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「ええ、これからやることがありますから」
「そう、残念ね」
「本とノートは元に戻しておきますから」
「いいわ。私がやっとくわ。今日はもう、それくらいしか仕事がないから」
「一日の仕事が、本とノートをすぐそこにある倉庫に返すだけなんて、いいですね。代わってあげたいです」
上条は思わずそう言いかけたが、すんでのところで止めた。
「そうですか。ありがとうございます」
「じゃあ、また来てね。お友達も一緒にね」
「はい、わかりました」
「お邪魔しました」
史料館を出て車に乗り込むと、桜井が言った。
「それでは、今日はこの後ずっと、巫女探しをやってね」
「どうやって?」
「そんなもん、こんな時はネットに決まっているでしょう。大学に行って、そこ等へんのやつを捕まえて聞いてみて、条件ぴったりおつりなしの巫女を知っているやつなんて、いると思う?」
「いないな」
「それじゃあ下宿に帰ったら、寝食惜しんで好きなだけネットサーフィンしてね」
「それで見つかるかなあ」
「それはやってみないと判らないよ。見つからないかもしれないからやらない、と言うなら、あえて止めはしないけど」
「わかったよ。やるよ。やればいいんでしょ」




