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嫌われ者  作者: 弥生
第三章
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 日も徐々に長くなってきたある日の夕刻、リーゼが持ち込んだ白いテーブルクロスがかけられたテーブルで三人揃って夕食を取っていた。もちろんリーゼの手料理で、ミアは目を輝かせて飛びつくように食べている。

 リーゼはそこである知人から仕事を頼まれた、という話を始めた。

とある上流階級向けの秘密クラブのような所があり、夜毎に酒宴が行われているそうだ。

リーゼも高級娼婦時代にパトロンに連れられ入った事があり、中では日頃の上流階級ならではの鬱憤を晴らすべく、乱痴気騒ぎになっているそうだ。

 しかし最近そこに来るようになった、とある集団が他者に恐喝や脅迫などの問題を起こす様になり、その影響で客足が減り始めてしまい店側はほとほと困っているとの事だ。店側としては復讐を受ける事がないように追い出したい。そこでリーゼに相談してきた。

 そこでリーゼは店側とは何の関係も無く、問題の集団からテリトリーを奪う新しい集団として現れ、排除した後に店側は何も知らない間にリーゼの集団は来なくなる、というシナリオを立てた。

こうする事で店とは関係無しに、それぞれのグループ間の揉め事という形にしようという事だ。

 ハルはその話を聞いて、当然協力すると申し出た。このまま生活をリーゼの資産に依存し続ける訳にはいかない。ここは自分も働かないと申し訳が立たない。それに自身で身を立てられる仕事に就くチャンスかもしれない。

すっかり食事が終わり、二人の顔を見回しながら話を聞いていたミアも、自分もやると言い出した。

 食事の片付けが終わったあと、早速件の店に行くことにした。これからの時間こそが宴の始まる時だ。

少しでも見栄えするように、ハルは例のボルドーのドレスを着ていくことにした。ズタズタに切り裂かれたスカートの裾は、裁縫の得意なアデリナのおかげでそれとなく誤魔化されている。そのスカートの内側、ハルの足にはいくつかのナイフが隠されている。

 ミアはリーゼの買い与えたシックな黒のチュールスカートドレスに着替える。それにしてもピアノの発表会みたいなドレスだ。

リーゼはミアが可愛くて色々買い与えすぎじゃないのだろうか。決して羨ましい訳ではないのだが、まるで本物の妹、いや娘かのように可愛がっている。ハルはミアの姿を見てそう思っていた。

 着替えも終わり準備が出来たところで家を出た。日はもう沈んでしまったが、まだ光は残り薄ら明るい。

リーゼによると店は上流階級地区の端にあり、家からはかなり遠い。歩いて行くと丁度宴の時間だろう。

 日中は日差しが強く感じられ始めているが、暗くなると風が心地よい季節だ。姉妹三人揃って仲良く夜のお出かけという気楽な雰囲気で歩き、時々好奇心旺盛なミアが様々な店の前で興味を惹かれ立ち止まり、それをハルが強引に手を引いて歩かせるといった事を繰り返しながら、王都内の色々な通りをのんびり歩きながら目的地へ進む。

 ハルが王都内を駆け抜けたのはシャーゲル家から逃走した時で、ミアが王都内を行くのは学校から飛び出して以来だ。

二人ともその時とは打って変わって明るい気分で手を繋いで歩く。

ハルはこんな日が来ることを転生前からずっと願っていたような気がした。


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