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「わかったから、今日はもう帰って休んでろ」
「ああ、そうさせてもらうわ」
木本が去った後、上条が言った。
「あれ、どう思う?」
「始まったな。間違いない」
「だとすると、木本が危ないぞ」
「そうだ。急がないといけないね。調査は続けよう」
別れ際に桜井が言った。
「木本は抜きでね」
次の日、上条は大学生にあるまじき早い時間に目が覚めた。
やはり木本のことが気になっているのだ。
すると桜井から電話があった。
「もう起きたのか」
「気になってな」
「僕もだ」
一時間後に学食で会うことにした。
その間、何度か木本に連絡を入れたが、木本が電話に出ることはなかった。
学食で上条が桜井にそのことを伝えると、桜井が言った。
「やはりね」
「あいつ、大丈夫なのか?」




