考えよう、みんなでムナカタを守る事を
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日本国コロニー3【中京】の商業エリア。「冬季」設定のこの時期、
厚手のコートを着た買い物客が、繁華街を往来している。
賑やかになって来た、夕方の時間、ここ、ファストフード店のボックスコーナーに、
四日市東高校の生徒達が集結していた。
集まっていたのは、国連軌道宇宙軍奨学生の、ショーン・カザマ、ミカ・カートライト、
エレノア・シグニス、美田園恭香、カスミとヒロノブのレイモンド姉弟。
そして、生徒会長の伊達庸子と、副会長のエリック・氷室、二年生の赤磐雷太。
何故集まったのかは、もちろん、ムナカタ・カオルが起こした暴行事件について。
みんながみんな、カオルの事を、カオルの今後を心配して、
誰が言い出した訳でも無く、この「キングダム・バーガー」に集まったのだ。
あの後、保健室に連れていかれ、傷の治療を行おうと保険医が右手を診ると、
暴行された側の生徒の歯が当たったのか、カオルの拳は皮膚がズルズルに向けていて、
骨まで見えている箇所があった。
思いのほか深い傷に慌てた保険医は、保健室での治療を断念。
レスキューを呼び病院に緊急搬送したのだった。
そのまま、学校に残ったショーン達は、暴行事件の目撃者として、
一人一人教師達から聞き取り調査され、全てが終わって下校したたのが今さっき。
話を聞きつけた伊達や赤磐が合流して、今に至るのだが…
氷室「被害者生徒の怪我の程は?」
ミカ「鼻骨骨折と、裂傷。歯が二本折れたそうです」
赤磐「派手にやったなあ…」
伊達「警察沙汰になったのか?それにしては学内は静かだったぞ」
エレノア「警察は来なかった、不思議なくらいに静かだったよ」
氷室「会長、この件…、学校側が学校内の不祥事で終わらせる積もりじゃ?」
伊達「刑事事件としと立件されないと言うのは、ラッキーだな」
ミカ「でも、カオルには何かしらの罰が…」
ショーン「それは当たり前だろ。それに、被害者への賠償もある」
赤磐「軽くて停学、重けりゃあ…」
氷室「放校、退学もあり得るな」
恭香「そ、そんな…」
カスミ「元々は、あのゲスな連中が、国連軌道宇宙軍を、戦死者を侮辱したのがきっかけ!
カオルさんは巻き込まれたに過ぎない!」
ショーン「気持ちは判るが、目に見える現実的な話、加害者はカオル、責められるべきはカオルなんだ…」
苦渋に満ちた顔で、カスミを諫めるショーン。
カスミは顔を真っ赤にしながら悔しがり、拳をギリギリと握り締めながら、勢い余って目に涙を浮かべている。
エレノア「確かに社会的に見て悪いのはカオル。だけど、死者を冒涜したあいつらは許せない」
伊達「おいおい、エリー。君が情に負けてどうする?」
ヒロノブ「その件は、安心してください♪」
ミカ「うん?何が安心なの?」
朗らかな笑みをたたえ、ヒロノブが一同にそう宣言する。
ヒロノブ「多分、学校で嫌がらせやイジメは、もう起きないと思います♪」
赤磐「むう?何でそこまで言いきれるんだ?」
エレノア「そう言えば、カオルをみんなで保健室に運んだ時、ヒロノブはいなかった」
ヒロノブ「ふふ…、クラスのみんなにお願いしときました。もう、イジメはやめてくださいって♪」
氷室「…怖い男だな、君は」
ヒロノブ「いえいえ、言葉の通りですよ(笑)」
伊達「あの敗北以来、世間の風当たりはいささか冷たい。もしかしたら、軍へのネガティブ・キャンペーンが始まるかも知れない」
伊達の言わんとする事を、副会長の氷室はすかさず把握する。
そして、会長自身に非難の声が集中しない様に、氷室自身が、会長の代わりにその言葉をつないだ。
氷室「会長のおっしゃる通り、今は非常に微妙な時期だ。
軍に所属する者として、今は無用なアドバンテージは取られたくない。
分かるな、今はみんなが自重しなければならない時期なんだ」
ミカ「わかります」
恭香「…はい」
カスミ「口惜しいですが、反論出来ません」
氷室「起こってしまった事は、変える事は出来ない。だから、みんなでこれからの事を考えよう。
みんなで、ムナカタ君を守る事を」
赤磐「さすが氷室先輩、良い事言うねえ♪」
恭香「カオル君の事…、私、守る」
カスミ「もちろん、私だって!」
うつむいていた顔を上げ、やっと前を向き、盛り上がり始めたカオルの仲間達。
【あの日】以来、沈みがちだった空気。
不幸なカオルの事件が、きっかけではあったが、
ようやく…ようやく変わり始めていた。




