29/65
29
「いいですよ。一枚ですか」
「今何枚ありますか?」
「三十枚ほどですが」
「それ全部ください」
「ええっ!」
邪封の印はただではなかった。
貧乏大学生にととってはかなりの出費となったが、仕方がない。
礼を言い、車に乗り込む。
下宿に帰ったときには、すっかり夜となっていた。
「明日は朝一に食堂でね」
桜井はそう言うと、帰った。
――なんだか疲れたな。
上条は思った。
でもお札は手に入った。
これでやつを封印することが出来る。
しかし問題は山積みだ。
まず、やつは今どこに居るのか。
そしてどうやってやつを洞窟まで呼び寄せるのか。
そしていったいどんな手を使って、お札を貼り、入口を塞ぐまでやつをおとなしくさせるのか。
――それよりも……




