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吸鬼  作者: ツヨシ
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三人で何も言わずに、学食の粗末な椅子に腰掛けている。


机の上には例のレポートがあり、そして桜井の左頬にはしっかりと赤い手形が残されている。


手形の主は雅美だ。


上条は、あのおっとりとした雅美が怒るところを初めて見た。


一時は食堂のおばさんたちも参戦して、けっこうな騒ぎとなっていた。


が、上条と桜井でなんとかなだめすかして、雅美にレポートを読んでもらった。


桜井の補足の説明を聞きながら。


雅美がレポートを読み終えた後の状況が、今だ。


上条も桜井も雅美が何か言うのを待っていた。


しかし雅美は目を閉じ、首をうなだれて黙ったままだ。


上条は考えた。


吸鬼を封印するには、雅美が犠牲にならなければならない。


しかし雅美が断ったとしても、結局あいつに命と魂を吸い取られてしまう。


もし自分がそんな立場になったとしたら、あっさりと「わかりました。みんなのために喜んで私が犠牲になります」なんて言えないだろう。


理屈では理解していたとしても、感情がそれを拒むはずだ。


雅美だってそうなのだろう。


それが人間と言うものだ。


二人は待った。


とても余計なことを言い出せる雰囲気ではないし、何よりも決めるのは雅美なのだから。

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