第2話 ヘッドルームにようこそ
可那はショートヘアのちょっと華奢な女の子。
趣味は読書なんだけど、走ると足も速い。
結構活発な女の子なのです。
それでは二話目、どうぞ。
可那はダイブした瞬間、普通の人が大抵する『目を瞑る』という行為を行った。
そして、自分と、手を離し離れ離れになった自転車が、次の瞬間、ビシャ!と川に落ちるのを想像していた。
長い。
もう目を瞑り、十秒位経つ。
確かに体は重力に従って、下の方へと落ちて行っている。
可那は恐る恐る目を開けた。
「!」
声すらも出なかった。
可那は空の上にいた。
どれくらいの高さがあるだろう。
可那は上下左右、落ちながら見回した。
遠くに連なる山々が見える。
足元には平らな草原が、そして、真っ黒な塊、人だ。人が一人立っているのが見えた。
この期に及んで可那はパンツが見られると、赤に黒のギンガムチェックのスカートを手で押さえた。
先程まで、三階建ての校舎二個分の高さ位にいた様な気がしたが、もう地面との距離は一個分位だ。
中学生の可那にはそんな方法でしか高さを計測出来なかった。
自転車は可那より軽いのか、可那の斜め上をやはり下へと落ちてくる。
下の人間らしき姿もはっきり見えてくる。
アルプスの少女ハ○ジに出て来るおんじにそっくりだ。可那は思った。
がっしりとした体に、白髪にもじゃもじゃの白い髭。
『おんじは灰色だったかな?』
そんな事を思っていると、急に落ちるスピードが遅くなった。
もう、おんじとの距離は四~五メートル位。
おんじは手を広げている。
『なんだ、これは夢か?空から女の子が降ってくる。まるで、アニメ映画みたい』
そんな事を可那が思っている間に、
ストン!
可那の体はおんじの腕の中に落ちて、収まった。
二人は顔を見合わせる。
ガシャン!
五秒程遅れて、可那より軽い自転車も側に落ちた。
おんじはニコッと微笑むと口を開いた。
「ヘッドルームにようこそ。お嬢さん」
可那はポカンと口を開けて思った。
『この人、おんじって書いてていいのかな?作者』
つづく
読んで頂いて、有難うございます。




