第19話 一部でおパンツ作家と言われてしまった。(仮)
久々の更新で、つい1000文字以上書いちゃった。
あ~いかん。
「それでどうするの? これから」
幸一は小声で尋ねた。
「とりあえず此処を脱出しなければ」
すずめは真剣な顔で囁く様にそう言うと、静かにドアの方へと近寄り、外の音を聞こうとした。
「まだ、出て来た気配はなさそうね」
肩越しに、後ろにいる幸一へと囁く。
幸一は如何すれば良いのか分らず、ただ黙ってすずめの様子を見守っていた。
すずめは出来るだけ静かに、ゆっくりと、ドアノブを握った。
ゆっくりと回す。
キィ~
僅かに音をさせながら、ドアがゆっくりと開く。
誰もいない静かな廊下が目の前に横たわって見えた。
『お願いだからまだキスしてて、イチャイチャしてて』
すずめはそう願いながら、後ろを向き、幸一に来る様にと手招きした。
二人は静かに部室から廊下に出ると、すずめはまたゆっくりと、静かに、今度はドアを閉めた。
隣の部屋からは誰も出てくる気配はなかった。
その間、すずめがキスシーンを目撃してから五分以上経っていた。
階段を上り、二人は教室へと戻ろうとしていた。
「危ない所だった。あいつらにこちらの動きが漏れてしまう所だった」
「そうなの?生徒会長と副会長は何をしていたのさ?」
階段を先に上るすずめの後ろから、幸一は尋ねた。
「何って・・・」
すずめは少し顔を赤くして、言葉を詰まらせた。
「なんか、謎の機械をポケットから出して。そう!盗聴しようとしてたのよ」
そう言いながら、すずめは後ろを振り向いた。
「何見てるの?」
振り向いた先の幸一は、階段の段差で生じた、目の前がすずめのお尻という構図を、まじまじと直視していたのだ。
「え、いや、気になってるんだけど。木野さんって、名前すずめでしょ。すずめなのになんでパンツはうさぎなの?」
幸一は突然の事に思わず、爽やかに言った。
それを聞いたすずめは顔を真っ赤にして前を向き直すと、手を後ろに回し、スカートのお尻の所に当てて、隠す様にして階段をまた上り始めた。
「見たんだ・・・」
幸一に聞こえたかどうか分らないくらいの小さな声で、すずめは呟いた。
それから二人は、教室に着くまで一言も話さなかった。
ガラガラガラッ
教室に入るとそこには誰もいなかった。
幸一は後ろ手で引き戸を閉めた。
すずめはそれがとても可笑しなことの様に辺りを凝視して、黒板の方に向かって歩き始めた。
「どういう事?もうすぐ昼休みも終って午後の授業が始まるのに!誰もいないなんて!もしかして・・・私達異世界にでも迷い込んだの?教室に入った瞬間、世界が一変したの?」
「どうしたの木野さん?異世界って」
すずめの言葉の意味が全く分らず、幸一は尋ねた。
「でもここは・・・お姉ちゃんや、可那さんのいる世界とも違う。ここは、まさか!紫や、青の鎧がある世界!?」
「鎧?」
幸一は、すずめの話が皆目分らず、呆然として聞き返した。
その時だった。
ガラガラガラッ
先程幸一が閉めた引き戸を開けて、生徒Aが入って来た。
「何やってんのお前ら」
そう言うと生徒Aはいそいそと自分の机に向かい、机の中から保健の教科書を取り出した。
「それ」
思わず幸一は生徒Aの持つ教科書を指差して言った。
すずめは一人、黒板の方に向かって、ブツブツ何か言っていた。
「あれ、お前ら聞いてない。次の保健の授業、男子は視聴覚室。女子は体育館だって。教科書忘れず持って来いよ」
そう言って、生徒Aは幸一の方に教科書を掲げて見せると、不審に見えるすずめの方を暫く眺めて、首を傾げて教室を出て行った。
「そういう事か」
幸一は溜息を一つついた。
それからまだ黒板に向かって何か呟いているすずめに向かって、
「おーい!木野さーん!」
大きな声で呼んだ。
つづく
相変わらずデタラメな小説ですが、今年もこっそりと宜しくお願いします。
次回からはまた可那パートになります。
いつも読んで頂いて、有難うございます。
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