回想1
「はぁー」
ドアにロックをかけた後、深いため息を突いて、僕は自転車に乗って、スタンドを上げ、ペダルを漕ぎながら、未だ回顧に耽けていた。
ことが収まってから数分後、斧崎さんが厨房に来てこう言った。
「いやー、忙しかったね。二人ともよく頑張った。」
「本当ですよっ。死ぬかと思いました。」(いろんな意味で)
っと僕が言うと未廻下が。
「あんたはただテンパってただけじゃん?」
「確かに、お前のおかげだな、ありがとう。」
「えっ、あ、うん…」
僕が未廻下に感謝の言葉伝えると、少し驚いた顔をした。
こいつに腕引っ張られた時にも思ったのだが、僕が「ありがとう」っと言った時に未廻下はすごい意外そうな顔をしていた。
「どこまで準備進んだ?」
と斧崎さんが聞いて来た。
「ほぼ終わってます」
「冷凍の補充まだだよね?」
「はい、後はそれだけです」
「多分、今から暇だと思うけぇ、二人でやって来て。場所とかちゃんと教えるんよ。忙しくなったらまた呼ぶけぇ」
冷凍補充とは、文字通り厨房内の冷凍品の補充をする作業だ。
鉄のテーブルの反対側にフライヤー、つまり、ものを揚げるための機械がある。
カウンターの方に近いフライポテトのフライヤーの左隣にポテトを冷凍のまま且つ、下からポテトが出せる機械がある。
朝はフライポテトを売っていないため今はなにも入っていない。
しかし、今からそれも入れないといけない。
その機械のまた左隣にチキン類のフライヤ、そのまた隣に魚類、そしてその隣にそれらのものが入った冷凍庫がある。
それも補充対象だ。
「他は冷凍庫兼引き出しの中だな」
「思うんだけど…、『冷凍の引き出し』でいいんじゃない?」
未廻下に冷凍補充をする場所を教えていると、そんなことを言われた。
「確かに…」
別に冷凍庫兼引き出しという呼び方は正式名称じゃない、僕がただそう呼んでいただけだ。って言うかこれに正式名称は…、まあ、あるとは思うけど、でも確かに僕の呼び方は今思えば少し言いにくいかも知れない。
「簡単な呼び方ぐらいは考えられないの?」
もう、こいつの生意気振りにそこまで気にしなくなっていた。
イラッとしないわけではないが、これは個性だと思って、その生意気さのおかげで助けられたのだから尊いとまで思っていた。
「そうだね、なんかごめん」
「……」
未廻下はなにも言い返さなかった。




