表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/7

日常



布団に入って過ごす秋の午後。


寝転がって背と足を丸めて腕を包むように抱える、そんな赤ん坊のような姿勢で温もりに包まれて寝て過ごす。


寝惚けながらも腕を伸ばせばベッドのすぐ横の机に手が届き、目当てのスマートフォンを布団に引きずり込めば画面をつけて時間を確認した。


PМ 2:22


こういった時にゾロ目を見ると自分が何か特別な力でもあるんじゃないかと思って嬉しくなって頬が緩んだ。


慣れた手つきで画面をスライドさせ、ソーシャルゲームアプリを起動させる。

聞きなれた起動音や効果音を聞きながら、何時もの様に課金をして、何時もの様にガチャを回す。

ここ最近の寝起きの習慣で、これをすると一日の始まりを感じる。学校に通っていた時は朝のニュースの占いを信じていたが、今ではこれがその代わりだ。


ピコーン     レア


ゴミみたいな効果音と一緒にゴミみたいなキャラが排出され、顔が歪む。今のは練習だから。そう声に出さず呟いてもう一度ガチャを回す。ピコーン ピコーン ピコーン



気が付けば、さっき買った課金アイテムの山が無くなっていた。残ったのは苛立ちとゴミの塊。

頬と眉間に力が籠りきって痛いぐらいに筋肉が奮えている。布団を跳ねのけ飛び起きれば、駄目だと思っていても手に持っていたスマホを思い切りゴミ箱に向け投げ捨てるまで数秒とかからなかった。


ガコガコガコッとゴミ箱の中へスマホが落ちていき、揺れる震動でゴミ箱が倒れればお菓子の袋やティッシュが床に散らばった。

それさえも自分を馬鹿にしているような気がして、眉間に皺が更に寄り舌打ちが自然と出る。

放っておいても母さんが片づけるだろ。と、考えれば罪悪感もクソもない。残るのはガチャで爆死した苛立ちだけだ。布団を被り直して不貞寝をする事にする。


寝て起きれば、今日をまたやり直せる気がしたから。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ