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第27話 ジャンケン・PON

 「え~、アルルを賭けて勝負するの?この人ただのエロエロ女だよ」

 「カナブン!」

 可那の言葉を否定する様にアルルが叫んだ。

 「私はエロくないよ~。普通だよお・・・」

 エロいの基準が判らず、自信なく呟く。

 「だって、ノーパン・ノーブラじゃん。オマケに私の耳を咥えたし」

 「それは誰もいない様な所で暮らしていたからでしょ。耳は、カナブンの記憶を呼び戻す為じゃない。もお!無理矢理エロい女にしようとして!」

 「無理矢理してないよ~」

 またも一触即発、喧嘩になりそうな二人。

 「あらあら、仲が悪いのなら丁度良いじゃない。お姉さんが私達といなくなっても」

 そこに乗るようにキッキョーが口を挟む。

 「えー!ん~」 

 その言葉に本気で悩む可那。

 「ひどーい!本気で悩んでる~!」

 可那を見て不満気に言うアルル。

 「まーまー。とにかく勝負です。ジャンケン始めますよ!」

 二人の様子を見て、ニコニコしながらフタバンが言った。


 マンドラゴラのキッキョーとフタバンは自信があった。

 ジャンケンは三人で、せーの!で始まる。

 つまりキッキョーとフタバンが互いに違う手を出せば、最悪でも一人負けるだけである。

 それに対し、可那は一度で勝って勝負を終わらせる事は出来ない。

 全員バラバラでやり直しか、一人に勝つ事しか出来ない。逆に負ける可能性もある。

 更にマンドラゴラの二人は、最初からチョキを出す人は少ない事を、今までの経験から知っていた。この二人は、グルのジャンケン勝負で今まで色々手に入れて来た強者だったのだ。

 チョキは、咄嗟ではなかなか出ない。事前に決めていない限りは。

 この二人はそれを知っていた。

 つまり最初の手は、キッキョーがグー、フタバンがパー。と、すると、可那がパーならフタバンと可那の2回戦。グーならフタバンの勝ちで終わりとなる。チョキは無いと見ているが、万が一チョキでも、ただのやり直しになるだけだ。

 キッキョーとフタバンは不敵に笑い。ジャンケンの体勢に入った。


 「じゃあ、いい?」

 キッキョーが言う。

 可那は断る事も出来たのだが、雰囲気に呑まれ、思わずジャンケンの構えをしてしまった。

 「ジャーン、ジャーン、ジャンケン、PON!」

 キッキョーの言葉で三人が手を前に出す。

 不安気にその先を見つめるアルル。

 キッキョーの手は予定通り、グーだった。

 フタバンの手も予定通り、パーだった。


 そして、可那の手は・・・・・グーだった。

 「あれ?」

 困った顔をしてそう言いながら、アルルの方を振り向く可那。

 「馬鹿っ!」

 アルルは顔を真っ赤にして怒鳴った。



        つづく

 

 


 

いつも読んで頂いて、有難うございます。

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