第4話 こちらのはじまり
「ヘッドルーム?」
可那はおんじの腕の中で、そう繰り返した。
おんじはゆっくりと静かに可那を地面に下ろした。
おんじの容姿はまるで映画のフランケンシュタインの様だった。
服装は何か動物の皮を剥いだ毛皮の様な物を斜めに、肩が出る様に着ていた。
しかし可那はそんな事には興味がなかった。
地面は綺麗に刈られたゴルフ場の芝の様で、緑色の草の様な物が、生えていた。
可那は何度か、スニーカーの踵で地面を叩いてみた。
地球の地面と同じ感触だった。
「確認してるのか?此処は基本的に君の住んでいた世界とそう変わらんらしいぞ」
優しく微笑みながらおんじが可那に言った。
「なんで分かるの」
二メートル程はありそうなおんじを見上げて、可那は言った。
「そう慌てるな。順番が違う。まずはわしと話してる事に疑問を持たないか?それに空気だ。お前の来た世界と同じじゃないか?」
「そういえば」
そう言いながら可那は周りを見渡し、大きく息を吸い込んでみた。
大気は全く地球と同じらしかった。
可那はまた、おんじの方を振り向いて、言った。
「ねー、なんで?」
「どっちがだ?言葉か?空気か?」
「ん~」
何故か可那は少し悩んだ。
「じゃあ、空気」
「そっちかよ!」
おんじは少し驚いてから説明を始めた。
「お前以外にもわしは何人も此処で、空から落ちてくる者達を拾った。そいつらが口々に息が出来る。自分達の世界と同じだって言っていたからだ。そうなんだろ?」
「うん、同じだと思う」
「じゃあ、良かったな」
おんじは目を細めて笑いながら言った。
「それから言葉だが、この世界に入った瞬間から、誰しもが、共通言語になるらしい」
「・・・・・」
「分からないか」
「うん」
可那は大きな声で答えた。
つづく
いつも読んで頂いて、有難うございます。
いつまでも、おんじじゃマズイよな・・・