりのト○ロ?

「嘗めとっとか、ゴラ」

 はい、ですよねー。

 相変わらず何言ってるのかわからんが、松浦から溢れる尋常じゃないオーラは言葉の域を超えて、僕の行動が全く真逆の効果を持ったらしたことが伝わる。

 それだけではなく彼女の戦闘心に火を点けてしまったようだ。


「こん場で決着付けるけん。そんとこ、夜露死苦」

 やばい、目が本気だ。

 あのー、松浦様。今は練習ですよ?

 や、優しくしてくださいね。


 そして、急に時が止まる。

 目の前にはバトミントの羽が僕の顔をめがけて飛んできている。

 いや、射られているという表現の方が正しいのかも知れない。

 僕は反射的にラケットで顔を庇う。


 危機一髪で羽がラケットに弾かれて、松浦の所に戻る。

「全力で打たんば、死ぬばい?」

 やばい、これはマジでやばい。

 僕の左となりに先生がいるはずだ。きっと止めてくれる。

 左を見るとそこには先生の姿はなかった。

 後ろを見るとちょうど体育館を出る先生の背中が見えた。

 瞬時に身体中から冷え汗が滲み出る。

 これは本当に死ぬかも知れない。

 チーン。


先生の笛が鳴った時には僕は死ぬより大変なことになっていた。

 今感じるのは痛みと屈辱だけだ。

 しばらくの間、職員室に戻っていた先生はどうして僕が床で跪いて顔を床につけながら股間を押さえているのか理解できていないようだ。

「リッピ君どうしたの。ほら、早く立ってやらないと?」

 お願いですから、言わせないでください。

 どうして僕の周りの女はこんなしかいないんだ?

 呪いなのか? 僕は呪われているのか?


「流華ちゃん非道いよ!」

「だって、ばり腹かくとよ。アイツ」

「流華ちゃん落ち着いて。長崎弁じゃわからないよ」

 少し顔を上げるとネットの向こう側で小柄な女の子が呆れた顔で松浦と話している。


「だって、マジ腹たつもん。アイツ」

「だからって、やっていいことと駄目なことの区別がつかないの?」

「玉無しに球をつけただけで何が悪い…」

「そんなの詭弁だよ流華ちゃん。私、そんな流華ちゃん嫌い!」

「あ、あぁ、ごめん兎ちゃん。嫌いにならないでー!」

「謝る相手は、私じゃないことぐらいわかるよね? あんなに私のこと、(こま)か〜、()()〜って言いながら分からないの? 言っとくけど、今の流華ちゃんの方が()()()よ」

「ぐっ」

 今松浦に言葉のスマッシュを決めたのは、兎出うさぎで すずという名前の女子だ。

 小学生が高校に迷子になったと思われてもおかしくないような背丈の彼女は、女子の中でマスコットキャラのように扱われている。

 背が小さいことにコンプレクスを感じているそうだが、大きなハートを持っている。

 まあ、今初めて知ったことだけどね。

 

 


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