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嫌われ者  作者: 弥生
第二章
32/46

10

 ハルは悩んでいた。ミアの服とぬいぐるみで散財し、そして食費が二人分になった。

イヤリングを売却した事で、しばらくは暮らせるだろうと思っていたのだが予想外の展開だ。

何かしら収入を得る手段を考えなくてはならない。遠からずこうなる事は予想はしていたが、想像以上に早くその時が来てしまった。

 しかし、この世界に突然転生してきたハルに出来る職業があるのだろうか。銀の髪の下級階級であるというハンデもあるし、文字もあまり読めない。この世界の常識に明るくないし、経験は全くない。

 ゲームやアニメ、小説ならギルドに行って仕事を請け負ったり、誰かに拾われて勇者になったりするのだろうが、残念ながらハルには戦闘の経験はほとんど無い。

刃物は包丁しか持ったことが無いし、それも碌に魚もさばけない腕前だ。唯一戦闘といえばミアと対峙した事だが、逃げるだけで攻撃は出来なかった。

 唯一成功した事といえば、グンターを色仕掛けで騙した事だろう。

そう考えると、ハルに出来そうな職業は一つ、水商売だ。

幸い容姿には自信がある。グンターの時と同じで、男性好みの虚像の女性を作り出す事も出来る。背は小さく胸も小さいが、きっとこの世界にも需要はあるだろう。

 早速ハルはアデリナの所へ出かけ、この世界の水商売についてそれとなく聞いてみる。

アデリナは女性で水商売の事には詳しくなかったが、近くの酒場の主人なら分かるかもしれない、と教えてくれた。

 そのままの足で、まだそれほど日も傾いていない時間にハルは酒場を訪れてみた。

大きな扉を開けると、中はまだ暗く客は誰もいない。それほど大きくはない酒場で、いくつかのカウンター席と少数のテーブル席がある店だった。

誰もいないのでハルが大きな声で呼びかけてみると、店の奥の方から髭面の筋肉質で体格の立派な男が現れた。

 怪訝そうな顔をして何しに来たんだ、と男は言った。ハルは小柄な若い女性で酒場に似つかわしくないし、しかも店は真っ暗で開店前のようだ。不審に思うのも当然だろう。

ハルはアデリナの紹介でやってきた事を告げて、水商売について知っている事を教えて欲しいとお願いした。

 この街の水商売は、店舗型はなく個人で売り買いするものらしく、ハルはキャバクラのような所が希望だったのだが、残念ながらそういう店は存在しないらしい。

そして売春街が存在し、この街の風俗は全てその場所のみで行われているとの事だ。

国は体裁的には売春を認めないが、性犯罪抑止のために特定の地域でのみ「見て見ぬふり」をしているのだろう。この世界も転生前の世界と同じようなものだ。

 場所も教えてもらったハルは、いくらかの金額を謝礼に支払って店を出た。

早速下見に向かう。体を売るつもりは無いのだが、どういう商売がどのように行われているか見ておかないと不安だ。

 酒場からかなり歩いた先、王都外地域つまり下流階級地域と王都内の境目あたりに目的の売春街が存在した。

細い通りの両側は怪しげな看板をかかげ、窓から中が見えないようにしている建物が立ち並び、いかにも風俗街といった妖しげで危険な臭いを漂わせている。

まだ時間が早いにも関わらず獲物を吟味するような目つきの男たちがうろつき、通りの所々に暇そうに立っている女たちが、誘う様な目で通り過ぎる男たちを眺めていた。

女の髪色は様々で、金の髪の女もいくらか立っていた。やはりこういう場所に階級は関係ないようだ。

 ハルは着ていた黒いローブに付いたフードを深く被って顔を隠しつつ、様子を見ながら通りを歩いてみた。

男が女の前で立ち止まり、何やら話している。値段交渉なのだろうか。ハルがそっと観察していると、交渉が纏まったのか連れ添って路地裏に消えていった。

 ハルが俯き加減で通りを歩いていると、驚いたことに何人かの男に声を掛けられた。もちろん今回は様子見なので無視して歩き続ける。

思った以上の需要はあるようだ。上手くやれば稼げるかもしれない。

ハルに妙な方向の自信が出てきていた。

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