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「それは行ってみないとわからないよ」
それまで黙っていた上条が口をはさんだ。
「それじゃあ行ってみようぜ」
「ああ、行こう」
そう言った桜井は、なんだか嬉しそうだった。
洞窟へはあっさりと着いた。車が通れる道から少し入ったところにあるからだ。
「ここかあ」
木本のテンションが見るからに上がってきている。
上条が言った。
「一応立ち入り禁止だが、入ろうと思えば簡単に入れるな」
桜井が言った。
「日本にはこういったところが多いね。立ち入り禁止の看板だけ立てて、その後は訪れる人の良識に任せているんだよ」
「そんなことよりも、せっかく来たんだから、さっさと入ろうぜ」
「わかったよ」
桜井が鞄から懐中電灯を三つ取り出して、そのうちの二つを上条と木本に渡した。
「それじゃあ俺が先頭な。じゃ、行くぜ」
上条も桜井も文句は言わなかった。
どうせ入ってすぐにちょっとした空間に出て、それで終わりなのだから。
その空間は、入口に立っている時点で、もう見えている。
当然歩き始めると、すぐにその空間にたどり着いた。




