学校到着。
気付いたら学校の近くまで来ていた。
老人とぶつかりそうになった後、学校の門が近くにあったため、また自転車に乗ることなく、押しながら門を潜った。
「おはよう」
と門の近くに居た一人の教員が挨拶をする。
「おはようございます」
「どうした、なんかあったん?」
教員が僕の顔を覗くようにして聞いてきた。
多分僕はかなり深刻な顔になっているだろう。
「いえ、ただ、老人を轢きそうになりまして…」
「えっ! 大丈夫だった?」
「はい、何もなかったかのように歩き出しましたので」
本当はあの老人の発言の方が頭に残っているが、誰かに言っても信じてくれると思えないので、無かったことにする。
「気つけよ、最近ここらで事故が増えてるから」
「わかりました、気を付けます」
そう言って僕は奥にある駐輪場に自転車を止め校舎に入って、階段を登って二階にある『夜2』と書かれた札がある教室に入った。
説明し忘れていたが、僕は定時制の学校に通っている。
僕は『夜間部、二年生』
この学校の昼間部、夜間部同様に生徒が少ないためなのか知らないが、学年ごとに一クラスしかない。
全日制と違うところはいろいろあるが、一目瞭然なのは、制服が無く、私服で通って良いことだ。靴も土足でも構わない。あとは携帯やお金持ち込み可。
学生の多くはアルバイトをしていて、同じ学年とは言え皆が同い年とは限らない。
僕が所属しているクラスも例外ではなく、半分以上は僕より年下だったりする。
まぁ、いろいろあって、僕は中学校上がって直ぐ高校に入学したわけではないから当たり前だと言えば当たり前だが、それでも僕より年上なのは二人いる。
教室に入ると、その中の一人が既に自分の席に座って何を聞いているのか知らないが、イアホンを両耳に着けて、それに繋がっているスマホを両肘を机に付けていじっている。
僕の席から一席離れている彼女の名前は古田あかりさん。
僕より一つ年上で、大人しい性格なのか知らないが、少なくとも他のこのクラスの女子よりは落ち着いている。
外見的にも正に大人の女性って感じだ。
勿論、清楚な意味で。
初めて見た時はどこかの淑女かと思ったが、どうやら一般人らしい。
実際に話したことがないからわからないが、そもそも、定時制にお嬢様が通うわけがない。そんなことがあるとしたら漫画かラノベの世界だけだろう。
なんか、一瞬思ったのだが『定時制にお嬢様が通うわけがない』と言うタイトルのラノベがありそう。
まぁ…。そんなことはどうでもいいか。




