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吸鬼  作者: ツヨシ
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「なあ、あのボンレスハム、何とかならんのか」


木本が愚痴る。


五人には午後一番の授業があるのだが、上条、木本、桜井の三人にはなかった。


だから木本と桜井がいい奴だったこともあり、上条にとって一番目と二番目に親しい間柄になったのだ。


一番目と二番目、木本と桜井の差は、木本が明るくおしゃべりで、桜井がおとなしくて無口というだけの差だ。


「うん、なかなかの壁だな」


上条が答える。


桜井がなにか言うかとおもったが、なにも言わなかった。


「壁と言うよりも、ドラム缶だけどな」


「そうだな」


上条と木本が笑った。桜井も軽く笑った。



変化を感じ始めたのは、六月に入ってからだった。


犬田が休んでいる。


犬田はなにを考えているのかわからない上に、たまに口を開けばなにを言っているのかわからないと言う、いろんな意味でずれている男で、八人の中では一番浮いていた。


もちろん本人にその自覚は全くと言っていいほどなかったのだが。


誰かが休んだのは先月木本が「起きたら昼だった」との理由で来なかったのに次いで二回目だ。


人間だから体調不良とかいろいろとあるだろうし、もともとなにかあったとしても真亜矢の次に心配されないような男なので(と言うか、真亜矢の場合は男ども全員から「頼むからなにかあってくれ」と願われる人材なのだが)男連中は誰も特に気にはしていなかった。


教授も出席日数には厳しいようだが「一年間、一度も休むな!」というほどの鬼ではない。

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