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第1話 自転車でGO!

不定期更新になります。

 車が脇をビュンビュンと走り抜ける。

 歩道が無い国道288号線。

 現在三春町から舞木に入る辺り。

 目的地は郡山市。東北書店。

 これは昭和55年・西暦1980年から始まる物語。

 

 佐藤可那と古川幸一は自転車で大越町から郡山市を目指していた。

 二人は中学二年の幼馴染。

 趣味は読書。

 日曜日。

 電車代を浮かして少しでも本を買おうと自転車で三十キロ以上先の目的地を目指していた。

 国道と言えど道幅はそれ程広くなく、車二台が行き交うのが丁度の幅で、二人はガードレールと車の間の一メートルと無い幅の間を、懸命に道路の左側隅で、自転車を漕いでいた。

 車は二人の脇をビュンビュンと風切り音をたてて、通り過ぎて行く。

 ハンドルに力を入れていないと、時には車の方に引っ張られる時もあった。

 幸一は本当はもう怖くて止めたかった。

 しかし、前を行く可那は止まる気配がない。

 道幅を考えると、縦二列。横に並んで、可那に声を掛ける事が出来ない。

 「もう、やめよう」

 と、言う為に、幸一は可那が休憩か何かで止まるのを、後ろで自転車を漕ぎながら待っていた。

   ビュン! ビュン!

 相変わらず二人の自転車の脇を車が通過して行く。

 その時、大きなトラックがカーブで二人の方に寄って来た。

 「あっ」

 幸一は僅かに声を上げ、ブレーキをかけた。

 可那は避ける様に大きくハンドルを左に切る。

 そこはガードレールが切れていた。

 ハンドルを切り過ぎた可那は、自転車ごとガードレールの切れた先にダイブした。

 道路の脇は川だった。

 トラックはとうに何事もなかった様に行ってしまっていた。

 「カナブン!」

 幸一はガードレールの切れた先、川を見下ろした。

 自転車も佐藤可那の姿も、そこにはなかった。

 「カナブン・・・」

 幸一は小声でもう一度言って、震えていた。

 カナブンは、佐藤可那のあだ名だった。



      つづく


 

 

読んで頂いて、有難うございます。

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