いざ、尋常に勝負‼︎
まさか、こんな小学生でも考え出しそうなつまらない罠に嵌るとは。
「やっぱり、こんな幼稚な罠に嵌まった。あんたは頭に血が上ると直ぐ行動に出る癖直したほうがいいよ」
く、くっそ、ぐうの音も出ない。
「大体、明らかに同一人物なのに誤魔化せると思ったのって、あんたバカなの? それとも、私のことバカにしてるの?」
…すみません。貴方をバカにしていたバカです。
僕が何も言わずにプラスチックの弁当箱の中のハンバーグを一点に見つめていると隣の椅子に誰かが腰をかけた。
「ちょ、ちょっと! 誰が隣に座っていいと言った?」
僕がそう言うと、勝手に隣に座った常識知らずの女が怪訝な顔をして、
「いいじゃん、別に」
と言った。
僕は思わず周りを見渡す。幸い誰も見ていない。
僕はこの学校に入学してから誰とも話していない。
中に話しかけて来た奴も居たが全員無視した。そんな僕が転入生を隣にして食事をしているところを見られたら噂になるに違いない。
特につまらない思考を持っている乙女と称ばれる雑種にネタにされて、「あの二人付き合ってるかな」とか言われたら僕はもう婿に行けない。行くつもりはないけど。
とにかく、
「よくない! 他の女子と座ってくだらない恋話をすればいいだろ?」
「プログラムと一緒にいて何になるの? しかもアイツラはあんたが近くにいないとただの人形になるし」
プログラム? また訳のわからないことを。何かの比喩なのか? だとしてもわかりづらい。プログラムと人形になにか含蓄な意味でもあるのか?
「まっ、こんなこと今のあんたに言っても解らないか…。そんなことより、あんたはどうして一人になりたがることが多いのか知りたいだけど」
「答える義理はない」
僕はできる限り冷めた口調で言ってみたが、それは未廻下に通じる訳がなかった。
逆に何かを煽ってしまった。
「ふ〜ん、じゃ、こうしよう。次体育でしょ?」
「え、あ、うん…、そうだけど」
よく判らないが嫌な予感がする。こいつは何を企んでいるのだろう。
思わず唾を飲み込む。
「バトミントンをすることになると思うから、その時に私と勝負して。私が勝たら今あんたにした質問を答えてもらう」
何でそんなことを知りたがることに疑問を覚えるが、とりあえずそんなことをして僕にとって何の利益があるのか聞いてみる。
「僕が勝ったら、どうなるの?」
「その時は、あんたの言うこと何でも一つ聞くから」
なんかこいうのってよくアニメで見たことがある定番の設定みたいだ。
まさか、こんなイベントが来るとは。
面白そうだし、僕が勝ったらこいつに二度と僕に関わらないことを約束させよう。
「何ニヤニヤしてるの? キモいだけど。あんた、もしかして…」
何を勘違いをしているのか、未廻下はちょっと引いたような表情をしている。
「おい、何考えてるか分からないけど、絶対違うからな」
誰がお前なんか相手に淫らな想像するか。少しわきまえろおとこ女。
「で、やるの、やらないの?」
「乗った」
僕は即答した。しかし、この後僕は大きく後悔することになる。




