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世界ランキング第二位の俺は金のために無双する  作者: 漆黒のギル
第1章 仕事からの解放
2/12

梨華ちゃんを強くするお話し

テスト週間中の夜に書いていたので文章おかしいかもしれないです

 訓練開始の日の朝五時。

 今日はこの時間に家を出ることにした。

 その理由は訓練をするエリア内に悪魔が攻めてきたらいけないから。

 結界を張って約百ヵ所に対悪魔用トラップを張り巡らせて警備用の小さい火竜を配置して一応悪魔がいないかも確認しておかないといけないから。

 ついでに家から学校までの道にも悪魔がいないか確認しながら行く。

 昨日と同じ道を歩いて行ったが何もいなかったし気配もなかった。

 次は学校の周り。

 これも何もいなかったので結界を張り、適当な感覚でトラップを張る。

 学校が意外と広くて五百個は超えたかもしれない。

 そして最後に火竜の召喚と配置。

 召喚にするには血をささげなければならない。

 この学校全体の警備となると相当な血の量が必要になる。

 使い魔なら血を捧げずに召喚できたらいいのに。

 まず魔方陣を書く。

 自分の腕を斬り、血を出す。

 その血を魔方陣に垂らす。

 そして最後に魔方陣に魔力を注ぎ込み、詠唱する。

 これで火竜の償還が完了する。

 召喚した火竜は学校の校庭に十匹、校舎内にも十匹、学校の周りに三十匹配置する。学校の周りに三十匹も配置するのは外から侵入されないように。そして、結界が破られたときに悪魔を撃退してもらうという役目もある。だから周りを多めに配置している。

 火竜の配置が終わったらちょうど五時半になっていた。

 まだ練習時間じゃないな、とは思っていたがやらなければいけない状況になりつつあった。

 天宮が学校に到着していた。

 疲れて気付いてない。が、天宮が気付き声をかけてくる。

「おはよう、霧崎くん」

 今日も笑顔が素敵ですね。明るすぎて失明しそうですよ。

 そのレベルの笑顔で「おはよう」ていわれると可愛いと思ってしまう。

 この世にこれが可愛いと思わない男はいるのだろうか・・・

「おはよう、もう練習始める?」

「うん、そうする」

 開始時間より三十分前から練習を開始することになった。

「まずはこの学校の周りを二十周。一応俺も走るから」

「わかった。頑張る」

「じゃ、スタート」

 ペースはそこまで早くはない。

 けど、走るときの姿勢はきれい。

 こういうところをみて今後の練習メニューを決める。

 十周になってもそこまでしんどそうにはしていない。

 スタミナは足りている。

 走るときの姿勢、スピードも特に変化はなし。

 十五周目、スピードが少し落ちた。

 姿勢の変化はなし。

 あまり息は切れていない。

 体力は結構ある。

 そして、二十周走り終わった。

「おつかれ」

「思ったより疲れたぁ、霧崎くんあまり疲れてなさそうだけど、すごいね」

「いや、はぁ・・・はぁ・・・・・・結構疲れた」

「おー、やってるねー」

 シスターズがやっと来た。

 飲み物を持ってきてくれている。

「お疲れー、梨華ちゃんはどうだった?」

「タイムが三十分二十七秒。走るときの姿勢はきれいだった。ぜんぜんブレてないって感じ。

十周でも特に疲れたかんじもなかったしスピードもあまり落ちてなかったからスタミナは合格かな?体力作りよりも筋トレを重視したほうがいいかも。もちろん少し力がつけばいいだけだからハードな練習とかはしないけど」

練習で体調を崩してしまっては元も子もない。それに、天宮は女の子だし筋肉で腕が太くなったら天宮が困るだろう。

「練習ってどんなことするの?」

「走り込みはまあ学校の周りを十周程度で大丈夫だと思う。筋トレは今からやる簡単なテストでやるかやらないか決める」

「テストとは?」

「テストとは、銃を持って撃つときにブレていないか。腕が振るえていないか。この二つがまず一つ目のテスト」

 テストはあと1つある。

 それはあとで言う。

「銃はこれを使って」

 自分の愛用のハンドガンとライフルを渡す。

「まずはハンドガンから。あの木の枝を撃って落としてみて」

 しっかりと狙っている。

 ハンドガンだし腕は振るえていないけど撃つときの反動で意外とブレる。

「どの枝でもいい?」

「どれでもいいよ」

 一番近いのを狙うと思う。

 それはそのほうがやりやすいし、確実だから。

 ただ、そうするとあまり達成感などはない。 

パキッ

 枝が落ちてきた。

 銃を改造して消音にしたからよくわかる。

 距離はそこそこ遠い。

 銃を撃った時の反動も特にない。

「次、ライフル」

 ハンドガンが終わったところで次はライフル。

 今度はライフル自体重たいし、反動もある。

 そして撃つ位置。

 位置は今撃ったところよりも20m離れたところ。

 当てるのは簡単。だと思う。

 あのライフルは弾のブレがないし命中精度もめちゃくちゃ高い。

 あとは天宮の実力次第だが・・・

パキッ

 きれいに当てた。

 まったくブレがない。

 そしてあの慣れたような撃ち方とリロードの仕方。

 実際に撃ったことがあるように。

 聞いてみないとわからないけど。

「天宮ってライフルとか使ったことあるの?」

「ゲームでライフル使ってた」

 それで使い方がわかってたのか。

 説明してないのにリロードとか普通にやっててびっくりした。

 そういえば俺もゲームがきっかけで銃を買ったんだよなー。このことはもう黒歴史でしかないけど。

 おっと、重要なことを忘れていた。

「天宮、筋トレはしなくていい。体力作りがメインになる」

「おー」

「その代わり走る距離増えるよ」

 ここで軽く冗談。

「了解しました、師匠!」

 了解されちゃいました。

 冗談で言ったのに。

 だって・・・実戦で体力つくし。力の差というものを味わっていると実力も体力もなんとかなるし。

 ただ、こうやる気のある子だし冗談だよっていうのもなんか嫌だ。というか言えない。

 俺は地雷を踏んでしまったのだろうか?

 正直自信なんてない。

 ま、まあ・・・自分から言ったんだからあきらめてやるしかない。

「そんじゃまあ頑張れ。今日はこれで終わり。明日は六時から」

「ありがとうございました」

「ん、じゃあ学校遅れないように」

「大丈夫、制服とかも持ってきたから」

 この子準備万端だった。

 準備してきたのはいいけどどこで着替えるの?

 さすがに外はだめだし校舎とかもまだ入れないし。

 ちなみにさっき俺が入れたのは時空を歪ませたから。

 そうか、それで入らせてあげればいいのか。

 あ、でもだめだ。

 俺が魔術を使えることは秘密でもしバレたら今後面倒なことになる。

 某アニメのように「あれだしてー」などと言われ俺は道具扱いに・・・

 しょうがない。

「この辺に着替えるとこないけど・・・どこで着替える気?」

 聞いてみた。

 答えは想像しない。

 そう、あえて想像しない。

「・・・・・・・・・・・・・」

 返事がないということは何も考えてなかったんですねワカリマス。

「この辺まだ俺たち以外いないしここで着替えていいよ。あっちむいとくし」

「わかった」

 俺的にわかったらダメだと思うけど家に帰らせるってのもかわいそうだから俺が回れ右して見えないようにすることにした。

 

 見たい。天宮は結構スタイルいいし下着姿も見てみたい。

 と思うのはまだいいかもしれない。

 だが!霧崎迅は違う!

 妄想してしまった。

 何色の下着着けてるんだろ?とか、服着てる時よりもデカいんじゃね?などと考えてしまった。

 これは男としてしょうがないこと。

 男なら必ずしも通る道であって避けることは誰にもできない。

 そしてその道を今俺が歩いている。

 思春期という名の危険な道を・・・

「あ、ごはん食べてない」

 妄想していたら急に思い出してした。

「そうだと思った。作ってきたよ」

 と、結構デカい弁当箱を出す。

「ねえちゃんすごい」

 中身も豪華だった。

 これを見て食べないという選択肢はあるのだろうか。

「りかちゃんも食べる?」

「いいんですか」

「いいよー」

「ありがとうございます」

 あの量だと4人でも食べきれるかわからない。

「いただきます」


                     *


 数時間後。

 教室にて。

「ホームルーム始めるぞー」

 教室で話していた人たちが席に座る。

「今日は重大なお知らせがある」

 重大ってなんだろう?

「昨日この町の空に巨大な船が出てきた。今わかっている情報だとあれが悪魔どもの本拠地らしい。人型も出るらしいし襲われないように気を付けろ」

 そんなものを見た覚えもないし支部長からも特に何も言われてない。

 そろそろ強いのが来るらしいから警戒しとけよー。とは言われたがまさかそのことだったのだろうか。

 もしそうなら明日にでも乗り込んだ方がいいかもしれない。

 人型がいるってことはこの学校で生徒に紛れ込んでいるかもしれない。

 今日は警備もかねて校舎内でも歩きまわろう。


「昼休みだ―」

 ある男子が叫んでから気づいた。

 新しく買う銃のことを考えていた。

(あ、警備)

 思い出した。

「さて、行くか」

 あくびをしながら教室を出る。

 廊下にいる人達からは今のところ特に何も感じない。

 一階をすべて回ったが特に変化なし。

 あと二階、三階、四階まである。

 この学校からは何も感じないけど一応見ておく。

 二階は意外と人が多かった。

 教室の前に五人~七人は絶対にいる。教室の中から奇声が聞こえたりもする。廊下のほうはプロレスごっこ?みたいなことをしている人、いちゃついている人といろいろいた。

 多すぎて探しづらい。

 走っている奴らがうざい。ぶつかってきても何も言わないし邪魔だし。二階には餓鬼しかいないのだろうか?教育しなおした方がいいんじゃないのか?

 そんなことを思いながらやっと半分まで来た。

 相当時間がかかった。

 まあここからは楽そうだ。

 意外と大人しい人たちのほうが多かった。

 多少うるさいやつらはいたけどまあ歩く邪魔にはなりそうでもないし許せる。

 なんか平和に感じてしまう。

 今までずっと戦ってた(金のため)から日本がこんなに平和だったとは知らなかった。俺も姉ちゃんもほぼ毎日気の赴くままに出かけて悪魔がいたら倒して遠出した時はホテルに泊まって殺されそうになって夕食に毒を盛られたりetc

 毒を盛られて死ななかったのは量が少なかったから。

 あの時はやばかった。お腹が痛くなって戦うのに支障が出た。痛覚操作の魔術をかけてもらったけどほんの少ししか効果がなくて死ぬかと思った。

 あの時はほんと死ぬかと思った。

 それにしてもこの辺は敵がいない。さっきからずっと歩いていても気配を感じ取ることが出来ない。

 敵が強いか俺が弱いか。

 なにか異変でも起これば早く見つけられる。 

 例えば突然雷が落ちるとか。


バンッ


 なにかが撃たれた音がした。

 急いで外に出ると校庭が燃えていた。

 外にいた人たちには幸いけが人はいなかったが精神的にはやばいかもしれない。

『えー、今、校庭に雷が落ちました。みなさん、落ち着いて地下シェルターに避難してください』

 放送でそう言っている。

 この学校に地下シェルターがあったなんて知らなかった。

 あれ?

 なんだろう。突然雷が落ちるって・・・

 ヤバくね?

 ネタ的にはいいとしてもいきなり強い敵とか出たらどうしよう。

 武器とか持ってきてないんだけど。変身すれば作れるけど。

 さて、今俺には武器がないわけだが・・・どうやって戦おう。

 周りにはまだ生徒がいるから魔術を使うことはできない。だからって逃げたりしたら被害が拡大するだけ。いくら金稼ぎとはいえさすがに俺の金稼ぎのために人を犠牲にすることはできない。いや、したくない。

 姉ちゃんがそろそろ来るだろうしそこで作戦を考えよう。

 蘭は俺の部隊に入るけどそこまで強くないし無理はさせたくない。

 隊長から見て正直言うと蘭は弱い。

 回復特化すぎて戦闘には向いてない。大規模戦闘の時に負傷者を回復するくらいしかできない。だからなるべく戦闘には出したくない。霧崎家は俺以外みんな支援魔法を使う。だから姉ちゃんも今は戦力にはならない。攻撃を上げて敵を殴ったりできる俺が一番の戦力になる。かっこつけているとかそういうのではなく真面目に。

「迅くん、負傷者は?」

「誰もいない。一応支部長さんに連絡しといて。あと俺が戦っとくし姉ちゃんは生徒の安否確認と報告をお願い。先生が確認してたらそれも支部長さんに報告。終わったら絶対シェルターから出るなって伝えといて。あとちょっと作戦会議」

「戦うの?」

「そうじゃないと作戦会議なんかしない。あいつはたぶん雷使いだと思う。神話級の強さじゃないからたぶん例の飛行船からの奇襲。あれが拠点だとしたらあのレベルの雷使いがいてもおかしくないと思う。校庭で火災ってことはたぶん上級だろうし、そうじゃなくても放置してたらこの町は数週間で全滅する。だから早めに倒しときたい」

「そーゆーことでしたら、わたしを使ってくださいな、迅さん」

「うわっ」

 誰か来た。

 と思ったら俺の部下の舞ちゃんだった。

「あー、舞ちゃんだー。手伝ってくれるの?」

「戦闘組ですからねー」

 戦闘組とは、俺が勝手に決めたものだ。

 戦闘特化の隊員は戦闘組。支援特化は支援組という感じ。

 ちなみにこれは俺の部隊だけ。

「それじゃあこれで決定か。んじゃ、実行だな。姉ちゃんあ、あとのことは任せたよ」

「わかった。それと迅くん・・・死なないでね」

「大丈夫。行ってくるよ」

 ここで俺と姉ちゃんは分かれる。

 姉ちゃんは俺が拠点まで行くのを見送ってからシェルターへ向かった。

「大丈夫。俺は死なないから」

 正直不安だけど。

 今回は舞ちゃんもついてきてくれるしそう簡単には死なないだろう。

「舞ちゃん、今回はこの拠点ごとぶっ潰す勢いで行っていいから」

「了解です」

 入り口で作戦?を伝えて出発する。

「うわぁ」

 どこかの研究所みたいな感じだった。

 実験台があったり薬品が置いてあったり。こんなことろが拠点とは・・・奴らも人間に対抗する気だろうか。

 とりあえずここにある薬品はなんの効果かがわからない以上触らない方がいい。今日は薬品などを取り扱うときの道具を持ってきていない。

 成分を解析しておこう。


『不明』

 

 たぶん魔界のものか何かでしょう。

 引き続き捜索。

 実験室のようなところには何もいなかった。薬品はあったけど。

 この部屋には3つドアがあった。

 ドアの上にご丁寧に看板がある。

 入ってきたところには『出口』右側には『素材格納庫』左側には『リビング』と書いてあった。

 リビングて。ここは拠点というか家ってイメージになるじゃないか。

 だが一応リビングに入る。

「おかえりー」

 家庭ですか?入らなかった方がいい感じですか?

「え?」

 俺のほうが驚いていた。

 だってそこには・・・

「モモじゃん、久しぶり」

 そう、モモがいた。

 まえ俺の家にいたあいつが。

「迅さんこの人と知り合いなんですか?」

「まあ、この前戦った」

「へぇ、どうでした?」

「俺は手加減というものを学んだ」

「あはは」

「そんなわけで、こいつは倒す必要はない」

「わかりました」

 何とか乗り切ったみたいだ。

 モモは俺の家に住んでいることになっているしあまり殺したくない。

「あ、座っててください。今飲み物出しますので。何がいいですか?」

 悪魔ってこんな優しいの?

「お茶で」

「迅さんと同じのでお願いします」

「はーい」

 殺意が感じ取れないし毒はないだろう。

 あの時モモを殺さなくて正解だった。

「できましたー」

 お、早いな。

 もう一つ感想を言うならモモさん女子力高いですね。

「これ、わたしがつくったんですよー」

 お茶と一緒にケーキが出てきた。

「家族以外食べてくれる人がいないのにたくさん作っちゃったので余っちゃいました」

 なぜだろう。悲しくなった。

 家族以外で食べてくれる人がいないって聞いたからかな?こんなかわいい子がボッチってのはあまり考えられないんだけど。

「どうぞ、たくさんあるのでどんどん食べてください」

「期待してみようかな?」

 まずケーキを一切れ食べてみる。

「こ、これは・・・・」

「どうです?」

「ごめん」

「??」

「あのさ、ケーキ持って帰っていい?」

「いいですよ。でも何でですか?」

「姉ちゃんたちにも食べさせてあげたい」

 これが俺の感想。

 もちろん本音。

 モモは喜ぶだろうか。

「レシピも教えますよ?」

 レシピまで教えてくれるとは。モモって実は悪魔じゃなくて天使なんじゃないの?可愛いし今まで俺があった悪魔たちとは違って社交性がある。これなら地上に降りてきて生活しても誰にも文句を言われないだろう。

 レシピを聞くついでに地上に降りてくる気はないか聞いておこう。

「お願い。それとさ、この飛行船みたいなのから降りてきて俺たちの世界で暮らしてみる気ってない?」

「んー。それは楽しそうですけど今は弟たちの面倒を見ないといけないので」

「そっかー。ま、機会があれば地上で遊んでみるといいよ。その時は俺もついていくよ。やられたらいけないし」

「そうですか。それでは機会があればデート、してくれるんですね?」

「そ、そういうことになるかな?」

 だめだ。モモのペースになってしまう。

「舞ちゃんとも遊んであげるから拗ねないでね」

 忘れていた。

 モモと話しているときのあの痛い視線は舞ちゃんだったのか。

 俺はなぜこうも簡単にハーレムを作ってしまうのだろうか。まあ嬉しいけど。

「あ、もうなくなった」

 話しているうちにすぐケーキはなくなった。

 おいしかった。

 最後にあれを聞いておこう。

「おいしかったよ。ありがとう。一つ聞きたいことがあるんだけど、今日この飛行船の下にある学校の校庭に雷が落ちたんだけど知らない?」

「はぁ、またあいつらが・・・」

 何か知ってそうな反応だった。

「何かしってんの?」

「弟が『俺は魔術師を目指すんだ―』って言ってたからそれだと思う」

「はーーー。よかったー。いきなり強敵と戦うのかと思った」

「弟が迷惑をかけたみたいで、すいません」

 事情は察したらしい。

「原因がわかったわけだし今日は帰るよ。今日はいろいろありがと」

「はい、また来てくださいね」

 手を振って帰る。

「お邪魔しました」

 舞ちゃんもしっかり挨拶できてえらいぞ。

 それにしてもあのケーキ、おいしかったな。時間があればまた来よう。


                 あら☆がみ


 夢の中。

 アニメのような背景の中俺の目の前には警察がいる。

 これは俺がラディウスに入る1年前の話だ。

 俺は親が嫌いだった。

 姉ちゃんと蘭ばかり気にして俺は気にしていない。息子どころか人としてすら見ていなかった。だからといって姉ちゃんと蘭を恨んでいたわけではない。むしろあの二人が幸せならもう今の状況が変わらなくてもいいと思ったからだ。

 そう思っていたある日、隣の父さんの部屋がうるさいと思って覗いてみた。

「やめて!近づかないで!」

 姉ちゃんが父さんに犯されそうになっていた。

 レイプもののようなデブスではなく見た目はかっこよかったが性格はゴミ以下だった。

 毎日のように風俗に通い、子供をいじめる。嫁なんて気にしない。自分がすべてだと思っている奴だった。

 俺は姉ちゃんが好きだった。

 だからその光景を見て殺意が沸いた。

―あいつを殺そう―

 そう思ってしまった。

 俺の母さんの血筋は魔術が使える。

 それを人殺しのために使おうと思った。

 魔術を使うのは初めてだが感で何とかなると思った。殺意に任せていればこんな事すぐできると思った。漫画のようにすれば簡単に殺せると思った。

 だが、それは間違いだった。

 いざ使おうとしたら制御できなかった。殺意に俺の正気が浸食されていく感じだ。

―助けて・・・―

 そう心の中では思っていた。

 あれだけ強がってきた俺はずっとそう思っていた。はずだった・・・

 いつものような感覚がない。

 今あるのは「目標を始末する」という愚かで惨めな感情だけ。

 今ならわかる。成長した俺ならわかる。


子供の俺にそんなことが出来るわけがない。


 でもそんなことが過去の俺にわかるわけがない。

 怒り狂い、憎悪に飲み込まれ、殺意に浸食された俺にはわかるわけがなかった。だから俺は使ってしまった。

「リミット・ゼロ」

 人の力のリミッターを解除する技を。

 そんなものをつかってしまってはもう助からない。

 俺も父さんも。下手したら姉ちゃんまで巻き込むかもしれない。

 そんなとき前世の俺とあった。

「君はその程度なの?」

 巫女の恰好をした黒髪ツインテの美少女が。

 一瞬戸惑ったがすぐわかった。

 前世の俺だと。

「制御もできずに暴走して死ぬの?本当に・・・それでいいの?」

 その少女はどこか悲しそうだった。触れればすぐ壊れそうにも見えた。

「私ね、弟がいたの。その弟は親に殺されたの。虐待されて身体的にも精神的にも限界に追い込まれてね。それでも親は殺そうとはせず病院で治療してもらって身体だけを直したの。もちろん精神的には限界だから死にたくなるけどね、死ねないの。私はそれを見ているだけしかできなかった。まさに正気だった時の君と同じようにね。その数日後。両親は私に見せつけるように言ったの。

「人が死ぬところを見せてやろう。これはな、お前が人殺しにならないようにするための教育なんだ。しっかり目に焼き付けておけ」

 ってね。

 そうとだけ言って弟を屋上から突き落としたの。警察が来てどうしたのかって聞かれたらあいつ等は「私たちが少し目を離したすきに・・・」なんて言ってた。その時わかったの。私が抱いてた感情が何なのか。それは今の君と同じ、殺意よ。だからね、私もあいつらを殺そうと思ったの。計画を立ててそれを実行したの。あいつらを後ろから刺し殺して死体を転移魔法で宇宙の彼方に捨てたの。それは死ぬまでばれなかったわ。もちろん今もね。でもね、その魔法が使えたのって暴走したからなの。だから使ったあとは何もかもを壊そうとしたの。そんな時現れたのが弟の霊。そんな死に方をしないで、僕の分も楽しんで生きて。って言われたの。もう何が言いたいかわかったでしょう。そんな死に方したら後悔するだけよ!早く術を解除しなさい!」

 最後だけ強く言って消えていった。

 ありがとよ、前世の俺。いや、美玲さん。

 俺は何とか解除した。冷静になってから部屋に入った。

「やめろ!このゴミ親父が!さっさと姉ちゃんから離れろ!離れないなら殺す!」

 簡単な脅しではあったが効果はあった。だって俺、魔術師だから。

 少し怯んだ父さんが言った。

「やれるものならやってみろ、迅」

「わかった。殺すよ」

 その時は殺すとこに夢中になってしまっていたからイメージだけで銃を生成することが出来た。

「人はいつか死ぬ運命だよ。その運命が父さんの死を待ちきれなかっただけなんだ」

 そう言い残して父さんを殺した。

「じ、迅くん?」

 姉ちゃんが震えている。

 姉ちゃんの服には父さんの血がついている。よく見ると髪や顔にもついていた。

「もうこんな生活は嫌だ!俺だけならまだしも、姉ちゃんにまで手を出して!だから殺したんだよ。姉ちゃんが危ないと思ったから。警察に言っても何してもいいよ。でもそれは母さんも殺した後にしてね」

 暴走してはいないが殺意に飲み込まれた瞬間だった。

 そのあとのことははっきりとは覚えていない。

 ただ一つ覚えているとすれば―――母さんは「誰か」によって殺された。

 俺ではない誰かに。


「うっ」

 やっと目が覚めた。

 時計を見るともう10:46だった。

「また嫌な夢を見たな」

 ここ最近この夢をよく見る。

 そろそろ強いのが来そうな予感。

 たとえば―魔物とか?

ヴヴヴヴヴヴ

 マジで来ちゃったよ魔物さんが。

 なんで俺の予想ってこうも当たりやすいのかな?ここまで当たりやすいと泣いちゃうよ?

 おっと、そんなことを考えている場合ではない。早く着替えなければ。

ちゃらーん

 メールだ。

『迅さん、フェンリル級の魔物が現れたそうです。

 魔物の位置は迅さんの家の隣です。

 早めに合流しますので頑張ってください。

 あ、別に飼いならしてペットにしちゃっていいっすよw

 結構可愛いらしいっすからw』

 なんて危機感のないメールだ。部下として云々の話はいいとしても危機感がなさすぎる。相手はフェンリル級だぞ。結構強いんだぞ。

 というわけで1F(1フレーム)で着替える。

 そして窓を除く。

「な、か、かわいい。うっしゃーーーーーーー。もふもふするぞー」

 別の意味で張り切っている迅。1階であわている姉ちゃん。学校にいる蘭。急いでこっちにきていると信じたい俺の部下たち。鳴き声にビビりながらも「あの子可愛いわねー」などと言っている近所の人たち。

 やっぱ異変なのかな?

タッタッタッタッタッタッタ

 姉ちゃんが来た。

「迅くん、早くきいて」

 手を引かれて現場まで連れていかれる。

「あの子飼いたい。ねーねー、早く手名付けて」

 そんなキラキラした目で見られても困ります。

「わかった。おーい、フェンリルさーん、おやつがありますよー」

 無理と確信しての釣り。

がぶっ

 そしてその釣りに釣られるフェンリルさん。

「ふぇ?」

 俺が一番驚いたよ。だってフェンリル級の魔物がおやつごときで釣られるんだから。

「いいこでちゅねー」

 とか言いながら撫でてみた。

くぅん

 あっこれ簡単な奴だ。

「君の名前は今日から葵だ。ほら、俺の肩に乗って」

 乗ってくれた。

 小さいし軽いので特に負担にはならない。

「おぉ」

 周りの人(姉ちゃんも含む)が奇跡だ!という感じで俺を見ている。

 いやー、てれるなー。まあぁ俺がすごいのは事実だけど。

 謙遜?謙遜が美徳なのは日本だけだぜ。

 さて、餌、部屋はどうしよう。散歩に行くのも大変だな。

 そうだ!ToLOVEるみたいな電脳サファ○リでも作ればよくね?

「さて、帰ったら準備でもするか」

 それから迅たちはフェンリルの餌、異空間の中の草原に木、水辺、遊具の配置をしたり今月分の報告書を作った。

 最後のは気にするな!


                  (´・ω・`)


 そして4日後。

 ついに天宮の体力作りが終わった。

「おつかれー。明日からはあさ俺の家にきてもらうから」

 やましいことなんて何もないですから。ただ事前に作っておいた仮想闘技場で戦ってもらうだけですから。

「天宮には狙撃の練習と近接武器を使って1対10とかやってもらうから」

「1対10って・・・誰と戦うの?」

「俺の分身」

「勝てる気しないんだけど!?」

「頭を使えば勝てるさ、君もそんなにバカじゃないよね?」

「でもぉ」

「でもぉ、じゃない、できる。1対多数の試合のサンプル映像送っとくから」

 送るのは1対大勢でやっているシーン。某バトルアニメの水属性の子が雷属性相手多数に対してソロで立ち向かうシーンや銀髪美少女が炎のあれと戦うシーンなど。

 さすがに真似をすることはできなくても参考程度にと思った。

(あれは俺も参考にしたくらいだしな・・・)

 だから使えるはず。

 あとはFPSで1対1で勝負して俺に勝ったら第一の試練合格。剣技とかのはある程度訓練してから道場破りにでも行ってもらう。それが終わったら今度は森などの足場が悪い場所での戦闘訓練。これくらいしかやることがない。

 やることを教えてから俺たちは校舎に(勝手に)入った。

 誰もいない。気配もない。薄暗い教室の中には3人だけしかいない。

 俺、姉ちゃん、天宮。

 間違いが起きそうなアブナイ状況になっている。

 まだ教師たちも来ていない。だからこの教室―いや、この学校の中には俺たちしかいない。妹は実習?が終わっているのでさっき家に帰った。

「なんか怖いね」

 天宮の声に少しびっくりした。

 だっていきなりだったんだもん。しょうがないよ。

「そりゃあ今日は曇りだし日の光がなくて薄暗いからね。なぜか電気がつかないし」

「余計怖くなった」

「サ―セン」

ガタッ

「きゃー」

「うおっ」

 天宮が本気でビビっている。しかも俺に抱き着いてきた。

 おお、胸の感触がたまらん。

 いやいやいや、そんなことを考えてはだめだ。理性を保て。

ドォーン

 今度は雷だった。朝も曇っていたし遠くのほうの雲が少し黒かったからそろそろ降るかな?とは思っていたがこのタイミングとは・・・

 天宮はさらに強く抱き着いてきて、さらに姉ちゃんまで来た。

(姉ちゃんって雷でびっくりするんだ。意外だな)

ザ―ー

 雨が強くなった。

 これだと外に出れそうにない。傘を持ってくればよかった。

 さて、今の状況を整理しよう。

 薄暗い教室で俺は姉ちゃんと天宮に抱き着かれている。さらに胸の感触が気になってしまう。

姉ちゃんは姉だしまだいいとしても天宮は彼女でもないし幼馴染というわけでもない。今は友達であり俺の弟子という関係なのだ!男の夢を背負っている状況で理性を保つのは本当に難しいことだった。二人とも結構大きくて柔らかい。しかも天宮は背中、姉ちゃんは腕。というエロゲ的状況になっている。どこのエロゲ?ってか絶対どっかのエロゲでこんな状況あるよね?ないはずがない。

 あーーー。だめだ。理性が、理性がぁぁあ。そろそろ崩壊しそうだ。

 襲うというよりは倒れそう。

 俺も男子なわけでしかもこんな状況は人生で初めて。姉ちゃんと蘭と一緒にふろに入ることはあってもさすがにいちゃついてはいない。俺が中学生のころ頃だったけどみんな普通に裸だったけどいちゃついてはいなかった。断言する。

 だがそれとこれとは違う。

 裸の付き合いと密着している状況は全然違う。

 確かに俺は女子の着替えを見たところで特に何も思わないという男子らしくないところはあるがさすがにスタイルのいい女子と密着していて何も思わないということはない。だからこれは割とマジで困る。

 胸のことを言った方がいいのか?姉ちゃんはたぶん大丈夫だと思うけど天宮がな・・・嫌かどうかは分からないけど言ったら真っ赤になるかもしれない。見てみたいけど我慢。

 少しはこの感触を楽しみたいというのもあるがやっぱり天宮が心配。

 遠回しに言った方がいいか俺が適当な理由をつけて逃げたほうがいいのか?

 なるべく不安にさせたくはないからあまり離れたくはない。

 そうなると―

「あのさ、ちょっとトイレに行ってきたい。だから、二人で頑張ってくれ」

「うん」

 もちろんトイレには行かない。

 教室の外に出て二人を見張っておく・・・つもりだったのだがどうしてこうなった?

「ついてくる気?」

「だって怖いし」

 マジどこのエロゲだよ?トイレにまでついてきて中であんなことやこんなことにはならないよね?こういうことってすぐ噂になるから嫌だよ?

 とか思っていたらエロゲ的状況になってしまった。

「ここから先は男子トイレです。女子の方は速やかに撤退してください」

「ならこっちに来て」

 引っ張られて女子トイレに入れられた。

「おい」

「大丈夫。外にいるし耳を塞いでるから」

 物凄く不安なのですがどうすればよいでしょうか?

 とりあえず話を合わせておく。

「覗くなよ?」

「男子が言うセリフじゃない」

 終わった。

 この瞬間俺の人生は終わりを告げた気がした。

 もうあきらめて個室に入る。

 急いで鍵を閉めて一安心。と思ったのは数秒だけだった。

ガタガタ

 隣から何かが聞こえた。

 まさかとは思うけど・・・姉ちゃんたち登ろうとしてないよね?弟として不安なんだけど。

「うぅ、おなかが・・・」

 釣れるかな?

「大丈夫!?」

 上を見ると姉ちゃんの顔が見えた。

「さっき覗くなって言ったよね?痴女になる気なの?」

「ちっ、バレたか」

 今ちっ、バレたかって言った。俺にはそう聞こえた。犯罪臭半端ないっす姉御。

 そんなこんなでいろいろあったが何とか俺は教室の戻った。

「二人ともさぁ、トイレくらい行かせてくれない?」

「「ごめんなさい」」

「わかればよろしい。それと怖いなら別に抱き着いててもいいけど自分のことも考えてね?」

「と、言いますと?」

 この際言ってしまおう。

「胸」

 言ったとたん二人の顔が真っ赤になった。可愛い。けどなんか申し訳ない。

「あの時言おうとしたけど急に言うと二人とも混乱するかなー?と思ってさ」

 もう遅いし正直に話す。それしかない。

「あのね迅くん、女の子って繊細なんだよ?迅くんだったからよかったけど」

 なんだ良かったのか・・・・ってえぇ!?いいの?マジで!?まさかあのまま行けばいい関係になれた感じ?

(うん、落ち着こう。興奮しすぎた)

「俺が言うのもおかしいけどさ。おかしくない?女子として。あれ普通なら「きゃー」っていうよね?俺だからOKってさ、そんなこと言ってたらこの先どうなるかわからないよ?」

「わたしは迅くんが望むならどんなことでもするっ!多少Hなことでも・・・・・・・そうだよね?梨華ちゃん?」

 おいいきなり天宮に振るな。

「わたしも頑張る」

 頑張らなくていいです僕が悪かったですごめんなさいだからもうそうやって僕の寿命を知事めるのをやめてください。言われた俺のほうが恥ずかしいんだけど。

「頑張らなくていいから」

「うーっす」

 やべぇ誰か来た。

 この話を聞かれてたら俺(社会的に)死ぬぞ?

「おぉ、お前らもう来てたのかー。いいことだぞー」

 よかった。先生だった。

 しかも俺の担任。この先生は信用できる。

「さて、ここにいる三人に授業をしてやろう」

「どんな授業ですか?」

「黒板に書いたことを覚えとけ」


 努力と結果は比例しない

 才能という言葉は時には人を傷つける

 自分の幸せと他人の幸せは違う


 この三つだった。

 たぶん最近の選挙などだろう。

「最近ある党を見たんだ。名前は言わないがな。それを見て先生は思った。「自分と他人の幸せはそれぞれ違うんだからそんなことが出来るはずない」って思ったんだ。それが三つ目の理由。一つ目は前々から思っていたこと。どれだけ努力したって成功するとは限らない。努力すれば何とかなるとかいうやつもいるが実際そうとも限らない。例えば先生が魔術を使おうとしてどう努力しようが無駄だろ?それはお前たちが一番わかっているはずだ。そして二つ目に書いたやつ。これはな、先生がたまに「天才」って言われて「黙れ、何も知らないくせに」って思ったからなんだ。天才ってのは大抵努力してる。途中で諦めなかったからだ。諦めて逃げたやつらに天才なんて言われてもうざいだけだ。これらを覚えておけ。こんなことで人を傷つけてもいいことなんてないからな。人を傷つけるならせめて軽い口喧嘩程度にしておけ。以上」

 いきなりすごい話を聞いてしまった。確かに俺も経験とかあるからよく理解できた。やっぱ何もわかってないやつに口出しされるのは嫌だな。

 先生の特別授業が終わったところで外から少し話し声が聞こえてくるようになった。

 もうみんな登校し始めたころだろうか?

「おはよう」

 早速誰か来た。

 根暗っぽい感じの子だった。

「霧崎君たちって早いんだね」

「えっと・・・誰?」

 いきなりだったのでこう答えてしまった。

「どうせ私のことなんて・・・」

「ごめん。俺さ、このクラスの人って正直天宮以外覚えてない」

 天宮の顔がさっき以上に赤くなった。

 特別扱いと勘違いしているのかもしれない。ある意味特別かもしれないけど。

「わたしは橋本未来。ラディウスの第三戦闘部隊の下っ端」

 同業者がこんなところに。

 てか下っ端て・・・

「下っ端か・・・ま、まあ頑張れ」

「うぃーっす」

 また誰か来た。

「お、凛先輩じゃないっスか。どうしたんスか?」

「迅くんについてきた」

「ひゅー、熱いっすね」

 今の奴はたぶん陸上部にいた気がする。結構早かったから覚えている。

 それから数分後、三人組が来た。

「おはよーそ―」

「言わせねーよ」

 朝から元気な少年たち。

「・・・・・・・」

 眠そうな女子。

「おっはー」

 学校めんどいって顔をした男子。ect

 この時間くらいから登校してくる人が増えるのだろうか?

「せーのでドォーン」

 某ゲームで使われていたあれを言いながら入ってきた男子四人組。

「えー、マジでぇ。やばくない?」

 ギャルギャルしい女子二人組。

 こういう光景を見るのは初めてだが結構楽しい。この人ってこんなのなんだーとか思う。それが楽しい。

 さらに数十分経つともうそろっていた。そしてHRが始まろうとしていた。

「今日のHRはある事件を教える」

 教室がざわついた。

「この学校の校庭でこんなものが見つかった」

 そう言って取り出したのは見覚えのあるものだった。

 たしか・・・モモの家にあった薬品の・・・・・・・・は?

 なんでここにあるの?

「こんな危ないものを持ち込むな。今日はそれだけだ。あと何か知っている人は職員室まで」

 どう言い訳すればいいだろうか。  

 それ上の悪魔の拠点から落ちてきたやつです。昨日見ました。なんて言っても信じてもらえないだろうし。

 ま、このことは放課後考えるとして・・・問題はこれからだ。

 一時間目は体育。しかも今日は雨なので中。中だとこの時期はバスケとかだろうか?実は俺はスポーツ全般得意だったりする。だがそのせいで俺はプレイできない。手加減というものを知らなかった俺は今までバンバン得点を入れてサッカーでは二十体四という奇跡的な成績をたたき出したのだ。

 それから体育で球技をするときは基本ベンチかコーチをやっている。

 教えるのが苦手なこの俺が。

 この地獄をどうやって乗り切ろうか・・・

「そうだ忘れてた。今日は体育じゃなくて保健だ」

 なんと都合のいいスケジュール変更!ああ神よ、我はあなたに感謝します。

 

 そして保健の授業。

「今日は精神的な方のだからな」

 精神的って何だろう?小学校とかでいじめがどうこうとか麻薬がどうこうってのはあったけど・・・

「精神的って言ったらやっぱいじめって思うよな?半分正解で半分不正解だ」

 意味が分からない。

「今回はネットいじめの方だ」

 そう聞いて俺は絶望の淵に叩き落された。

 最近2chとかヤフォー知恵袋で馬鹿どもを叩きまくっている。知恵袋に関しては叩いている回答だけBAになっている。2chは匿名だし俺以上にひどいことを言っている奴もいたし大丈夫だろう。だが知恵袋が不安だ。

 知っているか?教師ってのはな、生徒のTwitterなどを監視しているんだ。

 どういうことかって?行ったままの意味さ。

【速報】霧崎迅氏 精神的に死亡

 体育のほうが良かった。

「2chとかでスレを立てたことあるやつ挙手」

 正直に手を挙げたほうが罪は軽くなる。

 だから挙げたがこれは俺一人だった。

「それはどんなスレだ?」

「暇人が雑談するスレ、嫌いな奴を適当に愚痴るスレ、誰か俺に救いの手を、わが身に宿りし○○」

 最後の奴は一番面白かった奴優勝って感じのスレ。

「二個目の奴、よく考えてみろ。言われた奴が傷つくと思わないのか?」

 よし来た。人生悪いことばかりじゃない。

 さて、論破するか。

「よく考えて下さい。ここは言ってなかったですがあのスレは自分に悪口を言ってきたやつを叩くスレです。そこに書かれて傷つくってただのバカじゃないですか?自分から言っておきながら何か言い返されると傷つくんですから。それくらいなら言わなければいいことじゃないですか?人を傷つけたやつが自分だけ平和に生きれるなんてことないんですから。書かれた奴はいい社会勉強だとでも思えばいいんですよ」

「・・・・・・・・・・・」

 ハイ論破。

 こういう話をいきなりする先生ほどネットの怖さをわかってないってのは本当だったんだな。経験がない奴ほどいじめるななどと謳い、やられた経験のあるやつは言うだけではなく行動に移す。

 その後は普通に授業が続いて無事学校も終わった。

 職員室は明日行く。

 今日はもう帰って寝よう。

次回

転校生のお話し(仮)

の予定です

あらすじはTwitterにて

たぶん姉ちゃんがツイートしてくれるから

LINEのTLにあらすじを投稿したし

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