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吸鬼  作者: ツヨシ
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「そんなこと、行ってみないとわからないじゃないか」


普段はおとなしいが、言い出したら聞かないところが桜井にはあると、上条はうすうす感じ始めていた。


「わかったよ。行けばいいんだろう。行けば」


上条は、昨日の木本のこともあって、半ばやけになった。



洞窟に着くと桜井は迷わず中に入ろうとした。しかし入口のところでぴたりと止まった。


「どうした?」


「見てみろ」


入り口が東を向いている洞窟は、まだ低い位置にある太陽の光がけっこう奥まで届いていた。


そしてその光により、トンネルの先にある空間の手前のほうが、入口からも見えていた。


そしてその中に、そいつはいた。


真っ黒いもの。


上条の第一印象はそれだけだった。


上条は思わず一歩下がった。


が、桜井は下がるどころか、何の迷いもなく洞窟の中に入って行く。


「おい、馬鹿。やめろ!」


上条は、自分でもびっくりするほどの大きな声で叫んでいた。


それに対して桜井がゆっくりと振り返った。


「大丈夫だよ。おそらく僕たちは、こいつの吸い取る糸にすでに囚われている。時間が経てば、勝手に命と魂を吸い取られるわけだ。だから今更襲われるなんてことは、無いと思うよ。こんなやつの思考回路は計り知れないけど、僕がこいつだったらすでに手中にある得物を、あらためて襲ったりなんかしないね」

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