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「……そうか」
上条は更に先を読んだ。
○ 吸い取られた者とは、意思の疎通は出来ない。
○ ある人が吸い取られると、その時距離的もしくは精神的に近い他人が、次のターゲットになる。最初の一人が決まった時点で、その糸の順番が最後まで決定される。
「糸って、なんだ?」
「つまり最初が犬田、そして次々と伝染病のように連鎖していく。その様子を糸と表現したんだね」
「そうか」
○ 次々と吸い取られてゆき、その数は十人ほどで終わる。
○ 糸は最初一本だが、やがてどんどん増えてゆく。
「糸が増えるのか!」
「そうだね。今のところは一本みたいだけど、そのうち増えるみたいだ。僕たちは最初の一本だから、あと何本増えたところで、僕たちには関係はないけどね」
「……」
○ 吸い取るのは一瞬ではなくて、数日かけて吸い取る。
○ 吸い取られ始めると、その者は首に痛みを感じるようになる。
――木本だ!
「桜井、おまえ知ってたな」
「首の痛みのことかい。もちろん知ってたさ。だから早くしようと言ったんだよ」




