13/65
13
みんなつかず離れずの位置で山谷を取り囲むように陣取り、ずっと山谷を見ているのだ。
ついでにその他の五人も。
そんな中で会話が弾むわけもなく、お通夜の様な雰囲気の中、昼食を食べ終えた。
女子二人は早々に、山谷は授業開始のチャイムが鳴ってから食堂を後にして、いつもの三人が残された。
野次馬はその数は減ったが、まだ周りに残っており、引き続き上条達の観察を続けていた。
会話は必然的に小声で行なわれた。
それは音量調節不可能と思われていた木本までも。
木本が言った。
「来週、山谷来ないんじゃないのか」
桜井が答える。
「来週からは夏休みだよ」
「おおっ、そうだったそうだった。すっかり忘れていたぜ」
「だから授業は夏休み明けだ」
「そうだな。それまでになんとかしないと」
「そう。そうしないと、次は木本になるかもしれないしね」
「えっ、なんで俺が?」
上条は驚かなかった。
桜井と同じことを考えていたからだ。
上条は口をはさまずに、二人の会話を聞いた。




