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「夏休みの間に、調べられるだけ調べておこう。でも出来るなら、帰郷を早めに切り上げて、こっちに来てくれると助かるんだけどね」
「わかった、そうするぜ」
「そうしよう」
「でもよう桜井、調べてもよくわかんなかった場合は、どうするんだ」
桜井は一息つき、言った。
「その時は、この講座を辞めるべきだね。あの三人みたいになりたくないのなら」
「うん、そうだな。それがいい。そうしよう」
「そうするか」
二人がそう言っている間、桜井はとても小さく呟いた。
「それで万事解決するなら、いいんだけど」
そして八月に入ったばかり、新学期まで一ヶ月のある日、桜井から緊急の徴集がかかった。
「なるべく早く帰ってこい」
と。
いかぶる親を説得し、次の日の昼には学食にいた。
夏休みでも大学は開いており、食堂も働いているおばさんの数は減っているが、メニューなどは通常営業していた。
夏休みでも夏期講習や、大学院生の一部など、学校に来ている学生はそれなりにいるからだ。
もちろん一部の教授連中もうろうろしている。
待っていると木本がやって来た。
「うっす。桜井はまだか」
「まだだな。待っていてくれと連絡はあったが」




